クラウドに賭けることができるか?雲の向こうは天国か地獄か(4/5 ページ)

» 2008年10月07日 15時11分 公開
[Stan Gibson,eWEEK]
eWEEK

ビッグプレーヤーの動き

 RACEのコア技術をHPが提供したように、IBMも企業のイントラクラウドを豊穣なテリトリーと見ており、データセンターをプロビジョニングし、運用できる能力を企業に積極的に売り込む構えだ。

 「IBMはAmazonとGoogleに対してパラレル戦略を取っている」と話すのは、IBM Academy of Technologyの名誉会長、アービング・ウラドウスキー=バーガー氏である。「IBMが進めているのは、われわれの顧客がユーザーに対してクラウドサービスを提供できるように手助けするビジネスだ」

 そのビジネスの1つのバリエーションが、上海から西へ2時間のところにある中国・無錫のソフトウェアパークで今年5月にオペレーションを開始したクラウドコンピューティングセンターである。安全なVLAN(仮想LAN)上で稼働するSystem xやSystem pなど、主要な技術をIBMが供給し、中国政府が運営主体となって同パーク内のソフトウェア企業群にクラウドコンピューティングリソースを提供している。

 ITサービスをユーティリティとして利用できるため、企業は管理コストの負担を減らすことができるという。「新興経済では起業時にさまざまな固定費がかかる」と、IBMのハイパフォーマンスオンデマンドソリューション担当CTO、デニス・クァン氏は語る。同社はクラウドコンピューティング推進計画「Blue Cloud」を旗印に、北京、アイルランド・ダブリン、南アフリカ・ヨハネスブルグにも、クラウドコンピューティングサービスを提供するデータセンターを建設している。

 Dellも同様に、企業の社内ニーズに対応するため、データセンター型クラウドに注目する。同社の市場開発マネジャー、トッド・バラノン氏は、「われわれが考えているのは、HPCC(ハイパフォーマンスクラスターコンピューティング)が進化したものだ」と述べ、「おそらくユーザーは就業時間中にシンクライアントで仕事し、夜間にデータ処理を行うといった形になるだろう」と話す。

 ブラノン氏によると、Dellは2つの大規模ソーシャルメディアにクラウドインフラストラクチャを提供しているという。同社はマーケティング戦略の一環として「クラウドコンピューティング」という用語の商標登録を出願していたが、今年8月、最終的ではないが申請は却下された。

 一方、10月に開催されるMicrosoftのProfessional Developers Conferenceでは、同社の動きに人々の注目が集まりそうだ。Microsoftはクラウドに関する重要な発表を行うとみられている。同社はすでにSharePointとExchangeのホストサービスを提供しているが、本稿執筆時点で、Microsoftの広報担当はコメントや関係者への取材を拒否している。

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