冗長化すべきか否かの判断基準ITIL Managerの視点から(2/3 ページ)

» 2008年07月09日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

VBFとITサービスとの関係

 VBFが具体的にビジネス上のどの機能であるかということを明確にしたら、今度はそのVBFに関係するITサービスを洗い出していく。ITサービスはすべてが同じ価値ではない。VBFに照らし合わせて、ITサービスの重要度を重み付けする必要がある。それにはさまざまな方法があるが、おおむね「そのITサービスが停止してしまうことによって、ビジネスにどの程度、負のインパクトがあるか」ということを主体とし、3段階程度に重み付けする。

図1:可用性とインパクトで対応の必要性を考える

 次は、それぞれのITサービスを構成しているコンポーネントの現在の可用性を調査する。本連載の第4回で紹介した、MTTRとMTBFを参考に現在の可用性を算出する。重要なのは「壊れた」という事象の定義である。極論を言えば、ITインフラが故障してしまったとしても、手作業による運用がきちんと確立されていてビジネスが完全に停止しなかったのであればそれはビジネス的には「壊れた」とみなさない、という考え方もある。平常時の生産性を1として、それが半分以下にまで落ちてしまった状態のことを「壊れた」とする、というように、あらかじめ定義していこう。IT主体ではなく、ビジネス主体で見るクセが重要なのだ。

 最後に、各ITサービス(を構成しているインフラ)の重要度とその現在の可用性とをマトリクスにする(図1)。そうすることによって、可用性を高める必要のあるITインフラの「対応の必要性」、すなわち一刻も早くコストをかけて対応しなければならない部分が見えてくるのである。

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