openSUSE 11.1がクリスマスより一足早くリリースSuper Review(1/2 ページ)

カスタマイズの利便性を犠牲にしてでも、とにかくLinuxを使いやすいものにしようとする傾向には注意が必要だが、それをのぞけばopenSUSE 11.1は安定性と完成度の非常に高いシステムの1つに仕上がっている。

» 2008年12月25日 04時30分 公開
[Susan Linton,SourceForge.JP Magazine]
SourceForge.JP Magazine

 今年もまたあの季節がやって来た。といってもクリスマスのことではない。我らがLinuxの本命ディストリビューションから最新版が出る時期なのだ。本日(12月18日)、openSUSEのバージョン11.1がリリースされる。ポイントリリースというだけあって、新規インストールあるいはアップグレードを促す新機能が目白押しだ。

 openSUSE 11.1は複数の形態で提供されており、i586、x86_64の各アーキテクチャについてDVDとライブCDのイメージが用意されている。今回は、i586用のDVDで動作確認を行った。

 最初に気づく変更点の1つが、新しいライセンス契約だ。これまでのようなEULA(使用許諾契約書)ではなく、「同意する」ボタンのクリックを必要としないオープンソースライセンス契約になっている。ただし、このライセンスには依然として「GPLの下でリリースされておらず、実際に著作権や商標権が存在するopenSUSEおよびNovellソフトウェア」への言及が含まれている。openSUSEプロジェクトは、昨年秋にUbuntuでMozillaのEULAが批判を受けて早々に改定を余儀なくされたことを踏まえ、今回の変更によって世間の賛同やコミュニティーからの支持が増えるとの期待を抱いている。このライセンス変更の目的を端的に表しているのが、openSUSEのコミュニティーマネジャーJoe "Zonker" Brockmeier氏の「これで再配布や変更に何の制限もないライセンスになった」という一言だ。

 バージョン11.0で一新されたopenSUSEの外観は、この11.1でさらに手が加えられ、新たなグラフィックやツールのアップデートが見られる。再設計された今回のパーティーショナーでは、操作性向上のためにドライブとパーティーションの一覧が左ペインにまとめられ、より広い右ペインには作業を行うドライブの詳細情報が見やすく表示される。インストール中は、推奨の設定内容がユーザーに提示されるだけだが、ボタンを1つクリックするだけでこのパーティーショナーの画面をカスタマイズのために開くことができる。

 デスクトップ環境は、インストールの途中で、openSUSE用にカスタマイズされたGNOME 2.24、同じくKDE 4.1、そのほか(KDE 3やXfce 4が含まれる)の中から選択する。また、「Summary」画面で「Software」という見出しをクリックすれば、そのほかのソフトウェアや追加のデスクトップを選択できる。ブートや実行レベルなど、それ以外の設定項目も、該当する見出しをクリックすることで変更が可能だ。

 インストールで注目に値するのが、ネットワークの設定がまったく出てこないことだ。openSUSE 11.1では、ホスト名の設定も含めてネットワークのセットアップが自動的に行われる。こうしたネットワーク設定がインストール手順から消えたことは、新規または急ぎでインストールを行うユーザーから見れば効率化といえるが、ネットワーク設定をカスタマイズしたいユーザーには初回ブート後までその作業が行えないという制限になる。しかも、この自動設定には難点がある。システム管理ユーティリティYaSTによるホスト名の自動設定を3回ほど利用したが、リブート後に表示されるホスト名はいずれも英数字をランダムに組み合わせた不可解で覚えにくいものだった。そのほか、ファイアウォールやAppArmorといったセキュリティツールをオフにできるオプションもインストール中には出てこなくなった。

 だが、本当に驚いたのはインストール後だった。インストール作業が終わって1分ほど目を離しているうちに、いつの間にかデスクトップ画面が表示されていたのだ。実は、openSUSE 11.1ではインストール後の設定も自動化されている。これはある意味では進歩だが、カスタマイズはやはりYaSTが使えるようになるまでおあずけになる。実際、この時点ではシステムがrootパスワードを持たない状態になっていた。つまり、今回のopenSUSEは、Ubuntu同様、sudoの採用により、通常はrootでしか行えない高度な管理タスクがユーザーでも操作可能になっている。確かに初心者にとって使いやすいものになったかもしれないが、セキュリティ保護のパーミッションの重要性を知る古参者としては気になる部分だ。以前のバージョンの動作に手っ取り早く戻すには、初期インストールの「Summary」フェーズで「User Settings」をクリックしてrootパスワードを設定すればよい。

openSUSE 11.1 openSUSE 11.1のデスクトップ(SmoltとKDE)

 sudoの採用により、ユーザーパスワードだけでソフトウェアのインストール、削除、アップデートがマシンに対して行えるようになった。パッケージ管理システムYaSTは、バージョン11.0の時点で完全にリライトされ、処理速度と信頼性がいちじるしく向上した。この最新版では、さらなる機能強化が施されている。グラフィカルなソフトウェアマネージャの起動、アップデート、検索が従来より高速になったほか、リポジトリからのダウンロードやインストールにかかる時間もかなり短縮されている。また、検索を何度か行っていると、機能の向上につながる追加パッケージを提示してくれる。

 デスクトップ画面に文字どおりポップアップされる新たな要素として、Smoltがある。このハードウェアプロファイラは、Linuxシステムで使用中のハードウェア情報の収集を目的として、最初にFedoraで導入された。openSUSEのデスクトップでも今回から採用されており、インストール先のハードウェアプロファイル情報をsmolt.orgに匿名で送信する機能を備えている。

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