顧客争奪戦に勝てるIT導入を――集うユーザー企業IT投資の行方

トヨタ自動車が業績予想を大幅下方修正したその日、東芝ソリューションが品川で開催していた「東芝ソリューションフェア2008」を取材し、ユーザー企業の今後のIT投資意欲を探ってみた。

» 2008年11月07日 18時40分 公開
[ITmedia]

競争に勝つためのITソリューションを

熱心な質問が飛び交ったフェア会場

 「東芝ソリューションフェア」は東芝ソリューションが毎年開催するイベントで、今年は「ソリューションの原点に――確かな技術、響きあうソリューション」をテーマに11月6日、7日の2日間開かれた。同社は社会インフラや多様な業種の企業に向けたシステムソリューションの提供から、組み込みシステム開発、高品質のシステム開発基盤作りまで、幅広い分野で実績があり、その成果が一堂に集められ紹介されていた。

 数名の来場者に話を聞いてみると、世界的な金融不安による実体経済への影響は実感しているものの、IT投資について減速させることはほとんどない、という声が大半だった。ある金融関連企業のIT部門担当者は「情報をいかに効率的に吸い上げるか、そしてその情報を活用して業績をどれだけ上げることができるか、というプレッシャーが強まっている。安く早く実効性のあるシステムを作れ、ということ」と話し、「計画の見直しをして、あのプランとこのプランはストップしましょうと社内で相談している方がまだ楽なのに」と苦笑する。

 また、XMLデータベースに興味があって来場したという印刷関連企業の担当者も「同業他社との競争激化はもう数年前から始まっていて、不況がひどくなればその競争がますます厳しくなるというのが社内の共通認識。ライバルが対応できない顧客からの要望をどうやって実現させるか。素早く柔軟なシステムを作れ、ITで何とかしろという声が強い。新しくXMLデータベースを導入してコストがかかったとしても、これまでにない効果が確実に実現できるなら積極的に検討していきたい」と話す。そのほかの来場者の話を聞いても、開発コストはできるだけ抑えたいが、情報活用の効率化、レベルアップを進めなければ生き残れないという意見が大勢を占めた。

 また、業務のスピードアップがIT活用の最大のテーマと話す来場者も目立った。「直接業績アップにつながらなくても、新規のIT投資によって業務のスピードが上がれば、顧客にも喜んでもらえる。新規顧客を開拓するにも、スピードが一番の武器になる」(流通関連企業担当者)というように、顧客の争奪戦に勝つためにITをいかに使うかが重要なポイントになるようだ。

 東芝ソリューションによると、「東芝ソリューションフェア2008」の2日間の来場者は前年の2500人を上回る約2700人となった。

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