「電子文書」の活用で経営の基礎体力を強化する課題解決の近道

企業が抱える経営課題を解決する方法の一つがドキュメント周りの改善である。企業活動に欠かすことのできない「情報」を含んだドキュメントは重要な資産であり、電子化されたドキュメントの活用が企業経営に大きな効果をもたらす。「電子文書」によって経営の基礎体力を高めていくための方法を、経営コンサルタントの堀内浩二氏が紹介する。

» 2008年09月29日 10時00分 公開
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堀内浩二氏。株式会社アーキット代表、意志決定力を強化する研修、教育事業に注力している 堀内浩二氏。株式会社アーキット代表、意志決定力を強化する研修、教育事業に注力している

 企業の経営において、収益力の向上やコスト削減、事業競争力の強化、コンプライアンスへの対応といったさまざまな課題に日々直面し、解決のための方法に頭を悩まされている経営者が多い。わたし自身、これまでに数万人のグローバル企業から数十人のベンチャー企業での勤務、2人での創業、そして「一人カンパニー」を経験してきたが、その経験を基にこれらの経営課題の原点を突き詰めてみると、「人材や情報資産をいかにして高度に活用すべきか」という共通したポイントが存在することが分かった。

経営の基礎体力を考える

 企業の経営課題をどのように対処すべきかを考えると、社員一人ひとりが持つ知恵やノウハウといった「情報資産」を、社員全体で高度に活用していくことが重要になるだろう。人材や情報資産は、言わば「経営の基礎体力」であり、これらを強化することが経営課題の解決への近道になる。しかし、わたしがこれまでに相談を受けた企業を見ていると、特に人的資本の限られた企業では、人材や情報資産を活用するためのアプローチそのものが大きな挑戦であることを感じた。

 わたしが先日ヒアリングをしたベンチャー企業を例に挙げよう。同社では「営業力強化」を経営課題としていた。成約状況や顧客プロフィールなどのデータを詳細に分析してみると、組織全体の売り上げの大部分を数人のトップセールスマンに依存している構造が明らかになったのだ。営業力を高めるためには、彼らの持つ「ノウハウ」という情報資産を営業部全体で共有して、底上げを図る必要があった。しかし、トップセールスマンがそのために必要な文書を作成したり、ほかの担当者に向けて研修を行なったりすることで時間を費やしてしまうと、本来の業務に支障をきたし、短期的に売り上げがマイナスになる恐れがある。

 一方で、営業担当者の業務フローを分析していくと、特に営業資料や提案書といった各人の知恵やノウハウを記しているドキュメント周りに問題が見つかった。「書式を探す」「作る」「回覧する」という文書利用の各ステップにおいて、各人が独自の方法で作業をする「ムダ」が発生していたのだ。このムダが蓄積され、「顧客と接する」という本来の業務が圧迫されていることも分かった。

 組織全体として「営業力」を高めるには、まず、各人の業務フローからムダを取り除かなくてはならない。そのためには、文書を利用するプロセスをなるべく整理、標準化をして、各人が必要な文書をスムーズに利用できるようにしていくことが重要である。例えば、顧客への提案書作成に役立つ情報が記された過去の提案書を効率的に入手できるようになれば、その担当者はドキュメントという情報資産を活用して提案書の作成に時間を割くことができ、顧客先でより良い提案が行なえるだろう。

 経営の基礎体力の強化とは、ドキュメントという情報資産を社員が有効的に利用できるようにすることであり、そこに効くのが「文書の電子化」と「電子文書の活用」だ。

電子文書で解決する経営課題

 企業内では、スキャナーで読み取った紙文書のデータやさまざまなアプリケーションで作成された文書が電子ファイルとして利用されているが、実際にはフォルダー内に多種多様なファイルのアイコンが並ぶばかりである。文書を電子ファイルとして保存するだけでは、各人が独自の方法で利用するという構図そのものに変化はなく、情報資産を高度に活用することが難しいままになる。

