電子投票めぐる戦い、勝者は「光学スキャン」方式

今年の米大統領選では、ペーパーレスの投票機よりも、投票者が用紙にマークを書き込み、それをスキャンする方式が利用されるだろう。

» 2008年11月05日 11時57分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 パンチカード型投票用紙が国家的な失策になり、米最高裁による歴史的な判決につながったフロリダ州の大統領選の失態から8年、米国民は11月4日、投票を正確に、確実に記録できる試験中の技術を再び試すことになる。

 投票者の約90%は投票用紙のスキャンまたは「Direct Recording Electronic(DRE)」という電子投票機を利用するだろう。紙の監査証跡が残るDREもあれば、残らないものもある。この8年間で、投票技術はどのくらい迅速に変わったのだろうか? 今回、パンチカード式投票機を使うのは、米国の3117の郡のうち11郡(いずれもアイダホ州)だけだ。2000年の572郡から減少している。

 こうした米国史上で最大の投票技術の変化の中では、国民がDREか光学スキャンシステムかを選ぶ国民投票とも言える動きもあった。明らかに、勝者は光学スキャンシステムだ。投票者が用紙にマークを書き込み、それをスキャンして投票するというものだ。2004年には、初めは多数の選挙区が紙での投票を完全に廃止するという案を好み、ペーパーレスのDREを支持していた。DREでは投票者はタッチスクリーンを使って、電子的に投票を記録する。

 Electronic Systems and Software、Premier Election Solutions(旧Diebold)、Harte InterCivic、Sequoia Voting Systemsなどの投票機メーカーはいずれも前回の大統領選で、監査証跡を残すDREが利用できると主張していたが、選挙区はペーパーレスDREを求めていた。

 だが2004年の投票者は、明らかにペーパーレス投票への不信感を示した。2008年は、電子投票機を利用する選挙区と投票者は前回よりも減り、約30年続いた電子投票機の成長は途切れることになるだろう。監査証跡を残す新しいDREでも、光学スキャンへ向かう潮流を止められなかった。

 実際、2006年以降に投票システムを変えた郡はいずれも、光学スキャン機器に移行した。皮肉なことに、2006年から2008年にかけてのDREから光学スキャンへの移行で、投票者が混乱する可能性が高まっている。

 「最初に投票システムを変えたときに、投票ミスの確率が最も高くなることは歴史が示している」とElection Data Servicesのキンボール・ブレイス氏は声明文で述べている。同社は1980年から投票機器の利用状況を調査している。

 今回の選挙では、登録投票者の56%以上を擁する58.9%の郡が光学スキャン投票システムを利用する。2006年には登録投票者の約50%が光学スキャン機器を使っていた。

 Election Data Servicesによると、ペーパーレスあるいは証跡ありのDREを使う投票者は、2006年の37.6%から2008年には32.6%に減少する見込みだ。

 「この4年間、これら選挙区の多くは投票手続きをテストしてきたが、問題を起こす可能性があるのは、今回新たに登録した投票者や、2004年以来投票していない投票者だ」(ブレイス氏)

 投票機が起動しなかったり、投票中にクラッシュしたり、メモリカードが読めなかったり、スキャナが用紙をスキャンしなかったり、タッチスクリーンが投票を認識しなかったりといった問題や、集計サーバのプログラムミス、その他のソフトウェア不具合などが起きることもあるだろう。

 それは投票者が直面する問題の始まりにすぎない。十分なトレーニングを受けていない投票所の職員もいるだろうし、投票者の登録で問題が起きるだろう。投票資格者の中には、登録投票者のデータベースの不具合で投票を拒否される人もいるだろう。

 朗報なのは、ミズーリ大学が2004年の投票結果を調査したところ、新しいタッチスクリーン式投票機のエラー率が、パンチカード式の1.7%に対し、たった1%だったということだ。

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