GreenIT: User's Case Study 日本総合研究所 × ITR 生熊アナリスト:省エネ法順守の優等生、徹底したコスト管理で「グリーンIT」を実現

経済産業省が定める現行の「省エネ法」において、一定のエネルギーを使用する工場やデータセンターでは前年と比べて1%以上のエネルギー削減を実施するよう規定されている。大手銀行グループのシステムを運用する日本総研は、2007年に「資源エネルギー庁長官表彰」を受賞するなど毎年省エネ目標を達成する“優良データセンター”を運営しており、空調やサーバなど設備に対するコスト管理の結果として「グリーンIT」を実現したという。調査会社アイ・ティ・アールのシニアアナリスト、生熊清司氏がその取り組みを同社に聞いた。


空調コストをいかに抑えるか

ikuma01.jpg アイ・ティ・アール シニアアナリスト 生熊清司氏
外資系コンピュータメーカーを経て、Cognos日本法人の立ち上げに参画。1994年からは日本オラクルにてRDBMSを中心とした製品マーケティングを担当、Oracleのブランド向上に貢献する。2006年8月より現職。昨年より、国内でのグリーンITに関するユーザー調査や雑誌やWebサイトへの情報提供などに力を入れている

生熊  日本総合研究所(日本総研)は、以前から複数の事業部門が連携して環境問題に取り組んでいると聞きます。具体的な内容を教えてください。

中山 わたしたちは、経済や社会全体に新たな価値を創出していくという「知識エンジニアリング」活動を柱として、システムインテグレーション、コンサルティング、シンクタンクの3つの分野で事業を展開しています。同活動による顧客価値の共創という経営理念の下、地球環境問題への取り組みを重要課題の1つとし、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認証を取得するなど、全従業員が事業活動を通じて持続可能な循環社会の実現を目指しています。社外に向けては、環境関連施設の運営、管理のアウトソーシングに対するアドバイザリーをはじめ、エコファンドの調査を受託してSRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)向けに企業情報を提供したりするなど、さまざまな活動を行っています。自社でも、オフィスやデータセンターのエネルギー資源の有効利用、グリーン調達、廃棄物の分別やリサイクルなどに取り組んでいます。

生熊 ITシステム分野に関して、日本でも昨年あたりから「グリーンIT」が注目されています。日本総研が企業のさまざまなシステムを構築する中で、グリーンITを意識することはありますか。あるいは顧客から具体的な要望は寄せられていますか。

中山 わたしたちは、グループ各社向けにシステムサービスを提供していますが、今のところシステム導入に際して「グリーンITで」といった言葉での要望はありません。ただし、グリーンITはCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の一環として取り組むべきですし、省エネによるコスト削減というメリットももたらすため、今後も環境を考慮したサービスを提案していかなければならないと考えています。既にデータセンターでは、徹底した省エネ、省電力対策を実施しています。

生熊 日本総研のデータセンターの概要と、そこでのグリーンITへの取り組みを教えてください。

中山 金融系を中心とするミッションクリティカルなシステムが数多く稼働しており、安定的な電源供給およびマシン室環境の維持、サービス要件に基づくシステム監視、バックアップなどの運用管理サービスを提供しています。金融機関向けということもあり、特に安定的なシステムサービスに全力を注いでいます。ファシリティ面では、24時間365日継続したサービス提供が可能な電源設備やネットワークインフラを準備しています。セキュリティ面では、厳重な入退室管理および万全な情報漏えい対策を推進しています。

 グリーンITに関しては、データセンターに並ぶコンピュータシステムの省エネ化よりも、照明や空調などコンピュータ以外の電力をどこまで落とせるかに注力しています。具体的には、水冷式コンピュータの撤去に伴い、チラー(液体または気体を冷やす装置)からターボ冷凍機に切り替えたほか、外気の冷熱利用や空調設備、照明設備をインバータ化したことで、設備系の消費電力を5年間で約2割削減しました。

エネルギー効率を対前年比で1%ずつ改善

生熊 そうした省エネに対する取り組みにおいて、やはりコスト削減が大きな目的となるのでしょうか。

 そうですね。経済産業省の定める「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」において、データセンターは「第1種エネルギー管理指定工場」とされており、中長期計画を策定してエネルギー使用量を対前年度比で 1%削減することが努力目標になっています。一方で、コンピュータ利用に対する需要が減少していくことはないため、そのほかの電力を抑えるしかありません。省エネタイプの空調や照明などを導入し、それがデータセンターの電力コスト削減にもつながっているというわけです。なお、当社は毎年エネルギー使用量の1%削減を継続しており、大和(神奈川)にあるデータセンターでは、2004年に「関東地区電気使用合理化委員会委員長表彰(最優秀賞)」を、2005年に「関東経済産業局長表彰」を、2007年には「資源エネルギー庁長官表彰」を受賞しました。メガバンクのデータセンターでの受賞は初となります。

nakayama01.jpg 日本総合研究所 中山裕之氏
第一開発部門 基盤システム開発部 部長

中山 データセンターの省エネ化に当たり、最もネックになるのは、コンピュータを冷やす空調の電力コストです。特に夏場の電力コストは大きくかさみます。省エネ法では1年間のエネルギー使用量全体が評価されるため、理想を言えば北海道などの寒い地域にデータセンターを設置し、冬場は冷たい外気を活用して空調を極力使わないことが望ましいです。

