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» 2008年11月20日 15時41分 UPDATE

2011年の開発費を35%低減:「仮想化してコストを削減できるか見極めを」――大分県庁のVMware活用法

大分県庁は、ヴイエムウェアの仮想化技術でサーバを統合し、県庁のシステムを全体最適化する計画を進めている。

[杉浦知子,ITmedia]

 千葉県佐倉市沖縄県北谷町など、地方自治体でVMwareによるサーバの仮想統合が活発化している。約120万人の人口を抱える大分県は、約4000人の職員が勤務する大分県庁の基幹サーバを仮想化技術で統合する。「2011年度のシステム開発コストを2006年度と比べて35%削減する」といった目標を掲げる同県が抱える課題と、サーバの仮想統合に向けた取り組みを調べた。

厳しい財政状況の中、分散したサーバの管理が大きな負担

tsg1120vm2.jpg 大分県庁企画振興部IT推進課情報ネットワーク班の椎原佑主事

 「大分県の財政状況は厳しい」と話すのは、大分県庁企画振興部IT推進課情報ネットワーク班の椎原佑主事。2006年の、国庫補助負担金の廃止や削減、自治体への税財源の移譲、地方交付税の見直しが行われた政府による三位一体の改革や2008年の「おおいた国体」に掛かった費用が財政を圧迫しているという。

 厳しい状況の中、県庁の基幹システム運用コストが問題となっている。大分県庁では税金の総合システムや財務会計システム、人事給与システムなどに大型の汎用機を利用しており、37のシステムが稼働している。その保守費用が財政への負担になっているのだ。

 大分県庁ではこれまで、部署ごとにシステムを発注して導入してきたため、サーバが分散している。業務担当者がシステムを発注し、開発担当者がサーバなどの製品を選定する際に、必要以上に処理能力に余裕を持たせるなどの無駄が発生していた。結果として、機器が各部署に乱立し、余剰リソースが発生、開発および運用保守費用が増大した。一方で、関連する業務間でシステムが連携しておらず、複数システムで類似の性能を重複して持つなどの問題も抱えた。

2011年度のシステム開発費用を35%削減

 大分県庁では県庁の情報システムを最適化する計画を立案し、システム開発に掛かる経費を2011年度に35%削減する目標を掲げた。計画は、37の汎用大型コンピュータを廃止し、51の個別サーバシステムを大型サーバに集約するサーバ統合や、職員認証や電子決済といった共通基盤システムの構築、システム開発や運用に関する統一ルールの設定などが含まれる。2007年度に計画を立て、中核となるサーバ統合に仮想化技術を用いることを決めた。

 サーバの仮想化を選択した理由は、サーバ台数の削減によりハードウェアコストや電力消費を削減できるから。各部署で使っていたサーバのCPUやメモリといった余剰リソースを有効活用できることも考慮した。さらに、仮想化環境ではハードウェアとソフトウェアを切り離して運用できるため、システム改修がハードウェアのリプレースサイクルにとららわれなくなる点も利点だ。これにより、既存システムを延命でき、改修費を抑えられる。

 椎原氏は仮想化製品を選択するにあたり「ホストOSが不要なハイパーバイザー方式で、仮想化ソフトの付加機能が充実しているもの。運用管理工数を増やさないツールで管理でき、導入費用が大きくないことを条件に選んだ」と話す。選択したのは、ヴイエムウェアの仮想化技術だった。ヴイエムウェアの仮想化技術が「VMware VirtualCenter」で一元的に運用管理ができ、導入費用も「システム構築に見合ったもの」(椎原氏)であったことを評価した。

 現在、順次サーバを仮想化環境に移行している。ESX用サーバ5台、VMware VirtualCenter用サーバ1台、バックアップサーバ1台、ストレージ1台をFC-SAN(ファイバーチャネルSAN)でつなぎ、LTOライブラリを1台に統合する。アプリケーションには、「VMware Infrastrudture 3」を用いた。

tsg1120vm.jpg サーバ構成図

単に仮想化すればいいわけではない――見えてきた効果

 仮想化によるサーバ台数の減少によるコスト削減の効果のほかに、管理負担も軽減できそうだという。県庁では長くて4年程度のサイクルで人事異動があるため、システムの担当者が頻繁に入れ替わる。今まではシステムのバックアップが不十分なことが多く、新任の担当者が管理に困ることがあったという。システムはVMware VirtualCenterの管理画面で一元管理するため、このような負担を軽減できる。現在はIT推進課のVMwareの担当者が1人で運用管理をしている。「VMware VirtualCenterの管理画面の操作しやすさを評価している。1人でも管理できている」(椎原氏)

 そのほか、サーバをサーバ室に集約し、手のひら認証による入退室管理をするため、セキュリティレベルが向上した。CPUやメモリなどのスペックをVMware VirtualCenterの管理画面で必要に応じて変更できるようになった。仮想化環境でテスト環境を構築できるため、テストサーバを用意せずにテストができるようになった。

 「単に何でも仮想化すればいいわけではない。見極めが重要」と椎原氏。サーバの仮想化には当然、初期投資が掛かる。そのため、システムの設計段階で既存システムの仕様やスペックをしっかりと調査し、仮想化すべきシステムかどうか、仮想化することでコストを削減できるかどうかを検討することが重要だとしている。

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