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» 2008年08月08日 11時27分 UPDATE

Borlandがアジャイル開発を本格採用

Borlandは、ソフトウェアデリバリー戦略の中核としてアジャイル開発の採用を進めている。アプリケーション開発のスピードアップとコストの削減が目的だ。

[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Borland Softwareでは、アジャイルソフトウェア開発を本格的に採用しようとしている。

 8月6日にトロントで開催された「Agile 2008」カンファレンスにおいて、Borlandの研究開発担当副社長、ピート・モロースキー氏は「Driving Agile Transformation from the Top Down」(トップダウンで推進するアジャイル化)と題した講演を行った。

 モロースキー氏はeWEEKの取材で、「アジャイルの中心的な狙いは、予測可能なデリバリースケジュール、成果物の品質改善、ユーザー満足度の向上である。ビジネスをアジャイル化するには、ソフトウェアデリバリー組織のアジャイル化をさらに進める必要があるとわれわれは判断した」と話した。

 「アジャイル化を進める上での最大の懸念は、コントロールができなくなるのではないかという問題だが、現実には最初からコントロールなどできていなかったのだ。プロジェクトマネジャーたちはスケジュールを作成するが、計画した日程とその背後で進行している作業の間には、何のつながりもないのが実情だ。実際の作業に対する可視性が存在しないのである。スケジュールはデリバリープロセスを推進するものではなく、報告書作成ツールになってしまっている。アジャイルはこの現実を変えることができる」と同氏は語る。

 アジャイル開発では、ソフトウェア開発プロセスのスリム化と生産性向上のために、さまざまな手法が用いられる。この目的は、全体の成果物を小さな機能部分に分割して、反復開発を行うことによって実現される。

 「わたしがアジャイル化を推進するに当たっては、ビジネスの視点からそれを評価する必要がある。アジャイルが自社にどんな効果をもたらすのかという視点だ」とモロースキー氏は話す。

 「わたしは従来方式とアジャイル方式の両方に目を向け、アジャイル方式の利用は最大の成果を実現するのがどの部分であるのかを理解する必要もある。結局、予測可能で高品質の成果物を提供できるのであれば、どの手法を用いるかは大した問題ではないのだ。この目標実現のプロセスを管理するにはインテリジェンスが必要だ。TeamAnalyticsを利用すれば、何が効果を上げていて何がそうではないかを確認する、トレンドを把握する、注意が必要な分野を顕在化する、正しい情報に基づいて判断を下すといったことが可能になる」(同氏)

 さらにモロースキー氏によると、企業がアジャイル開発に移行する方法を決めるに当たっては、現在および過去の指標に対する可視性が不可欠である。それを抜きにしては、移行の成功はおぼつかないという。「アジャイル化が開発チームにもたらす主要なメリットを理解し、アジャイル化するのが最も理にかなっているプロジェクトを特定するのに役立ったのがデータだ」と同氏は語る。

 Borlandが自社の開発戦略でアジャイル手法の採用を決めた理由は何だろうか。

 モロースキー氏によると、同社の製品開発部門は、アジアと欧州の開発拠点を含む5カ所の主要拠点で350人余りのスタッフを抱えている。開発組織は12〜35人の技術者からなるチームで構成され、非常に広範囲の製品ポートフォリオの開発に取り組んでいる。そこでは新規のプロジェクトと継続的なプロジェクトが混在しており、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)や企業のIT部門とも連携している。かつては、これらのチームは比較的独立して仕事を進めることができ、異なるプロジェクトが重なったり、プロジェクト同士が互いに重大な影響を及ぼすといったことはなかったという。「しかし各種の製品をスイートに統合するというBorlandのビジネス戦略の進化に伴い、チーム間での連携の必要が高まった」と同氏は説明する。

 創業25年のBorlandは、数々の変化を経験してきた。その過程で同社は、全世界のさまざまな地域で多くの企業を買収した。

 「わたしがBorlandに入ったとき、製品部門が過度に分散し、管理職も多すぎると感じた。それに、コスト/投資構造も会社の戦略目標と合致していなかった」とモロースキー氏は振り返る。

 「加えて、各開発チームはデリバリー目標を達成するのにいつも苦労していた。わたしの任務は、強力な業務管理を導入するとともに、コストを削減し、組織の効率化と品質改善を実現することだった。わたしは組織を全面的に改革することに決めた。この取り組みの一部がアジャイル開発の利用を拡大することだった」(同氏)

 アジャイル開発をめぐるBorlandの当初の展開は、多くの企業で見られた典型的なパターンだった。すなわち、2〜3のチームの草の根的な取り組みとしてスタートしたのである。しかし同社の場合、特徴的だったのは、これらの草の根チームが当初から、幹部からの可視性とサポートを高いレベルで実現していたことである。これは主として、これらのチームの1つが、スクラム開発方式のプロジェクトを管理するための新製品の開発を担当していたことによる。

