サーモグラフィでPCの発熱を測定せよ【後編】計る測る量るスペック調査隊(3/4 ページ)

» 2008年08月14日 12時00分 公開
[ITmedia]

HDD設置方法による発熱の違い

 2基のHDDを位置を変えて設置し、その違いによる温度変化の差を測定した。実験では3.5インチベイ上段にMaxtorのDiamondMax 10(型番6L250S0、容量250GB)、下段に日立のDeskstar(型番HDT722516DLA380、容量160GB)をそれぞれ設置し、以下の実験条件で測定を行った。計測結果は上段がHDDを間を空けて設置した場合、下段は間を空けずに設置した場合のものとなっており、それ以外の条件はそれぞれ同一である。

条件 説明
アイドル時 PCを起動し、デスクトップ画面を表示させた状態(起動10分後)
アクセス時 スクリプト実行時(実行後10分後)
アクセス時(ファン使用) PCケース前面、HDD前にケースファンを設置した状態でのスクリプトを実行させた状態(実行後10分後)

 それぞれの測定結果を比べてみると、HDDを間を空けずに装着した場合、間を空けた場合よりも熱を持つことが分かる。とくに、連続アクセス時の発熱は顕著であった。また、今回使用したもののように、最近のケースではHDD近くにファンを搭載したケースが多いが、こちらはHDDの冷却に効果的であることも分かる。

 なお、実験で使用したHDDの回転数はどちらも7200rpmであるが、DeskstarのほうがDiamondMax 10よりも若干発熱が少ないように見受けられた。両者容量が異なるので単純に比較はできないが、今回使用したDeskstarはHDD内の円盤(プラッタ)が2枚なのに対し、DiamondMax 10は3枚と言われており、その違いが発熱差に現れたとも考えられる。

HDD設置方法による発熱の違い

HDD設置方法による発熱の違い(その2)

 先ほどと同様の条件(スクリプト実行10分後)でHDD付近のみを測定した。

HDD設置方法による発熱の違い

 これらから、複数のHDDをすき間を空けずに設置した場合、密着した部分がかなりの高温になることが分かる。前述のとおり、高温下ではHDDは劣化が進むことが分かっているため、このような設置はなるべく避けたほうがよさそうだ。

 また、OSやBIOSの設定によっては、HDDへのアクセスが一定時間ない場合HDD内のディスク回転を停止させる、「スピンダウン」という機能が利用できる。「冷却ファン+スピンダウン使用」は、次のようにLinux環境でスピンダウン設定を行った場合のHDD温度を測定したものだ(この例のみ、HDDはアイドル状態で測定)。

# hdparm -S 1 /dev/hda


 スピンダウンは発熱の原因の1つであるディスクの回転自体を停止させるため、発熱低減に大きな効果のあることが分かる。

コラム:HDDのスピンダウン

 HDDのスピンダウンを行うには、Linux環境ではhdparmコマンドを「-S」オプション付きで実行する。

hdparm -S <スピンダウン間隔> <対象HDD>


 このように設定を行うと、<スピンダウン間隔>で指定した値×5秒間、対象HDDへのアクセスがない場合に対象HDDをスピンダウンさせることができる。一方、Windows XPではコントロールパネル中の「電源オプション」内、「ハードディスクの電源を切る」項目で設定が行える。

 なお、スピンダウンからの復帰時には停止していたディスクを再度高速回転させるため、一時的に大電力が必要となり、HDD自体にも負荷がかかる。そのため、あまり頻繁にスピンダウンを行うのは避けた方がよさそうだ。


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