SMART/InSightが企業にもたらす「情報連鎖」エンタープライズサーチで企業情報活用のパラダイムシフトを引き起こす

ウチダスペクトラムが企業向けに提供するエンタープライズサーチシステムである「SMART/InSight」は、単に適切な情報を見つけ出す、というだけにとどまらず、「情報連鎖」を引き起こすことで企業内で眠る情報に新たな価値を与え、事業の発展につなげることができるという。情報連鎖とは何か、なぜSMART/InSightでそれが可能になるのか、ITmedia エンタープライズの浅井英二編集長が、同社の町田潔社長に話を聞いた。

» 2008年07月07日 10時00分 公開
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情報をつなげていくエンタープライズサーチ

ウチダスペクトラム 代表取締役社長 町田潔氏 ウチダスペクトラム
代表取締役社長 町田潔氏

ITmedia エンタープライズサーチの導入が、しばしばコスト削減/効率化といった文脈で語られますが、エンタープライズサーチを使うと何が実現できるのか、というところからまずはお聞かせください。

町田 数年前に、ホワイトカラーの労働時間の多くの部分が情報の検索に費やされている、という調査結果が話題になり、エンタープライズサーチに注目が集まりました。情報検索時間の短縮が企業の業績にどう影響するかと考えてみると、その効果は大きなものがあると思いますが、まだこの段階では、間接的な効果にとどまるといえるのではないでしょうか。

 例えば、従来情報検索に費やしていた時間をエンタープライズサーチの導入で半分に減らしたとして、では従業員数を半分に減らせるかというとそうではないでしょう。今まで検索に費やしていた時間でほかの業務が進められるという意味での効果にとどまっており、直接的なコスト削減に結びつくようなものではないのです。

 エンタープライズサーチは、むしろ「より業績を高めていくための情報活用」を実現するツールとわたしは捉えています。単に「必要な情報を見つけ出す」だけで終わるのではなく、「情報と情報をつなげるためのツール」として活用することで、それが実現できます。

ITmedia エンタープライズサーチといえば、「検索」機能、つまりインターネットサーチの企業版という印象しかないのですが、情報と情報をつなげる、というのは、具体的には何をするのでしょう。

町田 われわれのSMART/InSightでは、コアエンジンとしてノルウェーのFast Search&Transferが開発したFAST InStreamを採用しています。データベースやオフィス文書のようなさまざまなフォーマットのソースを対象にすることができ、認証基盤と組み合わせてアクセス権限を踏まえた検索結果を出力するのはもちろん、さらにユーザーが柔軟にカスタマイズできる余地が大きいのが特徴です。エンジン内部がモジュール化されており、ユーザー独自のロジックを差し込むことでオリジナルな結果を生成できるのです。さまざまなソースから情報をクロールし、インデックスを生成して検索できるようにするのはもちろんですが、その際にユーザーが独自に定義したルールを適用することで、クロールして見つかった情報に対して関連情報をメタデータとして追加し、インデックス化できるわけです。

 例えば、組み立て製造業のケースで、部品番号の数字が情報の中に見つかったとします。通常のインデックス生成処理では、部品番号を指定して検索しなければ、この情報を見つけることができません。一方SMART/InSightなら、部品番号と部品名の対応表を同時にインデックスに入れておけば、部品番号を知らなくても部品名を指定するだけでこの情報を見つけることができます。これは、適切な情報を確実に見つけられるようにするための、検索精度向上のための手法でもあります。さまざまな関連情報をチェーンのようにつなげてインデックス化することで、ある情報から始まって別の情報へとつながり、新たな業務価値を生むという情報連鎖を実現するための機能ともなっています。

ITmedia エンタープライズ 編集長 浅井英二 ITmedia エンタープライズ 編集長 浅井英二

ITmedia そうした情報連鎖が効果を発揮する場面としては、どのような状況が考えられるのでしょうか。

町田 検索機能自体はごく一般的な機能ですから、単独のリポジトリを対象に情報を見つけ出す検索機能はむしろあって当たり前という状況です。業務アプリケーションや各種のオフィスアプリケーションなどでも、それぞれ検索機能は備わっていますね。ただし、これらは基本的に分断された状態であり、横断して検索を実行する手段がありません。どこにどんな情報があるか、あらかじめ分かっていないと探せないわけです。

 これを大きな視点で見ると、「部分最適」から「全体最適」へという話にもつながってきます。個々のシステムや部署ごとの単位で見るのではなく、全体を見渡す大きな視点で見ることで、「ここにある情報とあちらにある情報を組み合わせればもっとよい仕事ができるはず」ということがよくあります。事業を推進している現場レベルにはノウハウがあるのですが、それを具現化するためのツールや手法が分からないために実現できていない面もあります。エンタープライズサーチというと、情報を見つけ出すという機能ばかりが強くイメージされてしまいがちですが、SMART/InSightでは情報から情報をたどっていくような機能があるため、部門を横断した形で現場のノウハウを生かすシステムが構築できます。

ITmedia もう少し具体的にお話しいただけますか。

町田 例えば、ある製品を販売しているメーカーで、ユーザーからのクレームが急に増えた、という状況を想像してみてください。一方で、製造部門ではある部品に品質問題が発生したことを把握しているのですが、ユーザーからのクレームを受けるサポート窓口と相互の情報が共有できていないと迅速な対処はできません。製造部門では部品を部品マスターDBの部品番号で管理していますが、サポート窓口では部品番号については知らないでしょう。しかし、SMART/InSightであれば、この2つの情報を結びつけることが可能になります。さらに結びつけられた情報の検索結果を集計し、サポート窓口に寄せられた貴重な顧客の声を部品別にレポートするアプリケーションを容易に構築することもできます。検索に基づく集計ですから、検索によって発見された元の情報までさかのぼって調べることもその場で行えます。オリジナルの情報までさかのぼって収集し、動的に整理してレポートを作っているからこそこれができるのです。

手軽に導入可能な企業情報活用システム

ITmedia 単なる検索エンジンを導入するのとは全く違う効果が得られるわけですが、それだけに新しいシステム構築の考え方も求められそうです。導入の敷居も高いのではないでしょうか?

