Web 2.0の主導権はマーケティングからITへForresterによると(1/2 ページ)

企業のブログやウィキ、ソーシャル・ネットワークは、一般にIT部門によって管理されていると思われがちだが、実は支配権は移りつつあるらしい。

» 2008年07月22日 08時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Deloitte Servicesの調査から、企業の製品開発に関するソーシャル・コミュニティーは、これまで主にマーケティング部門によって行われてきたことが明らかになった。しかしForrester Researchによると、Web 2.0のパラダイムは変化しつつある。2008年後半からはIT部門が主導権を握るようになると予測している。

 製品やブランド開発戦略に沿って顧客の囲い込みを狙う企業のブログやウィキ、ソーシャル・ネットワークは、一般にIT部門によって管理されていると思われがちだ。

 ところが、Deloitte Serviceが7月16日に発表した「2008 Tribalization of Business Survey」によると、どうやらそうでもないらしい。企業140社を対象に実施した調査では、これらのネットワークの支配権をCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に与えていると回答した企業が全体の42パーセントに上ったのだ。

 また調査対象企業の39パーセントは、ブログ、ウィキ、ソーシャル・ネットワークの運営目的を「アイデア想像のため」と回答。さらに19パーセントは「新製品の開発を促進するツールとして利用」していると回答した。多くの場合、それらの管理はマーケティング部門が担当している。

 「実際のところ、製品開発や顧客ケアなどの価値想像も、いまはマーケティング部門が深く関与している。組織的な視点から見れば、おそらく最適ではない」と、Deloitte Servicesの製品イノベーション・ディレクター、エド・モーラン氏は語る。

 おそらく最適ではない? マーケティング部門は、一般に製品やブランドのアイデアを売り込む素晴らしい仕事をしている。だが、マーケティング部門の人々がソフトウェアやサービスの開発に過度に口出ししたり、製品を購入した顧客と直接やり取りしたりすることを、われわれは望まないだろう。

 モーラン氏は冗談交じりに、「企業のCMOの中にはコミュニティー構築能力に圧倒的な力を発揮する人々もおり、経営陣はそうした人材を遇するために、オンランフォーラムの司会進行を務める”チーフ・コミュニティー・オフィサー”といった新しいポジションを考え出した」と話す。

 実際、「SAPのマーク・ヨルトン氏がそうだ」とモーラン氏は指摘する。SAP Community Networkの上級副社長として、ヨルトン氏は会社が顧客との関係強化に利用するさまざまなコミュニティーを監督している。SAPがヨルトン氏をそのポジションに置いたのは、大勢のスタッフがかかわるより、窓口となる責任者を1人決めたほうが顧客サービスを改善できると判断したからだ。

 そうした動きは、なにもSAPだけではない。Forrester Researchのアナリスト、ジェレミア・オーヤン氏は、大企業のコミュニティー・マネジャーのリストを公開している。

 また、ReadWriteWebのマーシャル・カークパトリック氏も、多くの新興企業がスタッフの中から適任者を選び、「コミュニティー・マネジャー」に任命していることに驚く。

 コミュニティー・マネジャーという新しいポジションが確立しつつあるのは、どうやら間違いなさそうだ。だが、そのポジションは、ここにきて徐々にテクノロジーに精通する人々が占めるようになってきたという。Forresterが7月10日に発表したリポートによると、IT部門がそうした分野における主導権をCMOから奪還しつつあるのだ。

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