いつか来る好況のために――不景気は改革の最後のチャンス「2009 逆風に立ち向かう企業」テクノブレーン(2/2 ページ)

» 2009年01月15日 08時00分 公開
[聞き手:加山恵美,ITmedia]
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ITmedia 雇用情勢が厳しい現在、どう過ごせばいいでしょう?

能勢 先に述べたように、今転職できるのは特殊な例です。多くにとっては、軽率には動かず、現在の会社で息を潜めているのがよいのではないでしょうか。今は転職にいい時期ではありません。

能勢賢太郎氏 「この不景気は、改革の最後のチャンスになるかもしれない」

 代わりにスキルや知識を蓄えておくといいでしょう。会社を見極める目も大事です。これは転職に興味がない人にも重要です。今いる会社に将来性があるのか、ないのか。より端的に言えば、今、会社に注文伝票があるのか、ないのかです。昨今の経営はとても切実な状況ですから。

 とても厳しい時代にさしかかっていますが、今はこんな時代を生き抜く力を鍛えるための試練の時期と考えることもできます。どんな人も、人生でいつかは厳しい時代に直面することになるでしょう。どの年代でそれを迎えるかは人によりますが。今の経験はピンチを切り抜ける力やチャレンジする勇気を持つ契機としてとらえることができます。

 この時期は企業やそれぞれにとって改革するための最後のチャンスになるかもしれないと考えています。

 直近では経済も雇用は厳しい情勢ですが、今後3〜5年の範囲で考えたらITの人材が不足するのは明らかです。今は急激に落ち込んでいますが、ここで雇用の動きが抑制される分、上昇に転じたら一気に反動が来ます。そのときに備えておくべきです。

ITmedia それはいつと考えますか?

能勢 現時点では転換期がいつになるかは明確には分かりません。これまでの周期から考えると、少なくとも春くらいまでは厳しい状況が続く可能性があります。回復するとしたらその先でしょう。

 いつかは再び好況になります。ここで実力を付けておかないと、いざ経済が上昇に転じたときに取り残されてしまうでしょう。ただ不況を嘆いて耐え忍んでいるだけでは、好景気の波が来たときに乗れません。

 社会構造は常に変化していますが、不景気のときほど大きく変化します。次に景気が回復すれば何かが大きく変わっているでしょう。その時に備えて考え方を変え、スキルを磨いておくべきです。

 まだ日本には力があると思います。ここで変化に対応する準備をしておけば好景気になったときに大きく伸びることができるでしょう。

ITmedia 最後に、2009年に個人的にやってみたいことは何かありますか?

人材紹介業にとっても試練のとき。こうしたときこそ、まずやるべきことをしっかりやる。問題ではなく機会を見い出す。

例えば海外人材の活用や優秀な日本人の海外での活用など、皆が手放すビジネスの中に小さな成功を積み重ねたい。

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