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» 2008年07月14日 04時30分 UPDATE

Imagine Cup 2008 Report: はるかなる夢、あるいは未来への勝利 (1/3)

Imagine Cup 2008は盛況のうちにその幕を下ろした。日本から参加した学生たちの胸に去来するものは、夢を見続ける楽しさだった。ここでは、Imagine Cup 2008、および日本代表の人物像に迫ってみたい。

[西尾泰三,ITmedia]

世界のレベルを肌で感じる

DSC_0014.jpg ソフトウェアデザイン部門で優勝した「The SOAK」には、1万5000ドルの賞金が贈られた

 7月上旬にフランスのパリで開催されていたMicrosoft主催の技術コンテスト「Imagine Cup 2008」は世界中の学生がその興奮に酔いしれる中、その幕を下ろした。アルゴリズム部門では高橋直大氏が世界第3位という快挙を達成したことはすでに伝えたが、もう1つ、Imagine Cupで最大の賞金が用意されている花形部門、ソフトウェアデザイン部門についてその結果を紹介しておこう。

 世界からよりすぐられた61チームが12チーム、6チームと絞られていく中、今回のImagine Cupソフトウェアデザイン部門を制したのは、オーストラリア代表の「The SOAK」だった。2位はスロバキア、3位はハンガリーである。


 下馬評では中国やスロバキアの評価が高く、優勝国にオーストラリアの名前を挙げる報道陣の数もごくわずかだった中、この順位をほぼ的中させた方もいる。メンターとしてNISLab(ニスラボ)を支えた同志社大学理工学部情報システムデザイン学科専任講師、小板隆浩氏だ。

 「審査員がどの点をポイントと考えるかで違ったでしょうが」と前置きし、小板氏はこう語る。「中国のソリューションは確かにすごいと感じましたが、裏でどのようなデータがどういった形でやりとりされているのかが分からず、このプレゼンテーション用のモックアップであるような印象を受けました。オーストラリアと同じ農業用水のソリューションで臨んだハンガリーは、ミニチュアの模型でデモを行ったり、ムービーなどを効果的に使っていましたが、デモは単に水が出るだけで、あまりデモの意義をなしていないように感じていました。また、少し言語の方にフォーカスしすぎていたかなとも思います。すぐにでも実用可能で現実的であるという点で、オーストラリアが上回ったのではないでしょうか」(小板氏)

 以下はファイナリスト6チームのプレゼンテーション、そのダイジェスト版である。

NISLabの「動」

彼女募集中とのことです 加藤宏樹君

 「全力を出し切ったと思っていたが、やはり悔しい。周りから『頑張ったね』なんて言われると悔しくて泣きそうだった」――Imagine Cup 2008のソフトウェアデザイン部門で日本代表「NISlab」として戦った同志社大学大学院小板研究室の加藤宏樹君はこう振り返る。同志社大学大学院のメンバー4人で構成されているNISLabの4人、記者には彼らが静と動の役割で二分できるのではないかと感じた。

 NISlabの中で、いつも笑顔を絶やさない加藤君。一見してファッションに気を遣うおしゃれな学生であることが分かる。しかし小板先生はこう笑う。「こいつ、研究室に住んでいるんですよ」――一時的に研究室に寝泊まりしているのではない、住んでいる。そこにはやむを得ない事情があったとはいえ、ある日突然研究室に運ばれてきた荷物に、小板先生も心配したことだろう。それを受け入れる小板先生の懐の広さもさることながら、「(そんな生活にストレスを感じたのか)血尿も出ましたねー」と話す彼の顔には常に笑顔があった。その明るさがチームに与えた影響は計り知れない。


tnfigm.jpg 前山晋也君

 「(加藤さんの私物で)キス入門の本が研究室に転がってみるのを見たときはさすがにはっとしましたね」と前山晋也君は語る。そして、前山君もまた野心を持ってこの大会に臨んでいた。

 国内代表を決めた「Student Day」の後、NISLabのメンバーの一人が学業を優先するためにチームを抜けるという出来事があった。代わりとして白羽の矢が立ったのが前山君だった。

 彼に求められたスキル、それは英語によるレベル高いプレゼンテーションだった。世界大会でのプレゼンテーションはすべてが英語で行われる。過去のImagine Cupでも英語の壁がたびたび指摘されてきたが、短い準備期間で英語力を高めるより、流ちょうな英語を話せる人物を引き入れる方が手っ取り早い。

 そんなメンバーの期待を知ってか知らずか、前山君はチームに加わることを決心した。正しいことは正しい、と物事をはっきりという性格の前山君。非効率さを嫌い、その非効率さの源泉がくだらないことであれば真っすぐにそれを指摘してきた。オブラートに包まないその物言いは、ときとして敵を作りやすいが、「オブラートに包むくらいなら、誰も反論できないほどのプレゼンテーションスキルを持ちたい」――そんな風に考える彼は、世界の大舞台で自分を試すいいチャンスとしてImagine Cupに身を投じた。ほかのメンバーのように日本大会で壇上に立ったわけではない。途中参加でおいしい役割ながら、何か成果を残さなければ自分には何も残らない。チームの中でImagine Cupに対する思いが一番強かったのはもしかすると前山君だったのかもしれない。そんな前山君はImagine Cupを終えて次のようなコメントを残している。

 「20分のプレゼンテーションがすべて。どんなにいいソリューションでもそれを審査員に伝えられなければ、この大会では意味を持たない」(前山氏)

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