青山学院が明らかにした「学士力」向上の秘策次世代ネットワーク構築(2/2 ページ)

» 2008年12月10日 07時00分 公開
[ITmedia]
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継続的なコスト削減と情報活用の今後

 今回、青山学院とEMCジャパンが取り組んだ具体的な内容は3つ。次世代ネットワーク基盤の構築、事務系と教育系のシステム統合、青山キャンパスと相模原キャンパスにおけるシステムの二重化ということになる。

システム概要図
青山学院が目指す情報ネットワーク

 次世代ネットワーク基盤の構築では、エンタープライズ向けの大規模ストレージ「EMC Symmetrix DMX4」が導入された。この製品は主に金融機関や大手流通企業のネットワークに利用されているもので、障害が起こってもファイルサーバ、事務用システムなどに影響が波及しないことが大きなメリットだという。この導入によって、事務系と教育系のファイルサーバが統合され、さらに、ファイルサーバアーカイブ「EMC Celerra NS80G」によってファイルのアクセス頻度を継続的に調査していくことになるという。将来的には、アクセス頻度の低いファイルは二次ストレージに格納することで、データの最適配置を実現し、ILM(Information Lifecycle Management)を強化していくことになるという。

「継続的なコスト削減を実現するITインフラが必要」と語る有安健二氏

 青山、相模原の2つのキャンパスでそれぞれシステム統合が行われたが、両キャンパスのネットワークは、高速回線でつながっており、データを自動転送する仕組みが出来上がっている。ここでもストレージベースのレプリケーションを可能にするEMC製品を活用することで、サーバリソースを消費することなく、災害などに備えた情報資産の保護が可能になった。

 EMCジャパンの執行役員、テクノロジー・ソリューションズ本部長の有安健二氏は次のように語る。

 「青山学院が目指す情報システムのゴールには、さまざまなものがある。今回EMCジャパンがかかわったのは、情報インフラの部分だ。短期的なものにとどまらず、継続的にシステム関連コストを削減していく仕組み、コンプライアンス、セキュリティの強化、リスク管理と事業継続性の強化が挙げられる。オープンで使いやすい情報システムは一方で情報漏えいなどのリスクも高くなるし、コストも高まっていく。守りをしっかりと固めてこそ本当の情報力の強化が実現できる」

「あらゆる情報活用には強固なインフラが必要だった」と語る濱中正邦氏

 これに対し、青山学院の特命事項担当局長の濱中正邦氏は「次世代ネットワークシステム構築における要件は、システムの安定性に加え、校内全体で共通化した情報インフラを活用するための学内無線LANの整備、自宅や外出先から学内ネットワークにいつでもどこからでもアクセスできる利便性と可用性、そして情報量の増加に対応する拡張性だった。青山学院では、EMCがこれらの要件を満たし、さらに、システムの全体最適化ソリューションと、大規模情報インフラにおけるシステムの安定性、将来的なデータ容量増加に耐えうる拡張性が提供できることを評価し、導入を決定した」とし、さらに次のように語った。

 「それぞれの部門で、異なる機種、環境で情報を管理している状況は、コスト、リスク管理、ガバナンスそれぞれの面で負担が増すばかりだ。全体最適化のアプローチをしなければ、『情報を教育に最大限生かす』ということはできない。学生向け授業支援や情報共有、社会人教育など、どんな取り組みにも今回のインフラ構築は大きな支えとなる」

 学生、職員合わせて3万人を超えるユーザーが、自在に学内の資産を活用できる環境の基礎はできた。今後はそれをどう活用していくか。学生、卒業生など個人に紐づいた情報活用の取り組みはこれからだ。また、こうした情報資産の管理によって、今後どれだけコストを低減させていくことができるかも注目される。

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