Webアプリの進化に追随するGoogle Chrome興味深い技術的側面(3/6 ページ)

» 2008年09月17日 08時00分 公開
[Jeff Cogswell,eWEEK]
eWEEK

レンダリングエンジン

 新しいブラウザを一から作り上げる場合、最も難しいパートはレンダリングエンジンだ(10年ほど前、Delphiで初期のレンダリングエンジンを開発したことがある。そのエンジンはとっくの昔に姿を消し、いまどこかで見つけたとしても、時代遅れでまったく役に立たないだろうが)。Googleは、この点で賢明な選択をした。レンダリングエンジンを一から開発するのに代えて、熟成された高性能な既存のオープンソースレンダリングエンジンを採用した。彼らが選択したWebkitは、非常に興味深いことに、Appleが開発したものだ(KDE HTML Layout Engineと呼ばれる初期のコードベース上に構築された)。Appleでは、このエンジンがWebブラウザSafariのベースになった。同社はその後、このエンジンをオープンソース化(WebKit)し、それをGoogleが今回採用したことになる。

 この事実は、Chromeのレンダリングにバグはなく、十分高速に動作することを保証するものだ。ここで、わたしはちょっと面白いことを発見した。この記事を書くために調べものをしているとき、WebKitの初期バージョンがSVGをビルトインしていることを知ったのだ。そこで気まぐれに、Chromeで.svgファイルを---SVGを表示するHTMLファイルではなく、.svgファイルをダイレクトに---オープンしてみた。するとどうだ! まったく問題なく描画するではないか。わたしにとって、この点は特に好奇心を刺激されるものだった。業界のさまざまな力(MicrosoftやAdobeなど)がSVGを脇へ追いやり、多くの人々に開発を断念させた。

 ChromeのサポートがSVGの世界に、この先どのような影響を与えるかは分からないが、非常に興味深いことは確かだ(もっとも、ここで1つ書き加えるべきことがある。この記事を書いた後で、いろいろ調べたところ、ChromeのSVG実装はアニメーションをハンドリングできないという指摘があった。大きな欠点だ。Googleがサポートを強化するかどうか、あるいはそうした最小限のSVGサポートがWebKit本来のものなのか、われわれはしばらく様子を見たほうがいいかもしれない。個人的にはサポートが強化されることを期待したい。ここ最近不当な扱いを受けているが、SVGはいまもインタラクティブなベクターグラフィックス用の優れたツールであると信じているからだ)。

デスクトップアプリケーション

 Google Chromeは、ある形式の「デスクトップアプリケーション」をサポートしている。特に不思議なことは何もなく、単なる1つの考え方に過ぎないが、Webアプリケーションのサイトにいるとき、そのページにアクセスするためのショートカットをデスクトップに作成できるのだ。そのショートカットをクリックすると、Chromeはアドレスバーなどのブラウザ的要素を省いたウィンドウをオープンする。まさにそのWebサイト専用のウィンドウという感じだ。そういう意味では、よりアプリケーションらしい見た目になる。

 もっとも、ショートカットの中身を調べると、Chromeを起動し、Webアプリケーションのアドレスをappパラメーターとしてパスしているだけであることが分かる。

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