「オープンソースを多用」だからこそ作るサンプルアプリ闘うマネジャー(2/2 ページ)

» 2008年09月01日 17時04分 公開
[島村秀世,ITmedia]
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サンプルアプリがもたらす効果

 理屈ではうまく動くはずだが、ちゃんと動くかどうか分からない部分はどうしてもある。まして、オープンソースを多用している状況では、やってみないと分からない部分は存在する。難癖型は、仕事のできない上司と同じで、巧みにこの部分を突いてくる。ならば、事前に動くことを証明してしまえばいいと考え、サンプルアプリを作成することにしたのだ。

 作成は、信頼できる地場企業にお願いしている。検証を終えたサンプルアプリは、入札前に渡す設計書に紙もしくはCDの形で添付することになる。入札前に細かな発注を行うことになるので面倒なのだが、サンプルアプリは次の3つの副産物をもたらしてくれる。

(1)難しい部分の検証は行っているので、やばそうなベンダーが落札してもそれなりにできあがってくる。

(2)難しい部分のサンプルがあるので、リスクが減り入札価格が下がる。

(3)サンプルがあるので、開発期間が短縮される。

 では、実際にやばそうなベンダーが落札したらどうしているかというと、それなりにできあがったところで退散いただいている。動かないようなら困るが、サンプルアプリの効果でそれなりに動く。退散いただいた後は、設計書の不備などを訂正し、設計書を作成してくれたベンダーもしくはサンプルアプリを作ってくれたベンダーに改修を委託する。

 やばそうなベンダーは得したようだが、実は何も得をしていない。落札したといっても、サンプルアプリのおかげで落札価格は下がっている。保守で取り返そうとしても、保守は改修を委託したベンダーが行うので、何もできない。単に最初に仕事をしただけとなる。当然、おいしくない。

プロフィール

しまむら・ひでよ 1963年3月生まれ。長崎県総務部理事(情報政策担当)。大手建設会社、民間シンクタンクSE職を経て2001年より現職。県CIOとして「県庁IT調達コストの低減」「地元SI企業の活性化」「県職員のITスキル向上」を知事から命じられ、日々奮闘中。オープンソースを活用した電子決裁システムなどを開発。これを無償公開し、他県からの引き合いも増えている。「やって見せて、納得させる」をマネジメントの基本と考える。


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