中堅中小企業の経営基盤改革術

社員が育つ――中堅中小企業の評価制度設計の進め方人事戦略コンサルタントの提言(3)(4/5 ページ)

» 2008年07月28日 08時00分 公開
[三城雄児,ベリングポイント]

ステップ4 運用設計

 運用設計においては、ICTの活用が有効である。この点については、本連載の第4回にて掲載されているので、そちらを参照してほしい。

 ほかに運用設計において重視したいのは、人事評価制度を、評価シートをつくる期末だけのイベントにしないことである。そこで、年間スケジュールや運用フローに、次の2点を組み込んでほしい。

  • インフォーマルなフィードバックを促す施策を実施

 人事評価というのは、期末になって実施するものではなく、日常的なフィードバックを実行した上で行なわれるものであることを、すべての社員に伝える必要がある。評価面談や評価シートの記入時以外に、被評価者と1次評価者との間でインフォーマルなコミュニケーションが促されるような施策(360度サーベイ、管理職研修での動機づけなど)を合わせて実行する年間スケジュールをつくることが必要だ。

  • ラウンドテーブルを開催

 どんなに精緻に作られた人事評価制度であっても、最後は人が人を評価するのだということを理解すべきである。主観による評価は、時に被評価者のモチベーションを下げる要因となる。一方で、評価における主観性を完全に排除することは難しい。そこで、複数人で一人ひとりの評価を検討するというプロセスを運用フローに組み込むことで、客観性を高めることを推奨したい。

 具体的には、各評価者が1次評価を行なったあとに、必ず複数人の評価者を集めた「ラウンドテーブル」を実施することである。ラウンドテーブルでは、各評価者の「甘辛調整」だけではなく、社員の指導育成方針や、評価結果の伝達方法などについても徹底的に話し合う。こういった運用プロセスを導入することで、制度の透明性や客観性が上がり、社員の納得感も高まるのだ【図6】。

【図6】ラウンドテーブルの進行方法

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