青山学院が明らかにした「学士力」向上の秘策次世代ネットワーク構築(1/2 ページ)

青山学院は教育機関では国内最大規模のシステム統合プロジェクトを進めている。その中で、同学院はEMCのソリューションを活用し、次世代ネットワークシステム基盤を構築した。2009年4月から稼働するという。

» 2008年12月10日 07時00分 公開
[ITmedia]

教育機関としての「情報力」

握手する青山学院の山口雅司常務理事(右)とEMCジャパンの諸星俊男社長

 2007年6月に青山学院は「次期ICT戦略策定委員会」を設置し、EMCジャパンをパートナーに次世代ネットワークシステム構築プロジェクトを進めてきた。今回の発表では、青山、相模原両キャンパスの教育系と事務系のシステム統合によって、学生の情報から研究室、図書館、卒業生の過去のデータなどを一元管理できるようになったことが大きな成果として挙げられた。

 青山学院の山口雅司常務理事は「青山学院は、21世紀のあるべき姿、進むべき道を明らかにするために、2006年11月に『青山学院アカデミック・グランドデザイン』を策定し、具体化に向けて全学的に取り組んでいる。その内の重要な柱の1つが『国際的教育研究ネットワークの構築』だ。これは学術の交流や連携によって教育研究拠点を世界レベルで展開し、総合的な教育研究環境の高度化と充実を図り、学院の教育力・研究力を高めることを目指している。今回のネットワーク基盤の構築を始めとする情報インフラの強化は、こうした教育力・研究力の向上に大いに役立つものだ」と語った。アカデミック・グランドデザインは同学院の青山キャンパス施設の再配置も含めた大プロジェクトで、次世代につなぐ多岐にわたる改革案となっている。

 昨年、文部科学省の中央教育審議会、大学分科会小委員会は大学卒業までに学生が習得すべき能力を「学士力」と定義し、国として素案をまとめた。大学全入時代を控えて、各大学は厳しい競争の時代を迎える。幼稚園から初等、中等、高等の各部、大学、大学院、専門職大学院、女子短期大学までを擁する総合教育機関の同学院でも、こうした時代の流れの中で、改めて真価を問われることになったわけだ。

 いわゆる学士力の向上について、青山学院では、そこで学ぶ学生各人へのきめ細かな教育メニューの確立が欠かせないとしている。各学生の教育履歴、学業の成果の記録などを正確に把握するには、教育機関としての「情報力」を改めて強化する必要があったという。

 EMCジャパンの諸星俊男社長は「当社は情報力が経営の中核であるというコンセプトを基にビジネスを進めている。レベルの高い教育機関として定評のある青山学院が情報力を強化し、教育力をさらに高めるという取り組みは、当社のコンセプトにも合致する。今回のシステム基盤の構築をきっかけに、より最適なITソリューションを提案し知的資産を効率的に活用できるよう協力していきたい」と語った。

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