 モロースキー氏によると、同氏が2006年に入社した時点で、同社の環境は既に「アジャイルフレンドリー」になっており、多くのチームがスクラム方式を試していた(あるいは採用を表明していた)。スクラム方式を利用していたチームのメンバーの間では、同アプローチの経験やコミットメントのレベルはさまざまだったという。「スクラム方式を利用していないチームのメンバーたちは、懐疑心と好奇心が混ざった目で見ていた」と同氏は付け加える。

 「しかしアジャイル開発が全社的に議論を巻き起こしたのは確かであり、採用の初期段階で既に成功の兆しがはっきり見えていた」と同氏は語る。アジャイルの成果は、製品バックログとユーザーストーリーの積極的な活用による要件管理の改善、毎日のスタンドアップミーティングによるチームコラボレーションの強化、ワーキングコードの頻繁な統合とデリバリーによるプロジェクトの現状に対する可視性の向上といった形で具体的に現れたという。

 Borlandの開発者の典型的な1日は、毎日のスタンドアップミーティングで始まる。このミーティングには各チームのメンバーが集まり、前日に達成したことや、その日に予定している作業、直面している障害や課題などについて話し合う。

 「当社のチームは、TeamFocusのTeam Board画面をプロジェクターで壁に映し出してスタンドアップミーティングを行う。離れた場所にいるチームメンバーもTeam Boardを見ることができる」とモロースキー氏は話す。

 「作業の変更や仕事の見直しが生じた場合でも、彼らが1日中使っているシステムにそれを直ちに入力できるので、チームそして全社がプロジェクトの最新状況を把握することができる。各チームはこの情報に基づいて次の作業に取り掛かるのだ。それがこのアプローチの最大のメリットだ」(同氏)

 TeamFocusは、アジャイル開発を支援するためのBorlandの技術である。

 モロースキー氏によると、Borlandでは研究開発だけにとどまらず、デリバリーの流れをスムーズにするために、「パイプ」の最初と最後のプロセスの改善といった課題にも取り組むつもりだという。「もはや開発サイクルが、12カ月や24カ月といった単位で表されることはない。開発サイクルの変更に対応するためには、要件定義とNPI(新製品投入)プロセスのあり方を変革する必要もある」と同氏は話す。

 また、Borlandの新本社もアジャイルチームのニーズに対応できるように設計されているという。

 「アジャイル開発の効果を示すものとして、Borlandでは1年当たりのリリース件数が100%増えた」とモロースキー氏は語る。

 「われわれが構築したベンダーと顧客のパートナーシップは、これまでわたしが見たこともないほど緊密かつ良好だ。戦略的顧客との関係も深まっており、彼らは50以上のスプリントレビューに参加した」(同氏)

 BorlandではTeamFocusを利用することにより、管理とプランニングにかかわるオーバーヘッドが3週間のスプリント当たり平均で15時間減少したという。「また、副社長とディレクターがこれまで報告書作成に費やしていた時間も、1つの製品グループで1カ月に付き6日ほど削減できたのではないかと思う」と同氏は話す。

 モロースキー氏によると、Borlandでは製品品質も向上しており、リリース間で解決すべき問題も50%減少したという。

 「この秋に一般向けにリリースするBorland TeamFocusは、エンタープライズプロジェクト管理/遂行支援製品で、当社がアジャイルエンタープライズへ移行するのに役立った」とモロースキー氏は話す。

 しかしTeamFocusは、アジャイル方式だけでなく伝統的な開発方式もサポートするようデザインされているので、各チームは自分たちにとって最も効率的な方法で作業することができる。アジャイルチームの場合は、リリースやスプリントの計画を作成する、バックログとユーザーストーリーを管理する、バーンダウンチャートとコルクボードを使ってコラボレーションを行うといった目的にTeamFocusを利用できるという。

 「このツールはアジャイルチームの作業を支援し、彼らの作業効率を高められるようにする一方で、進捗状況に対する可視性を管理者に自動的に提供する」と同氏は話す。

 「現在、Borlandのアジャイルチームは、TeamFocusを使って毎日のスタンドアップミーティングおよびスプリントレビューを管理している。TeamFocusは日々の“ワークベンチ”の役割も果たしており、アジャイルチームは日々のプランに照らして進行状況を図表化したり、変更に関する最新情報を受け取ったりできる。しかも、1つのページでスプリント作業全体をカバーできる。組織という視点で見れば、TeamFocusはすべての担当プロジェクトの一覧表を部門長に提供する。彼らはこの一覧表の中で、現在の指標をリアルタイムに見ることができる。TeamFocusは、基盤部分に置かれているALM(アプリケーションライフサイクル管理)ツールを通じてこれらの指標を表示する。当社のALMツールは、Borland Caliber、Borland StarTeamおよびBorland SilkCentral Test Managerである」(同氏)

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