求めたのは安定運用と拡張性:アパマンショップのサービス拡張を支えるHPのブレード&ストレージ

不動産管理会社や不動産オーナーを対象に賃貸管理システムのパイロット導入を開始したアパマンショップ。このシステムは、すでに稼動している賃貸斡旋店舗でのオペレーション支援システムと連携するものであり、今後、開発を予定しているオーナー向け、あるいは入居者向け情報提供サービスとも連動し、賃貸物件情報からつながる一大バリューチェーン構想へと広がる。そのため高い拡張性が求められ、選ばれたのがHPのブレードサーバとストレージの組み合わせだった。


 賃貸斡旋、賃貸管理事業を中心に、不動産関連事業を幅広く手掛け、日本最大級の不動産賃貸斡旋契約店舗網(2008年7月末現在 929店舗)を誇るアパマンショップホールディングス(以下、アパマンショップ)では、賃貸斡旋店舗やその顧客のための「アパマンショップオペレーションシステム(略称AOS)」に続き、不動産管理会社や、その顧客である不動産オーナーのための「アパマンショッププロパティマネジメントシステム(略称APS)」のパイロット導入を2008年秋にスタートした。APSには賃貸物件を効率的に管理し、収益を高めるための数多くの機能が盛り込まれ、まずは、アパマンショップの直営店ならびにフランチャイズ加盟店へサービスをリリースする。いつか、このシステムを加盟店以外の不動産管理会社も広く使うようなことになれば、業界全体の生産性向上、業務効率向上に貢献できるのでは、との思いもあり、夢の実現に向けた拡張性も考慮し、日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)のブレードサーバ「HP BladeSystem c-Class」と仮想ストレージ「HP StorageWorks EVA 8100」が採用されたという。

不動産管理会社の業務を効率化する新サービス

 アパマンショップは「アパマンショップトータルシステム(略称ATS)」という構想を持つ。賃貸物件の情報を集約することで、不動産ビジネスにさまざまな形でかかわる企業や人々にバリューチェーンを提供しようというものだ。その1つが、賃貸を斡旋する店舗の支援システムとして開発され、多くの借り手が「お部屋さがし」に活用しているAOSである。このAOSに続いて開発されたAPSは、主に不動産管理会社の業務を支援するための機能を提供するものだ。APSからAOSに空室情報を同期させるなど、両システムの連携も図られている。

photo アパマンショップホールディングス システム本部 システム部 ゼネラルマネジャー 大倉弘次氏

 アパマンショップ システム本部の大倉弘次ゼネラルマネジャーは「APSは、例えば各種契約の管理、家賃の管理などの機能を持っており、主に不動産管理会社の業務を支援しますが、それだけでなく彼らの顧客である不動産オーナー様やパートナーであるメンテナンス業者様に向けた情報提供のフロント機能も持っています。まずは、フランチャイズ加盟店様向けの標準システムとして展開しながら、業界のディフェクトスタンダードをめざした開発ができればと考えています」と話す。

 不動産管理ソフトウェアという市場には、既存のパッケージ製品が複数存在する。だが、こうしたパッケージに不満を抱く不動産管理会社も少なくないという。アパマンショップでは、その不満や要望を加盟店からヒアリングして、APSの仕様を策定した。

 「市販のソフトウェアよりも広い範囲の業務に対応できるよう、細かいところまで機能を作り込みました。効率的な管理に欠かせない入居率や退居率といった数字もすぐに出せるようにしています。一部の加盟店様では正式オープン前の段階からテスト的に利用していただいていますが、そこでも一定以上の評価を受けました」とアパマンショップ FC事業本部の佐藤誠晃ゼネラルマネジャーは語る。

photo アパマンショップネットワーク FC事業本部 ATS開発プロジェクトチーム ゼネラルマネジャー プロジェクトリーダー 佐藤誠晃氏

 管理会社が抱えていた不満点としては、ほかのパッケージとの連携機能も挙げられている。不動産管理会社は規模的にみれば大小さまざま。大きな会社ではIT投資の余裕もあるため本格的な連携機能を持ったシステムを使うことができるが、小さな企業で使うソフトは予算面の都合で機能が限られるのが普通だ。特に最近では、物件紹介のためにAOSをはじめとした各社のシステムが広く店舗で使われるようになってきたが、そうしたシステムにデータを渡す機能が既存のパッケージにはなかった。APSは、不動産管理会社向けシステムとしては業界で初めて、「紹介システム(AOS)」との連携を実現している。

 アパマンショップで広報を務める橋本亜津佐氏は次のように話す。

 「これまでは、店舗オペレーションであらたなシステムを導入すると、各社それぞれが利用している管理ソフトから物件データをコンバートするか、管理ソフトとオペレーションシステム、それぞれにデータを二度打ちする必要がありました。APS-AOSの連携によりそういった不便を解消することができますので、加盟店様にとっても、われわれにとってもAPS-AOSの連携は重要なものと考えます」

HPのストレージとサーバを将来の拡張に備え採用

 APSは当初、アパマンショップの加盟店に限って展開する。しかし、将来、業界に向けてサービスを提供することが可能であれば、という大きな夢の実現も想定し、かなりの規模まで対応できるよう、APSを設計したというのである。

