Wistia、エンタープライズビデオ市場でCiscoとGoogleに挑戦管理者不要で使いやすさを重視

Wistiaがエンタープライズビデオ市場に正式に参入する準備を進めている。同社のSaaSプラットフォームは、従業員のトレーニングや見込客への営業活動などで利用できる。メッセージング/コラボレーション用のコメントスレッド機能を提供することにより、Cisco、Google、Veodia、ITVとの競争で優位に立つ考えだ。

» 2008年12月22日 18時01分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Cisco SystemsとGoogleは、エンタープライズビデオ市場で新たな競争相手を迎えることになった。エンタープライズビデオ製品はコラボレーションツールと組み合わせることにより、今後数年間で数十億ドルの市場機会を生み出すとみられている。

 これまで無名の存在だったWistiaは12月29日、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)型ビデオ共有アプリケーション「Wistia」を発表する。企業ユーザーは、このアプリケーションを従業員のトレーニングや製品/サービスの販促などに利用できる。

 Wistiaプラットフォームを利用すれば、Webブラウザを通じて社内の業務チーム、ビジネスパートナー、顧客とビデオコンテンツをプライベートに共有することができる。このツールは、オンラインビデオをサポートするコンピューティングリソースがなく、その運用管理を担当するITスタッフもいないという中小企業の間で人気を博する可能性がある。

 Forrester Researchのアナリスト、テッド・シャドラー氏によると、エンタープライズビデオは普及期を迎えているという。同氏は現在、このテーマについて2009年に発表するリポートを作成中だ。「企業内でビデオを広範に利用する機会が増えている」と同氏は指摘する。

 「ユーザーはWistiaのプラットフォームに登録してビデオをアップロードすることになる。このプラットフォームはすべてのコンテンツをFlashに変換し、任意のWebブラウザから閲覧できるようにする。Wistiaアプリケーションの管理者は、視聴者にWebリンクを送信することにより、彼らをプロジェクトページに招待し、コンテンツを閲覧してもらうことができる」――Wistiaのクリス・サベージCEOは12月18日、eWEEKの取材でこのように説明した。

 Wistiaの管理者は、トラフィックの取締官として、誰がどんなコンテンツを閲覧できるかを決定できるほか、視聴者が大きな関心を示すコンテンツや、ほとんど関心を示さないコンテンツを把握する監査/リポーティング用のツールも利用できる。例えば、ユーザーがビデオを20秒間観たところで飽きてしまい、ビデオを早送りした場合、Wistiaの関心度把握ツールはこういった行動を指標として監視するという。

 サベージ氏によると、ユーザーが最も関心を示すコンテンツを監視する機能は、販売スタッフにとって特に重宝するという。見込客が何に関心を抱いているかを把握できるからだ。「このため、Wistiaでは社内でも自社製品を利用している」と同氏は語る。ビデオ共有ソフトウェアに含まれる関心度把握ツールを使い、販促宣伝に対する顧客の反応を測定しているのだという。

 「われわれは新しい機能セットに関するビデオを見込客と共有しており、どの見込客がそのビデオを観ているのかを把握できる」とサベージ氏は話す。

 Wistiaでは、ユーザーがビデオコンテンツにコメントを付けられる。コメントはタイムコードを設定したり、特定のビデオフレームにリンクしたりすることが可能だ。Wistiaは、Microsoft OfficeやAdobe PDFで作成されたドキュメントのほか、オーディオフォーマットや高解像度ビデオもサポートする。

 Wistiaは間もなく正式にデビューするが、サベージ氏によると、Cushman & Wakefield、Nestle Nutrition、Sonus Networksなど25社の企業が、既に同社のプライベート型ビデオ共有ツールを利用しているという。

 ITスタッフがいない、あるいはITスタッフにゆとりがないという企業にとって魅力的な特徴の1つは、システム管理者の許可を得たり、セットアップを手助けしてもらったりしなくても、Web上でWistiaのソリューションを入手できるという点だ。その意味では、多くのWebカンファレンスツールに見られるような簡易性を備えている。

 Wistiaの基本パッケージの価格は月額79ドルから(1人の管理者と10人の視聴者をサポート)。追加視聴者1人に付き月額3ドルの追加料金となるが、大量導入割引も用意している。同社では、関心のあるユーザー向けに30日間の無償トライアルも提供している。

 ビデオ共有ソフトウェアに関する限り、Wistiaは本命ともいえるベンダーだが、この分野の市場シェアを狙っている企業はほかにもある。

 Ciscoは広範な企業向けビデオソリューションをそろえており、大企業向けに5万ドルのメディアアプライアンスを発表したばかりだ。Sun Microsystemsは、社内のトレーニングプロジェクトの一環として、新興ビデオサービス企業Veodiaのサービスを3万シート導入した。

 Googleは9月、企業向けの「Google Video」をGoogle Appsスイートの無償追加機能として発表した。

 そのすぐ後に、新興ベンダーのITVがWistiaと同様のソリューションを発表した。Ciscoと同じく、ITVも大企業に狙いを定めている。

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