仕事の対義語は休み? それとも遊び?――ワークライフバランスを考える7月25日はシステム管理者感謝の日(2/3 ページ)

» 2008年07月25日 08時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]

システム管理者よ、集え――「システム管理者の集い」

 「感謝の日」は年に1回(毎月最終金曜日には「プチ感謝の日」もあるという)であるのに対し、恒常的なシステム管理者のコミュニティを設立し、主に仕事以外の面で交流できるようにしようとする動きも出ている。その「システム管理者の集い」の概要も、今回のイベントで紹介され、本格的な始動に向けた推進委員会のメンバー募集告知も同時に行われた。

 『システム管理者の眠れない夜』の著者として知られる大阪市立大学大学院の柳原秀基氏が登場。「システム管理者の皆が集まれる場を作りたいという思いがある。そのため、あくまでも個人の資格で参加してもらう場という方針。現時点では、何らかのアウトプットを出すことや、システム管理者のマネジャーに対するマネジメントセミナーを実施するなど、文字通りシステム管理者が集まるコミュニティとして考えている。現在の準備委員会には、『やりたがり』の人が集まっており、とにかくいろいろやっていこうとアイデアを出しているところ」と話す。

 今後の計画としては、8月中には推進委員会に集まったメンバーで企画を立て、9月には参加者の募集を開始、11月には正式発足を目指しているという。

仕事以外の生活の意味を考える機会

日本女子大学 大沢真知子教授

 仕事に追われ、しかもほかに楽しみを見出せない、そんなシステム管理者も少なくない現状。システム管理者感謝の日を機会に、仕事とその他の生活とのバランス、すなわちワークライフバランスについて考えてみてはいかがだろうか。

 システム管理者感謝の日イベントの基調講演は、日本女子大学 人間社会学部現代社会学科 大沢真知子教授による「ワークライフバランスの実践〜仕事と生活の両立のために」だった。この講演で大沢氏は、これまでの人生経験の中から、ワークライフバランスについて考えるきっかけとなったいくつかのエピソードを紹介した。

 大沢氏は大学卒業後、「好奇心で」米国に渡り、英語と経済学の勉強をしたという。

 「当時は米国でも経済学を学ぼうとする女性が少なかったため、積極的に学ばせようとする風潮があった。それに乗ってしまい、大学院へ。さらには、研究成果がほとんどない日本女性の出生率について研究をしないかと誘われ、そのテーマで博士論文に取り組むことになった。思いもかけぬ機会が次々に目の前に現れて、逃したら後悔するだろうと考えて進み続けた」と、米国での生活を話す。

 だが、ステップアップしていくにつれて高まる目標に疲弊し、「言うなれば燃え尽きていった」という。

 「仕事に対して肩の力が入りすぎていることに気付いた。教授からも『効率を考えて』と言われた。周囲を見回せば、遊んでばかりいるように見える仲間も多いが、彼らの論文がダメなわけではない。ONとOFFを切り替えながら自分の好きなことをして、自分で満足できるような論文を出そうと決めた」(大沢氏)。

 その後、米国の研究者と結婚し、大学で職も得たが、しばらくして日本の研究機関に招かれることになった。日本語が得意でない夫、日本語で論文を書くことに慣れていない大沢氏。日本での生活には、それぞれに苦労があったようだ。

 「私が論文で苦労する姿を見て、『2人で積極的に楽しんで生きよう』と夫は言った。そこから、仕事や家事と同列に、『生きる』ということについて考えるようになっていった」(大沢氏)。

 群馬の山の中に家を構え、東京で仕事しつつ週末は山小屋、夫が好きな犬を飼い、2人で旅をして、その合間に論文を書くという生活を続けてきたという。

 「生活が優先で仕事は二の次だと思われたくないので、論文や著書などで良い仕事を続けるよう心掛けた。他人と違った人生を歩んでしまったばかりに悩むこともあったが、今は楽しく生きたいという思いが強い」(大沢氏)。

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