 経営課題の解決における文書の電子化や電子文書の利用とは、文書を単に電子ファイルとして保管しておくことではない。組織として経営課題に対処していく上では、情報資産であるドキュメントを多くの社員が利用しやすい電子文書の形態にし、必要な電子文書を有効的に利用できる仕組みを用意することが大切である。

 先に挙げたベンチャー企業の場合、まず営業資料や過去の提案書などのドキュメントを各人が使いやすい電子文書のフォーマットに整理する。そして、営業担当者全員が電子文書を共有できるようにし、各人が必要とする電子文書へスムーズにアクセスできる仕組みを整えていくことになるだろう。

 実際に、電子文書を利用する環境を構築したある企業の営業部門では、各担当者へ配布していた紙の営業資料を統一的なフォーマットによって電子文書化し、各担当者へ電子文書で配布するようにした。その結果、1年間で発生していた膨大な紙の印刷コストや輸送コストが大幅に削減された。さらに各担当者が文書管理のソフトウエアを利用して、過去の資料をすぐに検索できるようにしたことで、検索した資料の情報を新規の資料へ追加したり、部門全体で共有したりできるようになった。このように営業の提案に役立つ文書を組織内で活用することが、組織全体の営業力向上につながったという。

 同社のケースでは、文書の電子化と電子文書の利用によって情報資産や人材を高度に活用できるようになり、それが「コスト削減」と「収益力の強化」という経営課題の解決に大きな効果を上げていることが分かる。

経営の諸課題に効く電子文書

 ビジネスで使用するドキュメントを電子的な文書として管理、活用していくことは、「一部の大企業のためのものでわれわれには関係のないことだ」と考えている経営者が意外にも多い。実際、わたしは経営者や経営幹部から「コストダウンのメリットが出るほど紙を使ってない」「厳しいセキュリティは必要ない」というコメントを耳にすることがある。

 しかし、これまでに挙げた事例に見られるように、ドキュメントの電子文書化と電子文書の活用は、情報資産や人材を最適化し、利益の拡大や事業の効率化を実現する。また、紙という資源に依存する環境から脱却して、コストや環境負荷の削減にもつながる。電子文書の活用が進めば、電子署名やパスワードなどのセキュリティ機能も加味して、近年の大きな経営課題の一つとなったコンプライアンスなどへの対応も図れるようになるだろう。

ドキュメント(情報)の活用で経営課題に対処する ドキュメント(情報)の活用で経営課題に対処する

 最後にわたしの体験を紹介したい。わたしが初めて電子文書の活用を試みたのは2000年のことだ。当時はベンチャー企業で市場や競合企業の分析を担当しており、レポート作成に利用した膨大な紙の資料を電子化したいと考えた。だが、これらの資料はレポートを作成すると再び参照する機会が少ない。場所の関係で長期間保管することもできず、資料を複合機でスキャンしてPCへ取り込むことにした。

 資料を電子化する際に、複合機と一緒に富士ゼロックスのソフトウエア「DocuWorks」を使ってみたが、意外な効果を体感した。電子化した文書データを並べる、それぞれを紙のようにめくって概要を思い出す、テーマごとにドキュメントを分解して束ね直すといった作業が、容易にできた。数々の資料が必要なときにすぐに取り出せるようになり、最終的には電子化したドキュメントのデータベースがリサーチ業務に欠かすことのできない存在となった。

 ドキュメント周りの改善は、社員一人ひとりの業務効率を高めるだけでなく、社員同士のコミュニケーションを円滑にし、組織全体の活性化へとつながる。さまざまな経営課題を解決する上で、まずは経営の基礎体力とも言える情報資産を、文書の電子化と電子文書の活用によって高めていくことをお勧めしたい。

堀内浩二氏

株式会社アーキット代表、グロービス経営大学院客員准教授。

思考力やリーダーシップなど個人の意志決定力を強化する研修、教育事業に注力している。日米のジョイントベンチャーにて技術および事業開発を担当。外資系コンサルティング企業ではシリコンバレー勤務を経験。工学修士。


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提供:富士ゼロックス株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2008年10月28日