生熊 各社ともデータセンターの空調コストには頭を悩ましているようです。やはりコンピュータの省エネは難しいのでしょうか。マシンそのものの電力削減を強調するメーカーも増えています。

中山 データ量が増え、規模が大きくなればなるほど機器一つひとつの消費電力を見過ごすことはできなくなってきます。しかし、さまざまなメーカーから省エネ製品が出ているものの、実際見比べてもどれが良いか判断が難しい部分があります。例えば「消費電力が数%削減できる」とうたっていても、CPUの使用率によって変わってきます。コンピュータの消費電力のスペックを見ても、その数値がピーク時なのかアイドリング時なのかは書かれていないので、これがいつの消費電力なのかユーザーには分かりにくいですよね。メーカーには、この辺りを明確にしてほしいです。

結果的にグリーンITを実現

hayashi01.jpg 日本総合研究所 林豊氏
技術開発部門 運用統括部 部付部長

 そのほかデータセンターでの取り組みとしては、空気の流れを工夫し、空調効率を高めるためにレイアウトをきちんと考えたラックサーバの配置を進めています。当社のデータセンターは、マルチベンダーの機器が導入されてきた経緯があり、ラックの大きさや性能の異なるさまざまなシステムが残っています。一からすべてデータセンターを構築するのであれば容易ですが、既にマシンが入っている状態から改善を進めなければいけないため、ルールを設定して既存の機器と限られたスペースを有効活用する工夫が必要です。

生熊 そうした取り組みの中で、サーバの統合や集約といったことも行っているのですか。

中山 はい、当初サーバ統合の目的はあくまでコスト削減でした。サーバ1台につき保守料が掛かるため、例えば100台を20台に集約すれば、それだけ保守コストが削減できるからです。しかし、結果的に消費電力の削減にもつながっています。

生熊 そうした発想はグリーンITを進める上で大事なことだと思います。わざわざグリーンITのために何かをするのではなく、データセンターのコスト削減や効率化を追求した結果、消費電力や二酸化炭素(CO2)の削減に結び付く形にならないと長期的な取り組みにはならないのではないでしょうか。

中山 グリーンITの問題点は、省エネを考慮したIT機器やサーバ統合などによって実際にどの程度コストパフォーマンスが向上したか明確に分からないことです。電力消費量がどう変わったかだけで、1キロワット当たりでどれだけの処理ができるようになったかというパフォーマンス面は見ていません。先ほどの例で、サーバ100台から20台に集約したときに、データセンター全体の電力量は比較できますが、1台1台のパフォーマンスまでは計れません。

生熊 確かにグリーンITには指針がないのが現状です。さまざまなベンダーが参加し、データセンターにおけるエネルギー性能の向上推進に取り組んでいるNPOコンソーシアム「The Green Grid」が定める基準値は主に電力消費量です。今後はベンダーや業界団体がコストパフォーマンスに関しても明確な指針や数値化できる基準をつくっていく必要があります。

サーバの集約、統合についてお話しがありましたが、データの集約に関してはいかがでしょうか。データ量の増加や高密度化などにより、ストレージをシェアしていこうという考えはありますか。

中山 はい、1年ほど前から取り組んでいます。これまでは、容量の余ったストレージがシステムごとに大量に並んでおり実に無駄な状態でした。そこでストレージ容量を有効に利用できるようにするために、各システムから大容量のストレージに接続して共有できるようにしました。容量の割り当てはサーバごとに申請してもらう形にして、足りなくなれば追加申請できるようにしました。

この統合ストレージ選定にあたっては、グリーンITについても意識しました。MAID(Massive Array of Idle Disks)技術に基づいて不使用時はスピンドル回転を停止できること、ストレージ同士での遠隔地ミラーリングを可能とし、ディザスタサイトへのデータ伝送に際して専用サーバを必要としない構成にすることなどです。

生熊 機器選定において、グリーンIT以外で考慮したポイントはありますか?

