IBMが海外のクラウドコンピューティングセンターを拡張新興国開拓を狙う

IBMでは新タイプのクラウドコンピューティングインフラとデータセンターを構築する計画を拡大する方針であり、ブラジル、韓国、インド、ベトナムに4つの新しい施設を開設する。

» 2008年09月29日 15時37分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 IBMでは、インド、ブラジル、韓国、ベトナムに4つの新しいクラウドコンピューティングセンターを開設する準備を進めている。同社はこれにより、新興市場諸国で自社の製品とサービスの販売機会を大幅に拡大する考えだ。

 クラウドコンピューティングセンターが新たに開設されるのは、ブラジルのサンパウロ、インドのバンガロール、韓国のソウル、ベトナムのハノイの4都市。9月24日に発表されたこれら4カ所のデータセンターの追加により、IBMはアイルランド、南アフリカ、中国、日本のデータセンターを含め全世界で13カ所にクラウド施設を保有することになる。

 4カ所の新クラウドコンピューティングセンターは、クラウドという新しいタイプのコンピューティングモデルで最先端に立ちたいというIBMの願望の表れであるだけではない。今回の動きの背景には、同社のクラウドコンピューティング構想に加え、米国経済の不透明な状況が続く中、新興市場諸国でハードウェア、ソフトウェア、サービスの販売機会を拡大するという狙いがある。

 IBMが7月に直近の四半期決算を発表したとき、米国外での売り上げが151億ドルに上ることを明らかにした。IBMやHewlett-PackardなどのIT企業各社は、インドや中国、ブラジルなどの新興市場を中心とする海外市場での販売に力を入れることにより、収益の改善を図ってきた。

 とはいえ、IBMが米国市場を見限ろうとしているわけではない。同社は8月、ノースカロライナ州にクラウドコンピューティング施設を建設するために3億6000万ドルを投資すると発表した。また同社は、クラウドコンピューティングサービスを提供するための新たな手法の開発でGoogleと提携した。

 クラウド、あるいはユーティリティコンピューティングサービスというコンセプトをめぐる話題は最近、ソフトウェアや仮想化という視点で取り上げられている。今月開催された「VMworld」カンファレンスでは、VMwareが「Virtual Datacenter OS」(VDC-OS)という新タイプのOSを発表した。VMwareでは、VDC-OSがクラウド専用のOSとは言っていないが、このOSは仮想化とデータセンターの統合を改善し、コンピューティングリソースの効率的配分とクラウド環境内のすべてのハードウェア、ストレージ、ネットワーキングの管理を可能にする手段であるようだ。

 一方、Citrix Systemsは3Teraと、IntelはOracleと提携し、それぞれの顧客企業がクラウドインフラを構築・運用する方法を改善しようとしている。

 IBMは、自社のクラウドコンピューティング施設を拡張するために大量の資金とリソースを投入してきた。同社はこれまで、クラウド技術の研究に1億ドルの資金を投じ、クラウドインフラの構築と新たなクラウド手法の開発に200人の専任技術者を配備した。

 さらにIBMでは、クラウド施設を構築するためのサービス、ソフトウェア、ハードウェアのパッケージ「Blue Cloud」も開発した。このスイートには、x86ベースのハードウェア、Xenベースの仮想化技術、IBMの管理ソフトウェアのTivoliなどが含まれる。IBMは4月、自社のサーバアレイ「iDataPlex」を同スイートに追加した。iDataPlexは、クラウド施設やハイパフォーマンスコンピューティングで利用できるほか、移動式コンテナに組み込むことも可能だ。

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