「既存システムを捨てるな」――ソフトウェアAG

ソフトウェアAGは記者発表会を開催し、既存システムをSOAで活用する手法に手応えを感じていることをうかがわせた。

» 2008年09月12日 19時03分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 ドイツのSoftware AGの日本法人、ソフトウェアAGは9月12日、ユーザーカンファレンスの開催に伴い、製品および販売戦略を紹介する記者発表会を開催した。webMethods買収を期に2006年に設立した日本法人が高い成長率を実現しており、SOA(サービス指向アーキテクチャ)とBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を中心に2009、2010年も二けた成長を見込んでいるとアピールした。既存システムをSOAで活用する手法に手応えを感じていることをうかがわせた。

左からジョー・ジェントリー氏、副社長のミコ・マツムラ氏、日本法人の福島徹社長、コリン・ブルックス氏

 米Software AGのチーフ・テクノロジー・オフィサーを務めるジョー・ジェントリー氏は「ソフトウェアは構築する時代から買う時代を経て、今組み立てる(Compose)時代になった」と話す。SOAやプロセスの自動化などの技術が背景にある。

 日本では、メインフレームを中心システムを稼働させる企業が多い。そうしたシステムの今後の刷新方法についてジェントリー氏は「廃棄して入れ替えることにノーと言おう。DNAを失ってはいけない」と警告する。

 米Fordは、メインフレームで構築されたサプライヤーネットワーク調達システムをERPに置き換えるプロジェクト「Everest」を開始したことがあった。だが4年後、さまざまな理由によりEverestは廃棄になった。4億ドルが無駄になったという。米Mcdonaldでは、カスタムメードのアプリケーションを全世界でERPベースの基盤に置き換えるプロジェクト「Innovate」が発足。1年間にわたり研究開発したが、費用が高騰したため終わりを迎えた。1億7000万ドルが消えた。

 ゼロから作り直すのではなく、企業のDNAである既存システムを最大限に利用し、SOAで再構築するのがジェントリー氏が強調するシステム刷新手法だ。より現実的な手法であるため、ユーザー企業も受け入れやすいと考えられる。

 実際に、Software AGは2004年に5億ドルほどだった売上高を、2008年は10億ドル規模にまで増やす見込みだ。ビジネスプロセスの統合プラットフォーム「webMethods」をはじめ、メインフレーム向けデータベース「Adabas」や、開発ツール「Natural」、SOAベースのシステム構築基盤ソフト「CentraSite」などの主力製品が軸になっている。

 日本での販売戦略について、上級副社長でアジア太平洋および日本担当のコリン・ブルックス氏は「直販体制を基盤に、システムインテグレーターなどの販売パートナーは少数精鋭で考えている」と話す。北米、欧州、オーストラリアでも少数精鋭で成功を収めてきたからだ。

 日本法人の現在の売り上げ規模は現状全体の5%程度。2008年度の連結収益は41〜45億円と見込んでおり、45〜50%の成長を見込んでいる。現在も世界のトップ5に入っているが、これを「トップ3にまで引き上げたい」(コリン氏)と意気込んだ。

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