悲惨なUSBメモリ、名付けて「ユメちゃん」!?悲しき女子ヘルプデスク物語(2/2 ページ)

» 2008年12月24日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]
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愛称を付けてあげれば、優しく使ってもらえるかも

わたし ……これ、一体どうしたんですか?

 Iさんによると、PCからUSBメモリを抜く際に周りのカバーの部分にピシピシと裂け目が入り、カバーだけが抜けて、中身はPC本体に刺さったまま残ってしまったというのだ。いったい、どういう抜き方をしたのだろう? そんなにこのプラスチックケースはヤワなつくりなのだろうか?

 いやいや、きっと、Iさんが変な力の入れ方をして、無理に抜こうとしたのだろう。ケースと中身とが分離したことに慌てたIさんは、その抜けてしまったケースのプラスチック部分を接着剤で修理したらしい。しかも、欠けてしまったところにはちょっと厚めに接着剤を塗りこんで。内側の基盤に接着剤が着かないように気を使うのが大変だったと少し自慢げに話をしているが、そういう問題ではない気がする

 接着剤で無事に修理できたのでしばらく使っていたけれど、見た目があまりよくないし、また同じように壊れたらこんどは修理できないかもしれないと不安になったので、新しいものを支給して欲しいとやってきたのだった。

Iさん この状態で使うのって怖いだろ? な? な?

 一生懸命、自分の(修理したという)努力の成果と、それにも関わらずUSBメモリを交換することを正当化しようとするIさん。そしてわたしの手の上の、ある意味器用に修理されたピシピシのUSBメモリ。なんだか複雑な気持ちになってしまった。

 しかし、このような壊し方をして、よくUSBメモリのデータが無事だったものだ。そういえば、Iさんはいつもこういうことにはラッキーな人だ。PCがらみで何かトラブルを起こしても大事にいたったことがない。肝心のデータだけは無事だったり、アプリケーションの再インストールは免れたり、いつもギリギリセーフな人なのだ。

 USBメモリのトラブルは数あれど、このような状態に遭遇しようとは想定外だったわたし。USBメモリを取り巻くトラブルといえば、失くしたとか落としたとか、中のデータが読み取れなくなった、水没させたなどという話がほとんどだ。最近では、USBメモリにマルウェアが仕込まれていたというケースも多い。でも、物理的に壊されたものを見たのはこれが初めて。しかも、高いところから落としたとか、車や人や象が踏んづけたという理由で壊れたものではない。単に、いつもどおりUSBポートから抜こうとしての破損。手の平に乗っているUSBメモリは、見れば見るほど無残な姿である。このまま使い続けるのも伝説になっていいかもしれないけど、やっぱり怖い。さっさと新しいUSBメモリの支給をしたほうがよさそうだ。そこで所定の手続きを行い、Iさんには元のUSBメモリに保存されていたデータをコピーした真新しいUSBメモリを渡した。新しくなったUSBメモリを手にして満足そうに、再び足取りも軽く戻っていくIさんの後姿を見つめながら、「優しく扱ってくださいね」と声をかけるわたし。

そういえば、水に強いこんなUSBメモリもある。「ゾウが踏んでも壊れないUSBメモリってないかな?」と探したら、こんなのもあった。やっぱり、USBメモリは悲惨な使い方をされるものなのだろうか。


 さて、件の悲惨なUSBメモリは、わたしの部署で一時的に花形スターとなっていた。次から次へとスタッフが手にとっては、どうしたらこのような状態になるのかと注目を浴びていた。もっとも、この人気は1日限りのものだったけれど。

 PCを取り巻くいろいろな周辺機器はUSBを利用していることが多い。わたしも周辺機器の許容範囲について考えたり、どのようなものが持ち込まれているか社内を探検したりしたけれど、その結果、USBを利用した周辺装置や便利グッズは山のようにあることを知った。USBメモリはわたしたちにとって身近な周辺機器になったけれど、身近になりすぎて、ついうっかりと「精密機械」、「取り扱い注意」な道具であることを忘れてしまう。改めてUSBメモリの取り扱いを気を付けようと思う機会となった。ところでやっぱり、「ゆめちゃん」って名前を付けたら丁寧に扱おうって気になると思うんだけど、どうかしら?

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