オープン支持を唱えるMicrosoftのバルマーCEO

選択肢と競争を促進する上でオープン性は不可欠とバルマー氏は語った。

» 2009年02月18日 15時01分 公開
[Nathan Eddy,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftのスティーブ・バルマーCEOはGSMA Mobile World Congress基調講演で、統合の問題、オープン性、同社がテクノロジー時代に果たす重要な役割に触れ、革新、そして人と情報、人と人をテクノロジーでつなぐ新たな手法を信じていると繰り返し語った。

 「革新の重要性を認識している企業にはアドバンテージを得るチャンスがある」と同氏。「結局はアイデアと革新の力がわれわれを前進させ続けるだろう」

 バルマー氏は開幕基調講演で世界的な経済危機に触れ、これはすべての人に影響する「経済的リセット」だと語った。同氏は楽天的な口調で、聴衆に楽観的になるよう呼び掛けた。「われわれのデジタル生活を改善し続けるチャンスはまさにここにある」と同氏は語った。「相互接続世界からの後退はない」

 同氏は、コンシューマーは何よりも会社での生活と家庭での生活をシームレスにつなぐ体験を求めていると話した。モバイル業界はそういったシナリオを提供する最前線にあると同氏。「新世代の革新が、テクノロジーと人の相互作用を変えようとしている。向こう数年のうちに、われわれは未知の領域に飛び込むだろう」

 バルマー氏は、デジタルデバイスが次第にユビキタスかつ強力になっているトレンド、マルチコア処理の進歩、「自然な」ユーザーインタフェース、インタラクティブスクリーンの多様性を強調した。アプリケーションは間もなく、コンシューマーの求めるものを予想するだけでなく、コンシューマーが本当に求めるものも予想できるようになる――これはNokiaのOviGoogleのLatitudeの重要な設計哲学となっている――との予測も示した。もっと大げさだったのは、高精細ディスプレイが財布やカバンに丸めて入れられるほど薄く軽くなるという予測だろう。

 今年のMobile World Congressでは、デバイス間の障壁を越えることも大きな話題の1つで、バルマー氏の講演でも大きく取り上げられた。同氏は、1つのコンピューティングプラットフォームが普及し、小さなものは携帯電話から、大きなものはデータストレージセンターまでさまざまなデバイスに使われる世界を語った。「そうなれば、どこにいても、何のデバイスを使っていても、人と情報とアプリケーションをシームレスにつなげるようになるはずだ」と同氏。「世界中のすべての人が情報にアクセスし、知識経済に参加できるようになる」

 興味深い将来のビジョンだが、バルマー氏の講演とその後のパネルディスカッションのメインテーマであるオープンなモバイルエコシステムとどう関係するのだろうか? 「顧客が望む体験を実現するすべてのコンポーネントを1社で作ろうとすることはできないという見方に賛成だ」と同氏は語った。「最高のアイデアとテクノロジーを統合するために協力する必要がある」

 バルマー氏は、Microsoftの「オープン」の考え方は、ほかの組織が支持するオープン性のビジョンと完全に一致するわけではないかもしれないと語った。かつてLinuxを「がん」と呼んだ人物の発言としては、そう意外なものではない。しかし同氏は、革新と技術の進歩を最も活発に推進する要因となる選択肢と競争を促進する上で、ある程度のオープン性は不可欠であると確信していると述べた。「最終的に、成功する企業はオープンになる。そうした形のオープン性は、革新を進める選択肢を提供する」

 バルマー氏は、Microsoftが協力とアイデアの共有に依存するパートナーエコシステムに関与した経験から学んだ教訓に手短に触れた。同氏は特に、セキュリティ、アプリケーションの互換性、相互運用性の課題を取り上げた。「われわれはそうした経験を経て成長し、これらの問題を予期して回避するためにどのようにパートナーシップを形成すればいいのかを学んだ。われわれはオープンなネットワークとアクセスを支援し続ける」

 同氏は最後に、テクノロジーが進化する中でコンシューマーにとって最善なソリューションを作り出すために、すべての組織がオープン性と相互運用性の教訓を基にする必要があると語った。「それにより、われわれの会社と業界は最大の成功機会を手に入れられる」と同氏。「今後数年、経済がどうなろうとも、テクノロジーと革新は上昇曲線を描いていく。皆がそれに加わるのを楽しみにしていることをわたしは知っている」

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