クロネコヤマトを支え続ける高信頼のIDC――その最後の砦は「ヒト」社会基盤化するデータセンター

ヤマトシステム開発の「新東京IDC」は、一般的なIDCの枠組みを超え、社会インフラとしての役割を果たすため作られたデータセンターだという。長年にわたって「クロネコヤマトの宅急便」ブランドをシステム面から支えてきた実績が、同センターにはどのように反映されているのだろうか。

» 2008年08月25日 10時00分 公開
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DNAはヤマト運輸の事業を支えるデータセンター

 「(クロネコヤマトの)宅急便」というサービスの名称は、一般名詞である宅配便そのものの代名詞としても通用する、業界きってのブランド力を持つ。ヤマトグループが培ってきた信頼と実績は、宅配サービス拡充への挑戦を繰り返し、業界をリードし続けてきたからこそのものだと言える。

 ヤマト運輸は、業界に先駆けて配送状況を把握できるシステムを構築するなど、情報面でも先進的な取り組みを続けてきた。宅配サービスの情報化を担ってきたのが、ヤマトグループの情報部門を担当するヤマトシステム開発だ。データエントリーサービスなどを皮切りに30年以上にわたってヤマト運輸が求める高度な情報化ニーズへ対応してきた。

 そのシステムは「NEKOシステム」と呼ばれ、数々の改良が加えられつつ世代を重ね、現在は第6世代のNEKOシステムが運用されている。これにより、ほぼリアルタイムで個々の荷物の状況が分かるようになった。

ヤマトシステム開発 ITセキュアソリューション事業部 IDCサービスグループ リーダー 荒金悟 氏 ヤマトシステム開発 ITセキュアソリューション事業部 IDCサービスグループ リーダー
荒金悟 氏

 ヤマトシステム開発 ITセキュアソリューション事業部 IDCサービスグループ 荒金悟リーダーは、このNEKOシステム運用の重要性について、次のように話す。

 「ヤマト運輸が取り扱う荷物は年間12億個、メール便は22億冊。この数からも分かるように、ヤマト運輸のサービスというのは、もはや社会インフラの一部と言えるくらいに社会的重要性が高まっている。たとえ大規模災害時でも、サービスの継続が求められている」

 つまり、荷物取り扱いを支えるNEKOシステムは止まることが許されないシステムなのだ。そこでヤマトシステム開発では、東京、大阪のデータセンターによって、東阪バックアップ体制を構築している。広域災害などによって片方のセンターの機能が損なわれても、システム全体としては運用が続けられる仕組みだ。

 「このバックアップ体制が、ヤマトグループのビジネスを守るためだけでなく、データセンターを利用するほかの顧客のビジネスも支えている」と荒金氏は話す。

実際の災害で鍛えられたデータセンター設備

 災害への備えを考えた場合、拠点のバックアップ体制だけでなく、データセンターそのものも災害に強いことが望ましいのは言うまでもない。

 現在、ヤマトシステム開発がクロネコデータセンターサービスの主要拠点としているのは、2003年4月にオープンした「新東京IDC」だ。このデータセンターは、同社にとって最新かつ最高の設備だという。

 まず、地盤の液状化に備えて堅固な基礎を作った上に、積層ゴムやオイルダンパーなどによる免震を施してある。地震による揺れを軽減することで被害を抑制する設計だ。

 また、データセンターへの出入りは非接触ICカードで管理しているほか、セキュリティレベルの高いエリアでは生体認証も併用し、高度な物理セキュリティとスタッフの利便性の両立を図っている。

新東京IDCの信頼性を支える各種設備 新東京IDCの信頼性を支える各種設備

 だが、こうした免震構造や物理セキュリティなどは、最近のデータセンターにとってみれば基本中の基本のようなもの。ヤマトシステム開発に限ったことではない。新東京IDCの特徴は、実際の災害などから学んだ貴重な経験や、そこから得た教訓が生かされている点にある、と荒金氏は話す。

 「データセンターを動かす“ヒト”にも配慮している。非常用の水や食料に加えて宿泊施設も完備しており、仮に50人のスタッフをセンターに緊急配備することになっても、1週間は生活できる。例えばトイレなども、雨水を処理して利用する仕組みとしており、環境に配慮すると同時に断水時にも生活レベルを低下させることはない」

