東邦チタニウム、チタン需要増に対応し新生産管理システムを構築アジャイル開発で

チタン製造の東邦チタニウムは、生産管理システム構築を刷新し2008年4月竣工の福岡県北九州市八幡新工場など3工場で稼働を開始させた。

» 2008年10月06日 08時00分 公開
[ITmedia]

 チタン製造の東邦チタニウムは、生産管理システムを刷新し2008年4月竣工の福岡県北九州市八幡新工場など3工場で稼働を開始させた。ITコンサルティングのウルシステムズが、反復手法で開発するアジャイル型で構築を支援した。チタンは軽量で断熱性や弾力性に優れており、航空機など幅広い工業品に利用されているため、今後の市場拡大に耐え得る生産能力の増大が必要だった。

 中でも、八幡工場新設を契機に経営戦略の核となる素材として「チタンインゴット」を重視。増産を可能にする生産管理システムの刷新を図った。ウルシステムズは、業務改革とシステム化を並行して実施し、要件がシステム上実現可能であることを確認しながら構築を支援した。

 具体的には、アジャイル開発と呼ぶ手法を用いた。システムの構築範囲を1カ月単位で区切り、各範囲で発生するシステム要件の変更などを継続的に受け入れながら反復して構築する。システム全体を一括して設計するため手戻りを許さないといわれるウォーターフォールモデルよりも、結果として業務とシステムの差異を小さくできるという。

 新システムは、営業、購買、運輸、品質保証、製造、技術など各部門が進捗、物流、作業といった業務情報を入力し、一元管理することで状況をリアルタイムに可視化できるようにした。従来は、工程全体の進捗管理は実施しておらず、装置ごとに生産実績などを手作業で集計していたため、リードタイムの長期化や業務効率の悪化が発生していた。

 東邦チタニウムの常務執行役員で業務本部長の加古幸博氏は「業務のあるべき姿を描き、合致する柔軟なシステムを構築できた」と話す。ウルシステムズについて、複数部門の合意形成やアジャイル開発をリードしたと評価している。

 プロジェクトの期間は2006年5月から2008年4月まで。生産計画、製造指示、進捗管理などの生産管理システム、在庫/品質/原料の管理システム、販売や検査システムとの連携システムを構築した。工数は、開発からシステムリリースまでかかった11カ月間で、設計担当者74人月、アーキテクト36人月、開発担当47.5人月で、計157.5人月だった。

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