Intel会長、テクノロジーと教育の融合を推進

新興国では教育、経済開発、医療にテクノロジーを応用する必要があると、Intelのクレイグ・バレット会長はIDFの基調講演で語った。

» 2008年08月20日 14時17分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 米Intelのクレイグ・バレット会長は8月19日、2008 Intel Developer Forum(IDF)の開幕講演で、テクノロジーがいかにして教育、マイクロファイナンス(低所得者向け小規模金融)、医療を向上させるかという広範な話題を熱心に語った。

 同氏はIntel会長としてここ数年、テクノロジーと教育の融合に主に関心を寄せ、世界中を回ってこのビジョンを説いてきた。

 同氏のIDF開幕基調講演では、今年のIDFの目玉の1つと目されているIntelの新プロセッサ技術「Nehalem」に関する詳しい説明はなかった。代わりに同氏は、テクノロジーと生活向上を融合させようとしている自身の体験について語った。また、会場に集まったエンジニアと開発者に、医療やマイクロファイナンスの分野でスキルを生かすよう促した。

 同氏はこうした改善が必要な場所として、新興経済地域の中国、インド、南アフリカ、東欧を挙げた。これら地域の人々は世界の自由市場経済に参加しつつあるが、教育や医療などの基本的なサービスを利用できないでいるという。

 「わたしが訪れている国では、皆が、成功と前進のためにはテクノロジーを知り、理解し、活用する必要があることを認識している」とバレット氏。「彼ら(新興国市場の政府)は国民とのコミュニケーションのために、教育、経済開発、医療にテクノロジーを利用しなければならない」

 バレット氏は、教育、技術研究開発に欠かせない投資が不足していると思われる国として米国を挙げた。他国の投資に後れを取り始めていると同氏は言う。

 「われわれは教育に十分に焦点を当てていない」とバレット氏。「革新にインセンティブを与えることに十分焦点を当てていない。研究開発に関する税金控除がない。現時点では、それで十分な政治的メッセージになるのに、政府は将来の研究開発投資や、われわれが日常的にやっているようなことが、米国の将来の競争力にとって重要だと認めようとしない」

 テクノロジー、革新、経済機会の融合を説明するために、バレット氏はジョニー・リー氏をステージに呼んで、リー氏が開発したソフトと任天堂のWiiを使った学校向け双方向ホワイトボードをデモした。リー氏は、このシステムのコストは50ドルを切り、新興国の学校には手ごろな価格になると見込んでいる。

 バレット氏は、新興国市場の起業家向けのマイクロファイナンスとローンを提供する非営利事業「Kiva」も取り上げた。KivaのCEOで元ソフト技術者のマット・フラナリー氏は、Kivaのサイトでの融資は75%が女性に対するもので、そのうち90%以上が返済されていると語る。

 同氏は、ウガンダなどアフリカの広範な地域で起きているインターネット接続問題の克服が課題だと語った。このプロジェクトの目的は、教育やマイクロファイナンスなど、ビジネスの世界でうまくいっているものを別の分野に応用することだという。

 「Kivaでやりたいのは、融資などオフラインだったものを、初めてオンラインに持ち込むことだ」とフラナリー氏。「大きな課題の1つは接続だ。初めてウガンダに行ったとき、1日おきに電源が使えなくなった。皆さんにアドバイスするとしたら、エンジニアリングとソフトのスキルを、自分の気になっているものに利用するべきだ」

 ほかの講演者は医療についての見解を述べた。2008 Intel Science Talent Searchコンテストで3位に入賞したブライアン・キャシー氏は、科学に関心を持つようになった経緯やコンテストで3位をとったプロジェクトについて語った。

 教育、医療、経済開発、環境分野への注力の一環として、バレット氏は、これら分野のニーズを満たすためにテクノロジーを応用している人々に10万ドルを提供すると発表した。詳しい情報はこちら

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