RIMがCerticomに買収提案暗号化技術に注目

楕円曲線暗号技術のデベロッパーであるCerticomは、BlackBerryメーカーのRIMによる敵対的買収を阻止するために訴訟を起こしたのに対し、RIMはCerticomの株主が5300万ドルのオファーを検討する期間を12日延長した。

» 2009年01月07日 06時00分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 BlackBerryのメーカーであるResearch In Motion(RIM)は、1株当たり1.50ドルというRIMの敵対的買収提案をCerticomの株主が受け入れる期限を1月15日から1月27日に延長した。Certicomの取締役会は、RIMが提示した約5300万ドルの買収金額に対し、自社の価値を過小評価するものだと反対している。RIMが欲しがっているのは、Certicomが開発している楕円曲線暗号技術だ。

 CerticomはRIMによる敵対的買収を阻止すべく、2008年12月22日に差し止め命令を求めて提訴した。RIMがCerticomの機密情報にアクセスし、RIMの買収提案との関連でその情報を利用したことは、2007年と2008年に締結された守秘義務契約に違反するものだとCerticomは主張。オンタリオ州上級裁判所での審理は1月9日に予定されている。

 Certicomは、株式をRIMに売却しようと考えている株主に対し、Certicomの短期的・長期的な成長に伴う利益を得る機会を失うことになると警告している。Certicomは株主にあてた12月22日付けの書簡で「Certicomの株式を保有し続けることが潜在的株主価値を高めるものであり、企業価値を過小評価したRIMのオファーを受け入れるよりもはるかに得策であると取締役会は確信している」と述べている。

 RIMは提案受け入れ期限の延長に際し、Certicomを買収するオファーは公正な取引であると主張した。

 RIMのジム・バルシリー共同CEOは「取引条件を提示する上で意味のある対話をCerticomの経営陣と行うことができないため、この魅力的なオファーをCerticomの株主に直接提示することが当社の株主、従業員、顧客にとって最大の利益になると考えている」と発表文の中で述べている。

 Certicomによると、RIMとCerticomとの間で交わされた守秘義務契約により、RIMは重要な内部情報にアクセスすることができ、別の契約を結びたいと考えている他社に対するタイミング的なアドバンテージをRIMに与えたという。さらに、「RIMにはCerticomの機密情報を評価し、オファーに際してその情報を利用できるというメリットがあったことを、RIMはCerticomの株主に明らかにしていない」とCerticomは主張する。

 「RIMの敵対的買収提案は、業界をリードするCerticom独自の、価値の高いデータ暗号化技術、そして当社の戦略的計画の実施における最近の前進を過小評価するものだ」とCerticomは株主宛ての書簡に記している。「RIMは約2.00ドルのキャッシュと税制上の優遇措置を1.50ドルで手に入れようとしており、あなた方の会社の貴重な資産と事業に対して適正な代価を支払おうとしない」

 さらに同書簡は「Certicomの株式を保有し続けることが潜在的株主価値を高めるものであり、企業価値を過小評価したRIMのオファーを受け入れるよりもはるかに得策であると取締役会は確信している」と続ける。

 Certicomは、コンテンツ、アプリケーション、デバイスの価値を管理・保護する政府公認のセキュリティ技術を提供している。NSA(国家安全保障局)が政府間の通信に採用している楕円曲線暗号技術は、既存の公開鍵方式の中で1ビット当たり最も高いセキュリティを実現する。

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