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» 2008年07月23日 08時00分 UPDATE

ワークスAPの牧野CEOに聞く:逆黒船――外資の独壇場に攻め込む

外資系のベンダーが強い日本のERP市場で、国産ベンダーの存在感が高まりつつある。ワークスアプリケーションズの牧野CEOに話を聞いた。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 大企業の多くはERPを導入している。主に、SAPやOracleなどの外資系ベンダー製のERPが採用されている。だが、状況に変化が起こり始めた。「国産」のERPベンダー、ワークスアプリケーションズは、業績を2004年の約70億円から2007年には167億円規模に急拡大させた。外資系ERPユーザーを奪うこともしばしばという。外資ベンダーからすると「逆黒船の来襲」ともいえる状況だ。日本におけるERP市場にどんな変化が起きているのか。ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEOにERP市場について聞いた。

makino.jpg 人材採用を重視し、インターン制度などに力を入れている牧野CEO

ITmedia 大企業向けERP市場で顧客数を伸ばしていますが、ユーザー企業の考え方に何か変化があるのでしょうか。

牧野 外資系のERPはかつて、利益に余裕のある大企業が、ホストコンピュータの代わりとして半ば興味本位で導入してきた面があります。しかし、景気が低迷して経営が行き詰まる企業が増える中で、巨額のコストが掛かるERPの導入に疑問が出始めました。「日本の商習慣などにマッチしない外資系製品では業務が回らない」といったユーザーの声が挙がる中で、コストに敏感な企業がわれわれの製品を選ぶようになってきました。

 ワークスの主力製品はもともと人事管理ソフトですが、2004年に発売した会計ソフトが予想を上回る勢いで支持を受けました。人事ソフトの導入企業が採用するケースも目立ちました。われわれが独自に営業しているだけの会計製品が、既に市場全体で22%のシェアを持っています。外資系の製品は価格が高い割りに機能が低い――。そこに市場があったのです。

ITmedia 2010年には生産管理モジュールを発売する予定と聞いています。人事、会計に加えて生産管理機能を提供することで、ERPとしてフルライン化に向かうといえます。それについてどう考えますか。

牧野 生産管理機能は現在開発中です。過去、顧客に人事ソフトを提案すると「会計ソフトは持っていないのか」といった要望をもらうことがよくありました。その意味で、複数製品を持つことは営業効率が良いという判断ができました。生産管理の発売もその考え方に沿ったものです。

ITmedia 日本の製造業者には、自社の生産管理システムをビジネスの屋台骨と考える向きもあります。人事や会計といった本業以外の業務は汎用的なソフトで運営すればいいけれど、生産管理システムをパッケージには任せられないというイメージはありませんか。

牧野 昔ならともかく、現在企業の生産管理にそれほどノウハウがあるわけではありません。パソコンの受注生産を始めたデルモデルなども、いまやパッケージで実現できるものです。生産管理といえども、いまや大半は汎用的な業務機能で処理できると考えています。

ITmedia 生産管理には、最適な生産計画を統計値などを用いながら立案するいわゆる計画系と呼ぶ機能がありますが、日本は工場の権限が強く、トップダウンで細かい生産計画を出されても工場が従わないといった話を聞きます。

牧野 日本企業の強みは個人の力です。個人が優秀だから現場主義でものごとがうまく回るわけです。工場が強いのもそれを映しています。工場に限らず、日本では店長など現場に権限が与えられている企業が多い。本部の判断が正しいというという判断もありますが、個人の力が強い日本にはそれほどなじまないでしょう。一方、米国企業などはあくまでもトップダウンでものごとを決めないといけません。現場には考える力があまりないからです。トップダウンの方がうまく業務が回る傾向があるのです。

ITmedia 人事や会計機能をSaaS(サービスとしてのソフトウェア)形式で提供する考えはありますか。

牧野 よく聞かれます。われわれのERPの大きな特徴はまったくカスタマイズをしないことにあります。顧客企業700社を見てもカスタマイズはゼロです。その意味で、SaaS形式での提供にはかなり向いているといえるでしょう。しかし、それほどSaaSに積極的ではありません。というのも、企業がサーバを外に設置した方が都合がいいものといえば、外からアクセスする機会が多い営業支援システムくらいだからです。それ以外は、セキュリティ面を考えても外に出す理由があまりないと考えています。

ITmedia 現状は直販が多いですが、今後パートナー販売を強化する可能性はありますか。

牧野 われわれはERPを提供する際、カスタマイズを前提としていません。そのためシステムインテグレーターのパートナーがワークスの製品を売るとしても、カスタマイズ需要がなければ売り上げは伸びないでしょう。

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