日本上陸の新勢力が狙うBIの潜在需要Weekly Memo(1/2 ページ)

ハイパフォーマンスと使いやすさから海外で注目を集めているBIツールが先週、日本市場へ本格的に上陸した。その狙いに、BIの潜在需要が見て取れそうだ。

» 2009年03月16日 09時53分 公開
[松岡功ITmedia]

人間の思考パターンを分析技術に適用

 「日本では無名に近いが、今日をもって皆さんに覚えていただきたい」

 ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「QlikView」を提供する米QlikTechのラース・ビョークCEOは、3月10日に開いた日本市場参入に関する記者会見の冒頭でこう語った。

 QlikViewは、欧米を中心に92カ国で1万社を超える幅広い業種の企業に利用されている注目のBIツールである。QlikTechは1993年にスウェーデンで創業し、現在は米国ペンシルバニア州ラドゥナーに本社を置く。2008年の売上高は1億2000万ドル。ここ数年、前年に比べて50〜80%の伸びを記録している急成長のBI専業ベンダーである。

 QlikViewが海外で注目されているのは、ハイパフォーマンスで使いやすく、低価格で短期導入が可能と、ソフトウェアに求められる重要な要件を兼ね備えているからだ。

 ハイパフォーマンスの実現におけるキーワードは、「連想分析技術」と「インメモリ方式」だ。QlikTechの製品およびマーケティングの責任者であるアンソニー・デイトン シニアバイスプレジデントによると、「人間が情報を処理する時の思考パターンは、階層型ではなく連想型。QlikViewはその思考パターンに基づく分析技術を取り入れ、しかもそれを迅速に行うためにインメモリ方式を採用している」と言う。

 少し解説しておくと、QlikViewは既存のさまざまなシステムが個別に持っているデータを読み込んで、“連想”による独自の正規化手法を用いて圧縮・統合し、ユーザーの操作に応じて関連する情報を素早く検索してひとまとめに引き出すことができるという。

 また、従来のBIツールとは異なるインメモリ方式の採用によって、すべてのデータをメモリ上に展開することでハードディスクへのアクセスによるボトルネックを排し、高速な検索処理や演算処理を実現。これによってユーザーは、データの在処や構造を意識することなく、膨大なデータの中から目的の情報に関連したデータを次々に見ていくことができるとしている。

「QlikView」日本上陸の記者会見に臨む米QlikTechのラース・ビョークCEO(左)、アンソニー・デイトン シニアバイスプレジデント(中)、総販売代理店サイロジックの垣田正昭 代表取締役CEO

 さらに詳しい解説については関連記事を参照いただくとして、とりわけ連想分析技術については脳科学や人工知能にもつながる学術的背景があるように思えたので、会見後、単独インタビューに応じてくれたビョークCEOに確認したところ、こんな答えが返ってきた。

 「連想分析技術は自社開発で特許も取得している。ただし当社の研究開発部門は、当社が設立当初オフィスを置いていたスウェーデンのルンド大学と密接な関係を持って作業を行った経緯がある」

 連想分析技術のルーツはここにある。

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