携帯Web分野でも世界から無視される日本Next Wave(2/3 ページ)

» 2008年07月17日 13時49分 公開
[幾留浩一郎,ITmedia]

iPhoneに触発されてWebアクセス急増

 これまで米国では携帯電話のインフラが古いために携帯Webが遅れていたが、最近その世代交代が急ピッチで進み環境が整いつつある。昨年アップルが売り出したiPhoneに触発されて携帯からのWebアクセスも急増し始めている。米国では、2006年時点で7%だった携帯Webの利用率は、最新の統計では19%まで急上昇している。欧州の統計にも同様の傾向がみられる。

 世界的に携帯Webの利用が、今後急速に広がると予想されている。電車社会の日本と車社会の米国ではライフスタイルに違いはあるが、「いつでも」、「どこでも」、利用できる携帯Webの利便性は普遍的である。米国では数年前から遅い通信インフラでも利用できるEメール機能を売り物にした携帯端末のブラックベリーが大ヒットしたが、携帯Webもインフラが整いさえすれば爆発的に普及すると予想される。

 その普及に伴い、携帯Webアクセスに関連するビジネスも世界規模で本格化し、大きな市場になると予想される。調査会社のABIによると、Web機能を備えた携帯端末の生産台数は世界規模で2006年の7000万台から2013年には7億台へと急増すると予想している。また調査会社のガートナーによると、携帯Webの広告市場規模は、2007年の10億ドルから2011年には110億ドルに急拡大すると予想している。

 この分野で最先端を走っている日本が、世界をリードできるまたとないチャンスである。しかしながら世界が、これから本格化する携帯Webに関連するビジネスに関して、先行している日本から学ぼうとしているのだろうか? 

ローカルでしか使えない技術が邪魔?

 携帯Web関連と言っても実際にはさまざまな分野があるが、例えば携帯Webの広告市場の拡大に伴い、米国や欧州でも広告の効果測定方法が課題となっている。携帯WebアクセスにはPCからのアクセスと異なる特徴が多くあり、PCで利用していた方法が使えない。または不十分という問題がある。それらを解決しようと色々な新しいアイデアや技術の開発が始まり専門誌やネット上で色々な議論が進められているが、日本を参考にしようという動きが全くない。

 また他の幾つかの関連分野の具体的な議論や資料を見ても、米国では日本を参考にしようとしているものがあまり見当たらない。日本がこの分野で先行していることはある程度認知はされているが、具体的な方法の議論では多くが日本を無視しているように思える。

 最大の理由は、日本の携帯電話の基盤には、日本でしか通用しない技術が多すぎるためではないかと思う。つまり米国や欧州にとっては具体的に参考にしづらいのである。日本の電話会社は世界標準から離れて独自の世界を作り上げている。それは多分、その昔日本が競争力のなかった時代の、国内産業を守るために取ってきた独自仕様戦略を、今でも引きずっているためではないだろうか。

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