町田 どんなシステムでも同じだと思いますが、何をやりたいのか分かっていなければ、効果は期待できません。しかし、逆にユーザー企業の目的意識が明確であれば、導入してすぐに効果が得られます。その意味で導入は容易だと言えるでしょう。つまり、分断した情報のどことどこをつなぐとどういう効果が得られるか、ということが分かっている場合は、すぐにプロトタイプが開発でき、実際にそれを見ながら調整していくことができます。通常こうしたアプリケーションのプロトタイプをユーザー企業に見せると、普通は、システムやアプリケーションの話をするのですが、あるプロジェクトでは、即座にデータの中身そのものの議論になってしまって予定時間を大幅に超えて、延々と続いたということもありました。問題意識を持って全体最適化を実現しようとするソリューション導入に取り組んでいるユーザー企業であれば、一目でその価値を理解してもらえるだけの分かりやすさを備えているということだと思います。

 また、エンタープライズサーチは、既存のシステムに一切手を加える必要がありません。もし何らかのシステム統合に際してITインフラの更新が伴えば、数年がかりの大規模プロジェクトになることも珍しくありません。エンタープライズサーチなら、対象範囲を限って小さなプロジェクトとして開始し、効果を確かめながら成長させていくというアプローチも可能なので、その点でも比較的導入はしやすいでしょう。

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構造化と非構造化情報/定量情報と定性情報に橋渡しをして新たな価値を生み出す

ITmedia エンタープライズサーチがあれば、従来のような大規模なデータウェアハウスやビジネスインテリジェンスのシステムはもう不要、ということになるのでしょうか。

町田 エンタープライズサーチは、あくまでもまず情報が存在することを前提として、そこから必要な情報を見つけ出し、さらに関連情報と組み合わせて新たな価値を生み出す、という部分を実現するシステムです。情報を入力して加工・蓄積する、という部分を担当する業務アプリケーションやデータベースとは協調していくことになります。

 DWHやBIと比べた場合のメリットとして挙げられるのは、定性的な情報にも対応できる点です。業務アプリケーションやRDBMS、DWHやBIといった従来型のアプリケーションは、数値化された定量的な情報を扱うものが大半です。こうした情報が重要なことはもちろんですが、定性的な情報をどう取り扱うかも重要なテーマです。例えば、ユーザーからのクレーム情報などは文章として記述されます。それが本来は構造化された情報を扱うRDBのカラムに押し込まれても、この情報を的確に見つけ出して対処することは難しいでしょう。しかし、エンタープライズサーチはそもそも自然言語を対象とした全文検索システムですから、こうした定性的な情報の扱いには長けているわけです。

 定量的な情報に関しても、例えば部品マスターのような基本的なデータベースが分散しているような例も少なくありません。生産拠点が世界各国にまたがっているグローバル企業などでは、国ごとに異なる部品マスターを持ち、同じ部品でも国ごとに違う部品番号が割り当てられている、という状況も聞きます。こうした状況で「全体最適」を実現しようとすると、「マスター統合」という話になり、インフラ再構築の大プロジェクトに発展しますが、SMART/InSightであれば、データベースはそのままにしつつ、検索結果だけは完全に統合された結果が得られる、というシステムを実現できます。どちらが実現しやすいのかは言うまでもありません。

ITmedia データベースの代わりという以外に、何か新しい可能性は考えられるのでしょうか。

町田 企業内に蓄積された情報は、定性的か定量的か、情報系か業務系かといった視点で何種類かに分類でき、さらにそれぞれを異なるシステムで管理する、という手法が使われていました。例えば、BIやグループウェア、コンテンツマネジメントシステムといったものが使われていましたが、ここでもそれぞれの情報の分断化が発生します。どこに格納された情報かが分からないと探せませんし、相互の関連づけは困難です。SMART/InSightは、こうした既存の情報系システムも統合し、蓄積された情報を網羅的に発見して相互に結び合わせ、連鎖を引き起こすことができます。これまでに蓄積された情報を、新たな視点で活用する際の手段としても極めて有効な手段だと思います。

SMART/InSight 2.0のポジション SMART/InSight 2.0のポジション (クリックで拡大表示)

ITmedia 情報連鎖という考え方を実際に実現したユーザー企業はあるのでしょうか。

町田 住宅や建材の大手メーカーである積水化学工業が、SMART/InSightを利用した全社情報活用基盤を構築しようとされています。個人向けの住宅などを主力商品とするため、顧客の声を生かすことが課題でした。基幹業務システムになるというわけではありませんが、数十の事業領域を横断的にカバーした基盤を構築するという難しさがあります。グループ全体のシナジー効果を最大化したいという目的は明確ですが、一方で稼働中のデータベースも数十あり、簡単に統合できる状況でもないという中で、SMART/InSightによって散在する情報資産の共有を実現しようとしています。

ITmedia エンタープライズサーチには企業版の検索エンジンくらいの印象しかありませんでしたが、企業内に散在するさまざまな情報の価値を最大化するシステムを構築することもできそうですね。現場のノウハウを生かした情報活用のパラダイムシフトさえ予感させます。


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提供:ウチダスペクトラム株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年8月6日