ルー氏の採用は、「買えないのなら、奪い取ればいい」というバルマー氏の考え方の如実に示している。エンダール氏は次のように付け加えている。
「少なくとも状況を理解しており、Googleとある程度は対抗する能力を備えた人物をMicrosoftは手に入れた。特に重要なのは、ルー氏が検索のポータル的側面を理解していることだ。Yahoo!にしてもMicrosoftにしても、検索分野で真っ向からGoogleに対抗するのではなく、ポータル面にもっとフォーカスすべきだったのではないだろうか。Googleは検索分野で既に強固な地盤を築いており、彼らを追い落とすのは極めて難しいからだ」
New York Times紙のソール・ハンセル氏もエンダール氏と同じ見解であり、MicrosoftはGoogleの土俵で同社と戦っていると指摘する。
「バルマー氏は、GoogleをMicrosoftの最大の敵とみている。Googleの最大の技術は検索エンジンである。このため、Googleの土俵の上で同社を倒すには、最も優れた検索エンジンを作れる人間が必要だと同氏は考えたのかもしれない。その基準に従えば、誰でもルー氏を候補の1人に挙げるだろう」
ルー氏がサクター氏とともにMicrosoftのオンラインサービスの運営に当たることで、Microsoftは、検索プラットフォームを公開したYahoo!からさらに多くの技術者を獲得する可能性がある。また、Microsoftに対する信頼も高まり、GoogleやFacebookなどのシリコンバレーの寵児からプログラマーを誘惑することができるかもしれない。
「しかしこういった潜在的アドバンテージは、成功を約束するものではない」とエンダール氏は指摘する。
「これはMicrosoftのオンラインサービス部門にとって魔法の弾丸になるだろうか。考えてみれば、MSNは創設以来、悪戦苦闘してきたのだ。今回の動きで効果が期待できるのは、それはルー氏の経験とスティーブ・バルマー氏に直属という立場がもたらす相乗効果だけだ。確実にいえることは、早急に何かに着手しなければ、今回の作戦も短命に終わってしまうということだ」
IDCのアナリスト、カーステン・ワイド氏によると、市場で65%のシェア(Googleの検索トラフィックのシェアにほぼ相当)を確保していれば、その地位はほぼ安泰だという。
「ルー氏を選んだのは間違いだという理由は見当たらないが、今後の展開を見守る必要がある。経験豊富なオンラインマネジャー候補は少ない。同氏が最悪の選択でないことは確かだ」とワイド氏は語る。
AllThingsDigitalのカーラ・スウィッシャー氏は、バルマー氏がルー氏の採用について従業員に送った書簡を皮肉たっぷりで紹介している。
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