シュミット氏がオバマ氏を応援しているのは、個人的な活動であるというのは本当だろうが、同氏がオバマ氏と一緒にいる時間を、技術問題に関するGoogleの見解を支持してもらうために利用するのは間違いないと思う。
シュミット氏はその時間を利用して、ワイヤレスデバイスを対象としたアクセス開放の拡大や、Googleが今後も広告ビジネスを自由に進めることを可能にする法律などに関する根回しをするのではないだろうか。
さらに同氏は、Googleは人々のプライバシーを侵害していないとオバマ氏を説得するかもしれない。それどころか、コンテキスト広告は、広告内容と対象者の関連性を改善するものであるため、広告主とコンシューマーにとって有益であると説得しようとする可能性もある。
要するに、シュミット氏は、自分がいかに善人であり、その延長として、米国経済を活性化させるのにGoogleがいかに重要な役割を果たすかを説明するために、遊説中の時間を利用する可能性があるということだ。結局、この景気後退の中で、eBayやYahoo!、そのほかの小規模なインターネット企業各社が人員削減を迫られているのに対し、Googleだけは不景気の影響を免れているようだ。
企業と政党が結び付くのは、今回が最初でも最後でもない。AT&Tなどの電話会社は、マケイン氏と共和党のキャンペーンを支持する方向に傾きつつあるようだ。シュミット氏とオバマ氏は、ネットワークの中立性などを含め、技術に関する個人的な考え方が近いのに対し、AT&Tなどの企業はオバマ氏の姿勢に非常におびえている。
Dallasnews.comが10月18日付の記事で指摘しているように、ネットワーク中立法は、企業が自社のネットワーク上のトラフィックを管理する方法に対して厳しい規制を課すものとなりそうだ。これによりAT&Tなどの通信事業者は、Googleなどの競合企業が推進する無償サービスを提供せざるを得なくなる。
しかしシュミット氏がオバマ氏にロビー活動をしたあげく、オバマ氏がマケイン氏に敗北すれば、どうなるだろうか。マケイン氏は復讐心に燃え、Googleをねらい撃ちするかもしれない。マケイン氏と共和党は、Googleの成長の可能性を縛りつけるような極めて厳しいオンラインプライバシー規制を策定するかもしれない。
マケイン氏は司法省に圧力をかけ、懸案となっているGoogleとYahoo!の提携を監視したり、将来的に同様の提携を推進するのを阻止したりすることも考えられる。
11月4日の大統領選挙が間近に迫る中、これらは注目すべき問題だ。
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