コラム
» 2008年09月02日 14時31分 UPDATE

IT Oasis:中小企業のIT化をマーケットとして考えてみる (1/2)

ITベンダーの中には中小企業をビジネスの対象として考えているところもある。マーケットとしての中小企業は魅力があるのだろうか。中小企業のIT化推進は一筋縄ではいかない。独特のビジネスプロセスが存在するからである。これは中小企業経営者自身の悩みにもつながる。

[齋藤順一,ITmedia]

中小企業マーケットに対するベンダーの悩み

 ベンダーはITマーケットとしての中小企業をどう見ているのだろうか。中小企業がIT化を推進するにあたってもベンダーの存在は大きい。信頼できるベンダーを中小企業の経営者は必死に探している。なかなか頼りになる存在に出会えないのが、中小企業にとっての悩みなのだ。

 大手ベンダーは中堅企業までは市場として守備範囲と考えているようであるが、現状では中小企業となるとマーケットとは見ていないようである。

 中堅、中小企業対象のマーケットは、SMB(Small&Medium Business)市場などとひっくるめて呼ばれているが、中堅企業であれば1件当たりのIT投資は億の単位を期待できるので、大手ベンダーから見ると、プロジェクトの合間を埋めるには、そこそこまとまった仕事と映るようである。しかし中堅企業より規模が落ちる売り上げ100億円以下の中小企業のIT化となると、投資規模も1億円以下となることがほとんどだ。大手のベンダーからすると、積極的に関わる対象ではなく、仮に注文を取ったとしても、丸ごと下請けに投げるといった選択肢しかないようである。

 独立系の中小ベンダーはどうだろうか。彼らは大手ベンダーの整形された適度の規模の仕事を請け負う方が、営業の負担や業務リスクを考えると確実であると判断し下請けに回ることが多い。積極的に中小企業開拓に取り組む会社は少ないようである。

ベンダーと中小企業の立場の違いとマーケット

 ITに関して発注者である中小企業と開発者であるITベンダーでは立場が異なり、両者にそれぞれ言い分がある。一例として契約を挙げよう。

 発注者にとってIT投資は経営戦略を実現する手段の1つである。

 手段であるのでIT導入でリスクが発生することは避けたいし、費用対効果が明確な形にならないと選択肢としてのITの評価ができないことになる。したがってRFPを使ったプロポーザル方式による請負契約が望ましい。

 ベンダーにとってITはビジネスの源泉であり、収益を確保することが重要である。したがってリスクを減じて、確実にリターンを得ることが行動の基本である。

 リスク低減の1つとして、請負を避けフェーズごとの準委任契約を志向することが多い。ベンダーは「請負」を「請けたら負けよ」と読むのだそうだ。

 個別契約でリスクを取らないことに関してはベンダーにも言い分がある。RFPによるプロポーザル方式を取っても発注者の要件が不明確で、範囲やレベルが把握しにくい。発注者の業務改革に対する姿勢があいまいで、プロジェクトにおける協力がどの程度得られるのか不明である。要するに費用確定するための情報が不十分だと言うのである。非常に悩ましい問題なのである。

 この話は中小企業に限らない。いま、ある地方銀行と大手ベンダーがシステム開発に関して係争になっている事案も構図は同じようなもので、請負契約を交わしたか、システム導入に伴う業務改善に応じたかといったことが論点になっている。

 開発フェーズに移っても同じような立場の相違はある。発注者は手間ひまがかかってもいいものが欲しい。ベンダーはできるだけ速やかに波風なくプロジェクトを終了させたい。立場が違うのである。

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