 1984年のことだ。世田谷区で発生した地下ケーブル火災により、NTTの基幹回線など通信インフラが大打撃を受けた。東京データセンターを設置したばかりだったヤマトシステム開発は、その回線障害への対応に追われた。

 「サービスを停止させないため、データを記録した磁気テープを人が持って運び、そのデータを取り込んだり出力したりしなければならなかったが、センターに多数の人員を確保して乗り切った」と荒金氏は当時の経緯を話す。

 また、阪神淡路大震災では、関西地区の事業所が影響を受けた。「交通網が寸断されて人の移動が困難になり、人員交代ができなくなった。その時点で拠点にとどまっていた職員が、サービスを継続するため、連日作業を続けた」(荒金氏)という。

 これらの経験から、災害時にデータセンターを守るのはシステムや設備だけでなく、最終的には人間だと学んだのだという。

 東京で2拠点目となる「新東京IDC」において、こうした経験が生かされているのは、当然のことだと言えよう。

ブランドの重みと顧客からの信頼は「ヒト」で支える

 ヤマトグループ全体が掲げる標語に、「任せて安心・安全」という言葉がある。それは、荷物だけのことではない。クロネコデータセンターサービスも同じことだと荒金氏は言う。

 前述のようにヤマトグループの情報システム系企業として生まれた同社だが、いまではその売り上げの70%強が一般企業によって占められている。その顔ぶれは名だたるメジャー企業や外資系企業から中堅・中小企業と多彩。業種としては金融系の顧客も多いという。このような実績は、金融系企業も利用するに足る信頼性があることの、証左だといえよう。

 「ただ、どちらかというと、堅実なビジネスを手掛けている企業が多いように思う。例えば、伝統あるせんべい屋、漬物屋、酒造会社などでは、宅配に関してはヤマト運輸を利用し、情報システムに関しては当社の顧客というところも多い。しかし、そうした地場の企業であっても、宅配を通じて日本全国に顧客を持っていることが多くなっており、システムに関しても全国レベルでの耐障害性が求められ始めている」(荒金氏)

 ヤマトシステム開発は地方拠点が多いことも特徴だ。全国のヤマト運輸の拠点に対してサポートを展開してきたこともあって拡大を進めてきたというが、この拠点網は各地の企業に対する手厚いサービス提供を可能にする重要な人的ネットワークでもある。システムインテグレーターを通じてではなく、地方の顧客にも直接サービスを提供できる点は、大きな強みだ。

 「現在は36拠点。地方の顧客が東京・大阪のセンターを利用する場合にもサポートしやすい。ある地方の中堅ホームセンターでは、企業責任として事業継続性を考え、当社をバックアップセンターとして利用することになった」(荒金氏)

 ここ数年、システムの災害対策や、情報セキュリティの意識が高まってきて、ヤマトシステム開発のクロネコデータセンターサービスも好調に推移しているようだ。新東京IDCは満床となったため増床工事が進められているという。もともと、段階的にサーバ室を拡張できるように設計されていたのだという。

 「今回の増床工事後も、まだ床面積には余裕があり、ビジネスの成長に合わせてさらに拡張する。今後も2年から3年かけて進めていく方針。大阪のデータセンターも、まだ余裕がある。これらが満床になったら新しいデータセンターを設立することも検討している」と積極的な拡大を続けていく方針を荒金氏は示す。

 なお、ヤマトシステム開発では最近、より小規模な利用形態に適した「混載型サービス」を展開している。

 「これは宅急便と同じ共同利用のイメージで、クロネコデータセンターサービスを割安に提供しようというもの。システム規模や予算の小さな企業はもちろん、バックアップシステムだけ預けたいといったニーズにも対応できる」(荒金氏)

現在では1/2ラックや1/4ラックのメニューを用意しており、近く1U単位での利用も可能になる予定。将来的には、仮想技術を活用し、さらに細かな単位でサービスを利用できるようにするという。

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幼児活動研究会が重視したのはデータセンターの「免震構造」だったが、後に同社は「設備面だけではない魅力」に気付くことになった。



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提供:ヤマトシステム開発株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年9月24日