顧客のために、ものづくりの原点に返って体質改善を「2009 逆風に立ち向かう企業」:東芝ソリューション(1/2 ページ)

この大不況を企業の体質改善の機会と捉え、正面からそれに取り組んだ企業こそが、次の局面を迎えることができると東芝ソリューションの梶川社長は語る。

» 2009年01月23日 00時00分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]

 製品ライフサイクル管理(PLM)、統合業務パッケージ(ERP)、顧客関係管理(CRM)などの企業基幹システムから、組み込みシステム開発といったエンジニアリングソリューションまで幅広い分野に実績と信頼を持つ東芝ソリューション。ユーザー企業をよく知る大手ベンダーは、2009年のユーザー動向をどう読み、どのように切り進んでいていくのか。取締役社長の梶川茂司氏に聞いた。

ITmedia 昨年11月にはユーザーイベントも行われましたが、ITサービスを提供するベンダーとして、現在の企業ユーザーの動向をどのように感じていますか。

梶川 不況の波はいたるところに押し寄せています。多くの企業で「今あるITシステムが動いているので、とりあえずはこれでよい」「まだ大丈夫」というIT投資に対して尻込みの姿勢が見えてきます。すでにITは企業に行き渡っており、投資といえばリプレイスが前提なので、新たな投資に見合った価値を説明でき、かつそうした効果を出せるものを提供できないと、顧客は納得しません。

東芝ソリューション 取締役社長 梶川茂司氏 東芝ソリューション 取締役社長 梶川茂司氏

 現在の状況が深刻なのは、すべての産業・業種がそろって不況に陥っているという点です。ネットバブルやITバブルが崩壊した2000年から2001年当時でも、世の中のすべてが下降していたというわけではありませんでしたから。今回は自動車や外食など生活に密着した産業がダメージを受けているため、個人消費の減退に表れるように国民すべてがその影響下に置かれてしまっています。そのため、全体的に不況感が増幅されているような印象を受けることもあります。マスコミがことさら強調しているので、そうでなくてはいけないという雰囲気もあるようですね。「投資? この時期に?」と言われそうで。

ITmedia すでにITは企業経営の基幹にかかわっているものですが、そこへの投資も絞られているのでしょうか。

梶川 やはり世の中全体が様子見の傾向にあるため、「とりあえず今回は控えよう」という方針を取る企業も多いようです。過去においてはIT投資の必要性について成長のためといった説明で納得してきた企業も、世の中全体の成長が止まっているのなら、投資の必要も今のところないんじゃないかということでしょう。2009年もこの傾向は続くと思われますから、景気が上向きになって受注が回復するまで、しばらくシステムベンダーは厳しい状況か続くと考えています。IT投資は最初に絞られ、最後に回復しますから。

ITmedia 進行していた案件の中断や、コストダウンを迫られるといったことも聞きますが。

梶川 われわれも社内で、ものづくりの原点に戻ってコストの見直しといった行動を起こしています。「ソフトウェアものづくり」という姿勢は、わたしの社長就任以来のモットーでもあります。売上に依存できないとしたら、利益をどう確保するか。今はこうしたことを考える、いわば企業の体質改善の機会ともいえるでしょう。技術力を上げたり、効率化を図ったりといった工夫が迫られているのです。これらはコスト面にも寄与しますし、提供のスピードや品質の向上という付加価値としても出てきます。わたしは、会社としては良い機会であり、次のためのステップであると捉えています。正面から取り組んだ企業こそが、次の局面を迎えることができると信じています。

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