ブレードサーバでグリーン&仮想化

暑い夏に考える――データセンターを冷やす取り組みグリーンITのこと、IBMに聞いてみた(2/2 ページ)

» 2008年08月21日 08時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]
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“データセンター”製品群と仮想化技術

 「建設」アプローチは、主にデータセンターの建設・構築に関わる内容だ。あまり知られていないが、IBMには一級建築士もおり、アウトソースすることなくデータセンター全体を企画、設計できるという。データセンター設計のスキルやノウハウは、建屋から作るのでなくオフィスビルなどの中にサーバ室を作る際にも役立てられる。さらに、そのノウハウをパッケージ化した製品群「IBM Data Center Family」も用意している。この“データセンター”製品群は目的や規模に応じたバリエーションとなっているが、いずれもデータセンター構築期間の短縮や、高いエネルギー効率を実現するものとなっている。例えば、ダノンジャパンでは、このデータセンター製品を用いた「モジュラー・データセンター提供サービス」を採用(pdfへのリンク)、本社移転に伴う短いスケジュールを厳守せねばならない状況下で、無事に稼働させたという。

 3番目の「仮想化」は、サーバやストレージの仮想化によってシステムリソース全体の利用効率を向上させたり、物理的な台数削減によって運用効率を向上させたりする。これまでも仮想化技術のメリットとして紹介されてきた内容だが、IBM自身が取り組んでいる「3900台のサーバを30台のメインフレームに集約」するプロジェクトでは、80%もの省エネと、今後5年間で2億5000万ドルのTCO削減が見込まれているという。日本企業の事例では、石川島播磨重工が13台から2台へのサーバ統合を行って消費電力を40%削減、運用コストも3割減といった成果を出している。

 4番目の「管理」は、電力管理ツールによる消費電力監視と制御を中心としたものだ。IBMでは、サーバをはじめとする各種機器の消費電力、温度などの情報を収集し、可視化するツール「Active Energy Manager(AEM)」を開発しており、その最新版ではデータセンターのエネルギー消費効率をリアルタイムで把握できるまでになっているという。

日本の省エネ技術を世界へ

 「5つのアプローチ」としては最後に書かれているが、かなり重要な取り組みが「冷却」だ。IBMはラック後部ドアを用いた冷却技術の特許を持っているが、その技術を水冷式だけでなく冷媒式に展開するため三洋電機と共同で開発したのが冷媒式Rear Door Heat eXchanger(RDHX)である。ラックに組み込むので場所を取らず設置でき、ホットスポットを集中的に冷却できるのが特徴だ。既存の空調に対する追加冷却を高い効率で可能にする。自動車部品製造業の小島プレスでは、ワークステーションをシンクライアント化してサーバ室に統合する中で、冷却効率を向上したいという課題が出たので、このRDHXの採用を決定、消費電力の大幅な削減を見込んでいるという。

 阪口氏は次のように話す。「冷媒式は水冷式より効率面で不利と言われていたが、三洋電機と共同開発した本製品は、水冷式と同等か、それ以上の効率を出せる。日本は、これまでにも省エネの努力を続けてきて、優れた技術が蓄積されている。その技術を世界に向けても発信してきたい」

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