ITインフラ、サーバ仮想化管理がGartnerコンファレンスで脚光浴びる

仮想化の問題はx86、UNIX、メインフレーム技術が混在するデータセンターの環境をどのように管理するかだ。

» 2008年10月16日 09時10分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 VMwareやCitrix、Microsoftなどの仮想化ベンダーはハイパーバイザなどの機能拡張を目指し、 IBM、Sun Microsystems、HPなどの大手ベンダーは、より優れた管理機能を提供しようとしている。問題は、x86、UNIX、メインフレーム技術が混在するデータセンターの仮想環境をどのように管理するかだ。

 仮想化は、特にx86ハードウェアにおける仮想化という文脈においては、ITマネジャーが今日最も重要な技術の1つであると考えるものだが、向こう10年間における仮想化の課題に対して、現時点における戦略的なプランニングが極めて重要になる。

 フロリダ州オーランドで開催された「Gartner Symposium/ITxpo 2008」では、同社のアナリストたちが、さまざまなハードウェアやオペレーティングシステムの混在するデータセンターにおいて、どのように仮想環境を構築していくかについて1つのビジョンを示した。仮想化の議論は、とくにここ最近、VMwareやCitrix、Microsoftの動向に引きずられ、x86ハードウェアでどのように仮想マシンを作成するかという点に人々の目が集まりがちだ。しかし、それらの仮想環境がデータセンター内でどのように機能し、レガシーアプリケーションをサポートするUNIXやメインフレームとどのように統合されるかといった問題も忘れるわけにはいかない。

 こうしたヘテロジニアスなデータセンターにおいて仮想化を進める場合、ITマネジャーは仮想マシンと各種アプリケーションを管理制御する最善の方法を求めて、さまざまな選択肢とシナリオに取り組むことになる。例えば、MicrosoftやVMwareといった特定の仮想化ベンダーに統一すべきかどうかという判断から、アプリケーションをその負荷に最適な仮想環境に分散すべきか、またUNIXか、メインフレームか、あるいはx86かといったハードウェアの選択まで、ITが直面する課題は広い。

 「重要なことは、何をしたいか、そのためにどのような機能が必要かという点を明確にすることだ」と、Gartnerの著名なアナリスト、ジョージ・ワイス氏は10月14日の講演で語った。「例えば負荷を最適配分したいのであれば、どのようなプラットフォームを用いるべきか? そこで決断すべきことは、巨大な垂直統合SMP(シンメトリックマルチプロセッシング)システムに向うか、クラスタースケールアウト型の技術を採用するかである」

 仮想マシンを適切なプラットフォームに移動することは現在でも可能だが、ワイス氏によると、将来、そうした判断の多くは自動化され、仮想マシンは負荷を最適化できる適切なプラットフォームを自主的に見つけることが可能になると予測する。

 その場合、問題となるのは仮想環境の管理ソフトウェアだ。現在、そうしたソフトウェアの開発は始まったばかりであり、しかもその多くはx86ハードウェア上の仮想マシンに限定されるホモジニアスな環境の管理に限られる。また、企業のデータセンターは今後10年どのように成長していくべきか、という議論でも意見は分かれる。統合化が容易なスケールアップモデルを支持する声に対して、コストが膨らむという反対意見がある。一方、スケールアウトモデルはコストを抑えることができても、コンポーネントは統合化されないという。

 分析的なライフサイクル管理やリソース管理ソフトウェアを提供するプロバイダーは多いが、将来的にヘテロジニアスなデータセンターの仮想マシンまで管理することを視野に入れた製品も最近徐々に見られるようになった、とワイス氏は言う。

 例えば、Hewlett-Packardの「Insight Dynamics VSE」やSun Microsystemsの「xVM Ops Center」は、物理ハードウェアと仮想環境の両方を管理することが可能だ。一方、IBMは「Ensembles」と呼ぶ管理プラットフォームを開発している。ビッグブルーのエグゼクティブは、このプラットフォームの詳細について多くを語らないが、データセンターを共通リソースプールにセグメントし、プールされたリソースからコンピューティングパワーを引き出せるようにする仕組みを提供する可能性が高い。

 そのほか、いくつかの小さなベンダーがヘテロジニアスなデータセンターの管理に関する問題に対応する多様なソフトウェアを開発している。例えば、分析モデリングツールを提供するCiRBAなどだ。

 ワイス氏は、こうしたベンダーを積極的に評価すべきだとしながらも、市場はいま混乱状態にあり、小さな仮想化管理ベンダーの多くは、いずれ市場から撤退するか、大手ベンダーの買収ターゲットになる可能性があると警告している。

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