中堅中小企業の経営基盤改革術

食の安全が叫ばれる中――食品製造業B社の改革例中堅中小企業の経営基盤改革術(2/3 ページ)

» 2008年07月25日 17時26分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

ポイント1 双方向のトレーサビリティへの解

 ERPの生産管理機能を活用し、各商品の製造記録の中に「製造ロット番号」「原材料入庫ロット番号」を含めることによって、商品と原材料を紐付け。製造ロット番号は出荷先と関連し、原材料入庫ロット番号は仕入れ先と関連づけられているため、これによって双方向のトレーサビリティが実現した。

ポイント2 人的ミスを防止できる製造工程管理への解

 原材料に添付されたコードをハンディスキャナで読み取る仕組みをERPと連携させた。製造計画に基づいて生成された指示書データに従って原材料投入をする際、必ず各原材料をハンディスキャナでスキャンさせるようにする。もし誤った原材料が投入されたり、古い原材料が消費される前に新しい原材料が使われてしまったりといったミスが起きた際は警告を発するようにした。製造工程における人的ミスをシステムで防止できるようになった。

ポイント3 自営菓子店と自社の受発注担当双方の負担を軽減する仕組みへの解

 ERPの販売管理機能を用いて、菓子店舗ごとに異なる仕切り額設定を実現。また販売管理や出荷管理において「荷姿情報」を新たに追加した。「商品1を10個入りケースで20箱」といったように商品と出荷ケースとの組み合わせで管理できるようになった。また、各菓子店にもハンディスキャナを貸与し、売り上げ情報をインターネット経由でデータセンタに集積した。各店舗は日々の売上情報をFAX送信する負担から解放され、B社受発注担当も迅速に翌日の生産計画の元になるデータを準備できるようになった。

 このようにして、B社は全国の菓子店舗に対して安心できる和洋菓子を、高い鮮度で提供できるようになった。菓子店舗と良好な信頼、共生関係を築くことで、各店舗におけるB社商品の取り扱い量も順調に増加してきている。今後はハンディスキャナで収集した店舗毎の売上情報を分析し、各店舗の販促支援に役立つデータ提供といった店舗支援の施策にも乗り出す予定である。

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