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» 2009年02月23日 18時41分 UPDATE

仮想化は諸刃の剣:やはり、問題は人――デルの「仮想化の泰斗」が語る

デルの仮想化担当プラクティス・エグゼクティブ、ロン・オグルズビー氏は「仮想化技術は企業のITに大きなインパクトは与えるが、導入の方法によっては新たな問題を生む」と語った。

[大西高弘,ITmedia]

「良い仮想化」と「悪い仮想化」

 デルのロン・オグルズビー氏がこのほど来日し、東京で「Dell 仮想化ソリューションの戦略と取り組み」と題するブリーフィングを行った。オグルズビー氏はこれまで20件以上の北米での仮想化コンサルティング実績を持ち、この8年間で5冊以上の技術書を執筆している。技術者を集めた会議などで仮想化に関する基調講演をたびたび行っているこの「仮想化の泰斗」は、その経験から「良い仮想化」と「悪い仮想化」ともいうべき導入の注意点を解説した。

 まず、オグルズビー氏は、デルの仮想化を支援するインフラストラクチャ・コンサルティング・サービスでの成功事例を紹介。米国での国際金融サービス企業、小売チェーン、大手電力会社などでの大幅なコスト削減、電力消費の軽減などの効果について披露した。

 しかし、オグルズビー氏は一方で「これまでのコンサルティング経験から、仮想化は多大な効果を企業にもたらすが、方法を間違えると結局は効果を得られないまま、管理者の負担が重くなってしまう危険性をはらんでいる」と語り、導入成功にはそれなりの理由があるのだ、と説明した。

 オグルズビー氏は「諸刃の剣」としての仮想化導入を「典型的なパス」「すぐれたパス」という言葉で説明する。

デル 「制御しきれない仮想化は多くの負荷を生み出してしまう」と語るオグルズビー氏

 典型的なパスとは、残念ながら多くの企業が陥る導入失敗の結果である。不透明なROI、硬直的で混然としてシステム、VMスプロール、組織的な混乱、リスクの増大、電力の浪費、サービス費用の経常化といったものだ。そしてこれから仮想化を取り組むなら、当然こうあらねばならないという道筋を示したのが、すぐれたパス。すなわち、短期間で目に見えるROI、拡張性と予測可能性、迅速かつ改善されたサービス、組織的な向上効果、セキュアな環境、グリーンIT、スタッフ力の向上である。

 典型的なパスに陥らず、すぐれたパスへと進むにはどうすればいいか。それは、一にも二にも、緻密な計画と迅速な実行だ。オグルズビー氏は良い結果を出すには、仮想化に取り組むスタッフの姿勢が大きく影響すると話す。仮想化を導入するには、各企業の既存のIT資産をどのように統合化させていくかの、正確な青写真が必要だ。こうしたインフラの環境は企業ごとにさまざまなので、まずそれぞれに合わせたアセスメントが不可欠だ。このアセスメントが不十分だと、ROIが不透明で、サービス費用だけがかさんでいくことになりかねない。「仮想化プロジェクト全体を常に把握し、コストモデルをどこに見出すかを検討しなければ、良い結果は出てこないし、導入後の統制もできないまま、スタッフの負担が増えてしまう。欧米のユーザーに比べて、慎重な日本のユーザーといえども、油断は禁物だ」とオグルズビー氏は話す。

 例えば、VMスプロールなどの問題は統制の欠如から生まれてくるものだという。VMスプロールは、仮想化マシンが増殖しリソースを予想以上に消費してしまう現象をいうが、コストを意識せず、安易に仮想マシンを増設する動きは、各部署、部門に課金をしてコスト意識を植え付ける必要がある。また、こうした仮想マシンを制御するハイパーバイザが乱立するのも、仮想化の恩恵にあずかろうと急ぎすぎる心理から生まれてくる。インフラをどうにか統合し、仮想化技術を導入しても、仮想マシンの制御が複数のレイヤで無軌道に行われていては、かつてのブラックボックス化していたインフラがバーチャル化しただけになってしまう。

 オグルズビー氏によれば、最近のCIOに対するアンケート調査でも、半数の人が仮想化によるコスト削減を可視化できなかったという結果が出ているという。サーバなどのIT資産の詳細で正確な調査とどのような負荷分散を狙うのかという明確な目標設定が、仮想化成功の鍵だといえるが、多くの企業にとってそれは簡単な作業とはいえない、というのが現実のようだ。デルでは、オグルズビー氏が取り組んでいる仮想化導入成功のためのプログラムを、日本市場でも展開していく計画だという。

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