破壊的技術の代表的な例は次のとおりです。
クリステンセン教授は、破壊的イノベーションの例として、ディスクドライブ市場で起こった状況を詳細に研究しました。ディスクドライブ市場は、14インチドライブ、8インチドライブ、5.25インチドライブ、3.5インチドライブと世代が変わるたびに破壊的技術による技術革新が起こり、その度に新規ユーザーが開拓され、業界のリーダー企業が交代していきました。
破壊的技術が市場でリーダーシップを持つ企業にとって脅威となっていくプロセスをまとめると、次のようになります。
つまり、冒頭の課題に対応するためには、「新規参入企業」の立場で考える必要があります。市場における破壊的技術が何かを把握し、断トツに強い競合企業に勝つために破壊的技術を活用する。新しい顧客に新しい価値を提供し、市場を破壊するかを考えることが、1つのアプローチです。
同じ市場でも、対象顧客を変える方法もあります。破壊的技術の場合も、当初はローエンドのユーザーや、ユーザーではなかった人たちの市場を開拓し、破壊的技術の性能が上がるに従って従来の市場でのシェア獲得につなげることを狙います。
これ以外にもさまざまな戦略が考えられます。マーケティング戦略を策定するのであれば、単なる模倣戦略ではなく、知恵を絞りたいものです。一種のゲームとしていろいろと考えてみると、面白いのではないでしょうか。
(注)本書に掲載された内容は筆者である永井孝尚個人の見解であり、必ずしも筆者の勤務先であるIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。
日本アイ・ビー・エム株式会社ソフトウェア事業部にて、マーケティングマネージャーとして、ソフトウェア事業戦略を担当。グローバル企業の中で、グローバル統合の強みを生かしつつ、いかに日本に根ざしたマーケティング戦略を立てて実践するのか、格闘する日々を送っている。アイティメディア「オルタナティブブログ」の「永井孝尚のMM21」で、企業におけるマーケティング、ビジネススキル、グローバルコミュニケーション、及び個人のライフワークについて執筆中。
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