一気にではなく、時間をかけてダウンサイジングを進める意味について「ITの地産地消」という観点から考えてみる。
長崎県庁では、2期構成でダウンサイジングを進めている。つまり、「一気にではなく着実に」を選択している。しかし、下の図を見れば明らかだが、「着実に」の陰には「情報連携」部分など、将来においては無意味となる開発をしなければならないということも事実だ。今回は、筆者がITの地産地消を進めて行く上で、このあたりのことをどう考えたのか述べることにする。
第1期終了から汎用機撤去までの4年間においては、将来において無意味とした部分が極めて有用であることは、前々回の記事を見てもらえばよい。だが、全てのシステムにおいて有用というわけではない。明らかに無駄と整理できるシステムもある。そこで、職員の間で誤解や迷いがないように、平成16年度夏の計画段階において次のように決めた。
(1)財務会計、給与計算、県税、予算編成の各システムは2期構成の「着実」を選択
(2)母子寡婦、身体障害者手帳、児童扶養手当システムなど汎用機上の中小システムは「一気」を選択
また、いざ開発となった場合、各課とも戸惑いがあるだろうとして、平成17年度当初からダウンサイジングに着手するのは情報政策課のみとし、税務課はその半年後、他課は平成18年度からの着手と整理をした。余裕を持たせ、情報政策課の仕事の進め方を参考にしてもらうことで、あたふたする気持ちを抑え、着実な予算編成を行ってもらうためだ。
さらに、財務会計・給与計算・予算編成および汎用機上の中小システムのダウンサイジングは情報政策課の責任とし、その他は各課の責任とした。
中央省庁では権限の奪い合いが有名だが、地方自治体では、「課同士での仕事の押し付け合い」が散見される。押し付け合いが有意義なものならいいのだが、現実は課長が「責任を取りたくない」と思っていることが原因であったり、「面倒な仕事はしたくない」と思っている職員の存在が原因であったりする。そこで、筆者自身が直接コントロールできる情報政策部門の仕事を大きくし、各課の仕事は「誰が見てもお宅の課の責任でしょ」と言えるようにした。
なぜ、そんなことをするのか述べたい。
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