 「もちろん、対外的サービスですから、止まらないことが最も重要です。ですから、APSのシステム基盤は拡張性と信頼性、そして機能を重視して選択しました。例えば、サーバは仮想化し、負荷が急増した際にも柔軟に対応できるようにするとともに、開発、検証、本番を容易に切り替えられるようにしました」と佐藤氏は話す。

 こうしたシステム要件を基に、各社の製品を比較した上で選ばれたのがHP BladeSystem c-ClassとHP StorageWorks EVA8100だった。なお、APSのシステム基盤に関しては、カテナに構築・運用を委託している。同社はHP製品を中心としたインフラ運用に実績があり、それが決め手になったという。

 同社はPCやサーバ、ソフトウェアなどIT関連製品の販売から、システムの設計・開発・構築・運用サポートまで「ITソリューション」を展開している企業である。最先端技術の習得に積極的な取組みをしており、社内の技術者が自由に使用できる検証施設を有している。

 カテナ内で今回のプロジェクトの指揮を執ったカテナ プロダクトソリューション事業部の有賀恵美子事業部長は次のように話す。

photo APSのシステム基盤について、構築・運用を担当したカテナ プロジェクトメンバー

 「アパマンショップは緻密な事業計画を持っており、APSも納期などが詳細に定められていました。条件の厳しい中で、HPがサポートしてくれたことは大きな助けになったと思います。運用に関しても順調です。もともとハードウェアは安定していましたし、アプリケーション側から生じてきたエラーについても、ほとんど切り分け対応できるようになりました。また、今回のプロジェクトでは、カテナが持つ「ITソリューション」の力を発揮することができました。最先端技術を駆使したシステム構築を成功させたことで大きな自信を得ることができ、今後に繋がっていくと考えています」(有賀氏)

 2007年8月末にはテスト環境を用意して事前検証を開始、10月末には実際のシステム基盤を構築。1週間ほどで構築を終えてから後半部分の検証を実施、11月には引き渡しを終えた。検証期間中に詳細な構築手順など作り込んでいったので、本番環境の構築は短期間で済んだという。

photo アパマンショップのサービスを支えるHPのサーバ&ストレージ
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 「これまでHPとは長い付き合いがあり、旧コンパック製品も旧HP製品も扱ってきました。今回のアパマンショップから要求された仕様は、サーバやストレージの仮想化やシステム全体の冗長化をはじめとしてどれも最先端の技術が求められるものでした。そんな時、HP技術陣の支援が非常に役立ちました。HPのエンジニアは、専門外の質問でも、HP社内の専門エンジニアに申し送るなどフォローしてくれ、とてもスムーズに構築できました」と構築の実務を担当したカテナ システムマネジメント事業部第五課の茂木勝弘担当課長は話す。

今後の不安もなく、将来像を

 そしてAPSは、2008年秋にパイロット導入を開始する。「試験運用では、ソフトウェアに改良を加えたことはありますが、ハードウェアが原因でトラブルになったことはありません。もちろん、ハードウェア障害が発生してもサービス停止に陥ることがないよう、冗長構成をとっています。今後ユーザーが増え、トランザクションが増加したとしても、スケールアウトできる構成ですから不安は感じていません」と大倉氏は話す。

 実際にハードウェアの運用を担当するカテナの茂木氏は、今回導入したHPのストレージを次のように評価する。

 「HP StorageWorks EVAは、ほかのストレージには無い安心感があります。仮想化の技術と高性能なコントローラによりサーバへディスク割り当てや管理が非常に行いやすく、不安なく運用できます。ディスクの拡張もオンラインで可能ですし、また、SPOFの無いシステム構成であるためハード障害にとても強いです」

 HP StorageWorks EVAシリーズには特徴的な「新世代RAID技術」が実装されている。搭載したディスク全体を1つのストレージプールとして扱い、各サーバへのボリューム割り当てはコントローラが動的に行う。管理者が明示的にディスクを選んでRAIDを構成するような手間は不要で、ボリュームへの割り当てを増やす際にもディスク構成を気にする必要がない。ディスクを追加すればプールが拡張され、コントローラがディスク当たりの負荷を平準化するため、結果的にパフォーマンスも向上する。もちろん、ディスク追加などの際にシステムを停止する必要はなく、平準化の処理もバックグラウンドで行われる。

 「サーバの運用も、HP Systems Insight Managerを活用しているおかげで、大きな負担もかからずに行えています。また、HP BladeSystem c-ClassにはOnboard Administratorも用意されており、搭載しているブレードの状況を迅速かつ的確に把握できるので、非常に便利です」(茂木氏)

 管理者の作業負担が軽く、今回のAPSのように将来は大規模になることが想定されるシステムでも、運用管理に不安がないのは大きなアドバンテージだ。

 既に触れたように、アパマンショップには、APSを業界のディフェクトスタンダードに近づけたい、との想いがある。その想いが、業界全体のサービスレベルの向上、すなわち、業界の質的向上につながることを期待しているという。

photo 「サーバ、ストレージというインフラが安定稼働していることで、自社サービスであるAPSの展開に注力できます」と話す大倉氏と佐藤氏


提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年10月23日