データセンターの仮想化で注意すべきこと(2/3 ページ)

» 2008年10月07日 08時45分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

データセンター仮想化に当たっての6つの注意点

注意点その1:仮想化が実際に、求められるROI(投資収益)をもたらすのは間違いないか?

 データセンターの総所有コストに注目すると、システムの取得コストは低下しているが、電力/冷却コストは上昇している。一方、運用管理コストは急激に増加している。

 仮想化に伴う複雑な構成を管理するには、かなりのコストが掛かる。このコストは、電力/フロアスペースに関連したコスト削減を上回る可能性もある。どんな仮想化プロジェクトであれ、この点を織り込んでおかなければならない。

注意点その2:複雑性の増大に対処できるITスタッフはいるか?

 サーバの統合は、作業負担が軽減したかのような印象を与える。管理すべき物理サーバの台数が減少するからである。しかし現実には、サーバの数そのものは増加する。同じアプリケーションが動作するサーバの数が同じであるだけでなく、これらのサーバが仮想化されているために、管理がいっそう複雑になる。シリアルコンソールやKVMといったシンプルなツールは使えない。加えて、ITスタッフはハイパーバイザーという新しいソフトウェアも管理しなくてはならない。

注意点その3:予想される需要増加に対応するだけのリソースを持っているか?

 仮想化により、企業はIT機能を簡単に追加できるようになる。ハードウェアの新規購入に伴う面倒な社内手続きを経なくても、多数のアプリケーションを運用することができ、ハードウェアの納入や設置を待たなくても、アプリケーションを極めて簡単に立ち上げることができる。こういった労力の軽減に伴うマイナス面は、仮想化によって企業の新たなサービスや追加サービスに対する需要が必然的に増大するため、それに対応する準備が必要になることだ。

注意点その4:自社のデータセンターのレイアウトと電力/冷却用の設備と管理機能では、統合されたシステムの管理が行えるか?

 個々のラックの消費電力と温度プロファイルを監視しているのは、データセンターでもごく一部にすぎないのが実情だ。多くのデータセンターでは、統合に伴って生じる可能性がある「ホットスポット」(高温区域)を管理できるように計画されたラックレイアウトさえ存在しない。

 この問題は、パリに本社を置くSchneider Electric(APCの親会社)の株主を喜ばせるかもしれないが、仮想化(必ずプロセッサの利用率の増加もたらす)の導入を決める前に、ITマネジャーはこの点に関して専門家のアドバイスを求める必要がある。仮想化はエネルギー密度の高いブレードサーバへの移行を伴うことが多く、その結果、ラック1台当たりの電力消費量が10倍以上にも達するような場所ができる可能性もある。

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