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» 2008年11月02日 00時00分 UPDATE

Programing Bible:Inquisitorでハードウェアをテストする

Inquisitorはオープンソースの主だったベンチマークツールを動かすためのラッパースクリプトで、何千台ものコンピュータを同時にストレステストすることもできる。ハードウェアの開発などを行う際には覚えておきたいツールの1つだ。

[Mayank Sharma,SourceForge.JP Magazine]
SourceForge.JP Magazine

 新しいコンピュータが何故か遅く感じたり、オーバークロックしたプロセッサが粉々に吹き飛ぶかもしれないと不安に思ったりしたことはないだろうか。そんなときは、テスト用プラットフォームInquisitorでハードウェアをテストあるいは診断してみよう。Inquisitorはオープンソースの主だったベンチマークツールを動かすためのラッパースクリプトで、一般利用者にも簡単に使うことができる。また、何千台ものコンピュータを同時にストレステストできるので、コンピュータのメーカーや販売店が行う出荷前テストにも使うことができる。

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 InquisitorはBonnie++IOzone翻訳記事)、UNIXBenchBYTEmarkなど、よく知られたオープンソースツールを起動するためのシェルスクリプト群だ。ALT Linuxが開発し、2007年半ばにGNU GPLの下でリリースした。圧縮形式のアーカイブがダウンロード提供されているので、これをダウンロードし、テストしたいマシンにインストールすれば利用できる。ほかに、ライブCDのISOイメージも提供されている。大きさは130Mバイト。すべてのスクリプトがインストールされており、テストを呼び出して実行する簡単なインタフェースが付属している。このライブCDは単に便利というだけでなく、ベンチマークの環境を統一する上でも有用だ。

 現行バージョンであるライブCD 3.0には、25種のテストとベンチマークが収容されており、プロセッサやHDDのほか、USBやCDドライブなどの取り外し可能デバイスなどといったハードウェアデバイスをテストできる。

 このライブCDからブートすれば、25種類のテストをすべて実行できる。実行するテストを選択し、指示に従ってテスト時間などのパラメータを設定すればよい。各テストとベンチマークの解説もあるので読んでおくこと。テストを構成する際、構成パラメータを理解する上で役に立つし、テスト、特にHDDのテストの中にはディスク上のデータをすべて削除するものがあるからだ。概要だけを知りたいときは、非破壊版のテストを実行するとよい。これなら、ディスク上のデータが消えてしまうことはない。

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 このライブCDでは、各テストを単独で実行できるだけでなく、テストプロファイルに従って実行することもできる。テストプロファイルはあらかじめ設定されたパラメータで数種のテストを行うもので、破壊的ストレステスト、非破壊的ストレステスト、破壊的ベンチマークテスト、非破壊的ベンチマークテストの4種が用意されいている。

 テストプロファイルにも解説(オンラインとCDに)が完備されており、動作にも問題はない。ただし、いったん始めると途中で停止できないので注意すること。中断したい場合はコンピュータを再起動するしかない。

 ハードウェア試験は、テストやベンチマークを実行しただけでは終わらない。その結果を解釈して、はじめて完了する。Inquisitorのストレステストの結果は分かりやすい。合格と不合格のいずれかしかないからだ。一方、ベンチマークの結果は、テスト中に収集した数値データだ。テストはよく知られているツールによるものだから、結果を解釈するための情報はそのツールのWebサイトで得られる。概要を見たいというだけの場合は、値が大きいほどよいと考えればよい。

大規模なテスト

 ライブCDを使うと、個々のマシンでストレステストとベンチマークテストを簡単に行うことができる。しかし、数千台のマシンを同時にテストするとなるとライブCDでは手に負えない。そこで登場するのが、Enterprise版と呼ばれている圧縮アーカイブだ。これをインストールすれば、PXEを使ってネットワークを介して起動できる。

 Enterprise版とライブCDには大きな違いが2つある。1つは、Enterprise版はすべてのデータをローカルファイルではなくサーバデータベースに送ること。2つめは、Enterprise版はWebインタフェースを介して管理すること。テストの進ちょくを監視したり問題のあるコンピュータを操作したりできる。

 InquisitorのWebサイトにはEnterprise版のデモがあり、例えば受注の処理状況やテストで不合格になり修理後合格したコンピュータの詳細などを見ることができる。

 Enterprise版は全機能を備えているが、汎用プラットフォームであり、実際に使うには、あらかじめ企業の状況に応じて調整しておく必要がある。つまり、Enterprise版は開発者向けということだ。Inquisitorの主要開発者であるミハイル・ヤクシン氏は「Inquisitorは汎用ソフトウェアプラットフォームだ。しかし、ハードウェアメーカーやデータセンターにおけるサーバ管理といったエンタープライズクラスの場合は、ソフトウェア1本だけでは済まない。それよりはるかに多くのものが必要になる」と述べている。

開発予定

 Inquisitor 3.0は2008年7月にリリースされた。数カ月後に予定される次期リリースでは、8コアや32コアのマシンにも対応する。ヤクシン氏によると、長期的には、テストの種類を増やし、2Dや3Dのグラフィックスカードなど、対応するハードウェアを広げたいそうだ。

 また、InquisitorのEnterprise版は、現在、ALT Linux、SUSE、Debian、Ubuntuの各ディストリビューションでサポートされているが、ほかのディストリビューションでも使えるようにしたいという。可用性を高めることのほかに、フレームワークを改善することや開発者向けにAPIに関する詳細な解説を用意することも優先的な課題だ。

 Inquisitorはハードウェアをテストするためのプラットフォームで、質もよい。時々テストやベンチマークを実行するならライブCDで、コンピュータメーカーが数千台のコンピュータ上で同じテストを実施するなら無償のEnterprise版で、といった具合に選択肢も用意されている。この種のソフトウェアはそろえておくと便利だ。特に、新しいコンピュータを買ったときや古いコンピュータの弱点を調べたいときには役に立つ。

原文へのリンク

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