三井ホームがPOPサーバの強化とメールアーカイブの安定運用を両立メール環境刷新(2/2 ページ)

» 2009年02月24日 06時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
前のページへ 1|2       

外部iDC に設置しても安心なアプライアンス

 そこで同社は、現状のメール環境の大幅な刷新を決断。メールサーバは、従来の商用Sendmailに替えて、ミラポイントのメッセージサーバ「Mirapoint Message Server 6000-SAN Edition」(S6000)を採用した。従来のシステムと比べ、POP性能に関してはミラポイントのアプライアンス特性、および専用OS構成によるパフォーマンスチューニングが信頼でき、外部iDCへ設置した場合でも手間がかからないと判断された。

 また、冗長化構成やシステムのバックアップ・リストア、VTL(Virtual Tape Library)の利用が可能で、パッチ適用やOS更新の可否判定が容易である点も評価された。

さらに、S6000には同報メールも1つのメールとして保存できる「Single copy Message」と呼ばれる機能があり、同じメールが複数保存されてしまうムダが避けられ、アーカイブ容量が圧縮できると期待された。

メールアーカイブは完全性が重要

 一方、メールアーカイブは、同じくミラポイントの「Mirapoint RazorSafe 370」(以下、RazorSafe)の他に、フィルタリング方式とパケットキャプチャ方式の製品を5品目ほど選び比較・検証した。その結果、RazorSafe はPOP/IMAPでデータを取得する方式のため、設置場所を問わず、安定した運用が可能と判断された。

三井ホームの新メールシステム構成

 フィルタリング方式は監査用として利用されているため特殊な検索機能が豊富だが、アカウント数に応じたライセンス体系で割高感があり、パケットキャプチャ方式も流量が増えるとメールの取りこぼしが出る可能性があるなど、アーカイブという目的で利用するには完全性に疑問があったため、共に採用には至らなかったという。

 したがって、2008年7月以降の新メールシステム構成は、POP/SMTPサーバにS6000を2台使用するN+1の冗長化構成とし、それをバックアップサーバとVTLとともに、24時間365日有人対応が可能な外部iDCに設置。

 それらとは別に、RazorSafeとTL(Tape Library)を組み合わせたアーカイブサーバは、自社iDCに分散設置することで、BC/DR(事業継続/災害復旧)やフェイルセーフにも対応きるようにした。

 アーカイブサーバを自社iDCに設置した理由としては、突然メールをリカバリする必要が生じても、同社内の作業で対処できるのでコストが抑えられ、メールアーカイブの検索機能を活用すれば、極めて短時間に目的のメールを検索することも可能になるからである。

相当数のキューが蓄積しても稼働し続けるほど強化

「長年の課題を大きく改善できた」と語る、経営企画統括本部システムグループ 山我真之氏

 「長年のPOPサーバの課題が大きく改善されました」と話すのは、同社の経営企画統括本部システムグループに所属する山我真之氏。

 「従来は、送信キューが蓄積すると急速にパフォーマンスが低下する現象が連鎖的に発生していましたが、現在は相当数のキューが溜まっても問題なく稼働し続けるほどにパフォーマンスが強化されているようです」と山我氏は評価する。

 また、経営企画統括本部のシステムグループ長を務め、今回のメールシステム改革の陣頭指揮を執ってきた篠山達夫氏は、管理運用面での効率は今後大きく向上するだろうと予測している。

 「メール環境をリニューアルしたことで、手間をかけずに信頼性を向上させるという、相反した効果が期待できそうです。今回は管理者メリットを優先しましたが、今後はユーザーの利便性や効率性などのメリットも向上させていきたいと考えています」(篠山氏)

 今回のプロジェクトは、ミラポイントの国内パートナーであるCTCエスピーとともにリニューアルを進めてきたが、今後もさらなる運用の安定化と管理負荷の低減を行っていく計画だという。

 そして、2009年に創業35周年を迎える三井ホームは、グループ及びパートナー企業全体のコミュニケーション力を高めることで総合力を強化していくという。

PlanITトップはこちら

過去のニュース一覧はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