中堅中小企業の経営基盤改革術

理念なき企業は滅ぶ――中堅中小企業の組織活性化人事戦略コンサルタントの提言(5)(2/2 ページ)

» 2008年08月18日 15時00分 公開
[三城雄児(ベリングポイント),ITmedia]
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チームごとに競わせる

 ステップ1で検討メンバーを選定する際には、多様な分野からできるだけ多くの従業員を参画させる。その際に、少人数のチームに分けて、チームごとに競わせる形式をとると、各チーム/各メンバーが自発的に努力をする素地ができるため有効である。

チーム内にあえて混乱を起こして本音を引き出す

 中間報告や最終報告の場で簡単に議論を終わらせず、あえて「ダメ出し」をすることで、参画メンバーを混乱させることも必要である。参加者の総意をまとめただけの体裁の良い報告書を作ることが目的ではない。従業員の本音を引き出し、経営者と近い視座で自ら考えさせ、議論させることに重きを置くべきである。

 上記の手順に従った理念構築プロジェクト(A社)の例は下図の通りである。

 

理念のしっかりした長寿企業を目指そう

 これまでの全5回の連載では、一貫して「目的」を持つことの重要性を訴えてきた。人事評価制度を入れる際にも、報酬制度を考える際にも、ICTを導入する際にも、目的をどこにおくのかを常に明確にしておかなければならない。

 企業理念は企業が存続していく際の根本的な「目的」である。いわゆる「老舗」と呼ばれる長寿企業の数は、諸外国と比べると日本企業はダントツに多いと聞いたことがあるが、長寿企業には例外なく企業理念またはそれに類したものが存在している。企業理念は、企業が長く存続していくために不可欠なものである。

 売り上げや利益など財務数値だけを追いかけるだけの企業には人材は定着せず、社会的にも認められにくい。社会的認知度の高くない中堅中小企業が成長しながらマーケットに存在し続けるためには、共感した人材が長く定着し、社会的にも価値を認められる、明快な企業理念が必要なのである。

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著者プロフィール:三城雄児 ベリングポイント 組織・人事戦略チーム マネージャー

組織・人事戦略の構築支援、企業理念・コア・バリュー浸透支援、人事制度構築・導入・運用支援、目標管理・業績管理体系の構築、企業内教育体制の整備、e-ラーニング導入・活用、管理職の意識改革、役員制度改革など、組織・人事にかかわるさまざまなコンサルティングプロジェクト経験を有する。また、組織・人事に関して、積極的な講演・執筆活動を行っている。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。


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