中山 昨今のデータ保護への要求の高まりを受け、ストレージ装置自身でデータ暗号化できることも重要な要件として検討しました。暗号化機能を持ったストレージを使用することで、既存のシステムでアプリケーションを変更することなくデータを暗号化できるようになり、データ保護対策の強化を実現しています。

コストを掛けてでも省エネすべき

生熊 コスト削減や災害対策などさまざまな面からデータ集約を行っているわけですね。ストレージ統合する上でBrocade製品を活用しているということですが、採用理由を教えてください。

中山 センター拠点をまたがるストレージインタフェースのプラットフォームとして「Brocade USDXやBrocade7500」を導入しています。選定のポイントとして、信頼性や導入実績があり、かつ、大容量のデータを安定して流せる高性能なストレージネットワークを実現できる点です。また、いろいろなシステムをつなぐポイントには、最大384ポートまで収容できるファイバチャネル(FC)・ダイレクタ「Brocade 48000」を採用しています。実績や信頼性の面を考えると、Brocade以外の選択肢はなかったというのが正直なところです。

brocade_fig01.jpg 日本総研におけるシステム構成図

生熊 Brocadeは設立当初からグリーン化を重視しており、環境に配慮した製品の開発などによって積極的にコミットメントしています。

中山 Brocadeは、部品点数を少なくすることで省電力設計を実現しているようですが、これはそのまま製品の信頼性、すなわち故障率の低さにつながってきます。グリーンITに良いことは、システムの安定性にも重要だということだと思います。

生熊 日本総研がIT機器を選定する際に、グリーンITに対応していることは重要になってくるでしょうか。

中山 今後はより一層環境面を考慮せざるを得ないと思います。単にコストを削減できるからではなく、コストを掛けてでも省エネしなければならない時代が来ています。実際に、2009年4月には省エネ改正法が施行され、データセンターだけでなくオフィスなどの業務部門も電力削減が求められてきます。そうしたときに、オフィスのPCだけでなくルータやスイッチなどのネットワーク機器の省エネ化が重要になると考えています。例えば、銀行の全支店を合わせれば数万個ものネットワーク機器があるため、それぞれの消費電力を1ワット減らすだけでも相当の省エネ効果が期待できます。まだ細かな指針は出していませんが、恐らく今後は大きな選定基準になるはずです。メーカーには、今後ますますこうした問題への取組みが求められるようになることは間違いないでしょう。

生熊 銀行でのシンクライアント端末の導入はいかがでしょうか。数万台というPCのディスクをデータセンターに集約、統合することで、業務の効率化と消費電力の削減につながると思います。

中山 以前から検討していますが、さまざまな制約があり難しいですね。導入コストがネックとなりますし、ネットワークブートやサーバベースなどさまざまな実装方式があるため、どれが最適なのか時間をかけて検証する必要があります。一方でシンクライアントに期待される情報漏えい対策については、既に各支店の端末のデータはすべてセンター集約されており、PCのCドライブなどにデータを書き込めないようにしてあります。従って、基本的にはシンクライアントと何ら変わりません。ただしPCにディスクがある以上、データが物理的に存在しないという証明は難しいので、顧客はそこに懸念を持ちシンクライアントの選択を望みます。もちろんわたしたちも最終的には導入を考えていますが、銀行は特に拠点が多いのでコストが膨れ上がります。そこが一番の悩みです。

生熊 Brocadeは今後、従来のSANスイッチングプラットフォームだけでなく、データセンターの多様なネットワーキングを支援するさまざまなソリューションを展開していくようです。期待や要望があれば教えてください。

中山 従来の汎用ネットワークインフラを用いてSANシステムを構築するiSCSIや、FCのプロトコルをイーサネットフレームとして運ぶFCoE(Fibre Channel over Ethernet)など、データセンターにおけるネットワーク技術には、次々に新しいものが登場します。Brocadeには、データセンター・ネットワーキングでのリーダーシップを新しい技術分野においても発揮すると共に、FCの標準化を進める米ファイバチャネル協議会(FCIA)の場においても、今後も積極的に業界をリードしてもらいたいです。


グリーンIT実現のための考慮点とは?
〜ユーザ企業が認めるBrocadeグリーン・ソリューションの秘密〜

SANスイッチをはじめとするデータセンター・ネットワーキング・ソリューションのリーディング・プロバイダーであるBrocade。グリーンITが叫ばれる昨今、設立以来一貫して製品の省電力化に取り組み、ユーザ企業が評価するBrocadeの強みとはいったいどこから来るのか?

今なら、米ストレージ・ネットワーキング協会(SNIA)のグリーン・ストレージ・イニシアチブで会長を努めるBrocadeが、グリーンITとは何か、グリーンITのために考慮すべきポイントとは何かを解説するホワイトペーパーのダウンロード・キャンペーン実施中。クイズに回答いただいた方の中から抽選でNintendo WiiとQUOカードが当たります。ぜひご参加ください


Brocade Partners
ブロケードはパートナーとともにグリーンITの実現に取り組んでいます

※順不同/五十音順




提供:ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年9月11日