NEC、NGNパートナープログラムを強化これからのNGN

NECは、2008年3月に設立した「NGNミドルウェアパートナープログラム」の強化策を発表した。

» 2009年03月23日 19時42分 公開
[ITmedia]

APIの国際標準化はユビキタスに通じる

 今回の発表内容は次世代ネットワーク(以下、NGN)を活用したサービス創出をさらに加速させるためのもの。NECが2008年3月に設立した「NGNミドルウェアパートナープログラム」は、国際標準化を含めたNGNミドルウェア共通API作成を主旨としており、日本IBM、EMCジャパン、日本オラクル、サン・マイクロシステムズ、ノベル、レッドハット、日本HP、マイクロソフト、ミラクル・リナックス、MontaVista Software、ソフトフロントがパートナーとして参加している。

 今回の発表では、新たにアンリツネットワークス、エンピレックス、シスコシステムズ、ジェネシス・ジャパン、昭文社の5社が加わった。これに伴い、ミドルウェアパートナーとは別にプリケーションパートナーを新設。NGNを活用したアプリケーション創出の活性化を図る。

 NECの大谷進 取締役執行役員常務は、アプリケーションパートナーの新設について次のように語った。「ミドルウェアからはNGN-API機能を充実させ、アプリケーションからはNGN対応の製品が創出されさまざまなサービスが生まれてくる。NGN関連事業にこうしたエコシステムの循環が強化されることで、市場の拡大が期待できる」

 パートナーシップによるNGNサービス創出を加速させるには、「サービス共創」「API標準化」「NGN評価センターの充実」「ネットワークのオープン化」の4つの方向からの取り組みが欠かせないとNECは考えており、これは技術的障壁を乗り越える具体的な手立てにもつながる。

「アプリケーションの充実とAPIの国際標準化がNGN発展のカギ」と語る大谷常務

 「API標準化」では、新たな課金API拡張仕様などをネットワークサービス機能の国際標準化仕様を審議する標準化団体OMA(Open Mobile Aliance)に提案したことも明らかにされた。また、NGN活用サービスの技術的、商業的価値の検証を行うNGN評価センターでは、すでに一部のソリューションの評価が開始されていることも発表された。

 NGNは映像、音声、その他データをセキュアにネットワーク上で流し、さまざまなサービスに活用することから、柔軟な運用が求められる。会見で披露された遠隔地での医療サービスのデモでは、人物が動いても画像が止まったり、荒れたりしない状態に調整する作業が実施された。医療分野では特に医療行為の質に直結する画像の品質と、患者と医療関係者の間で交わされる情報の秘匿性が求められる。NGNはこうした要件に最も適したネットワークソリューションといえる。

 さらに今後の取り組みとして、パートナープログラムではNGSI(Next Generation Service Interfaces」を提案しており、この提案に基づいていくつかの仕様策定活動を進めていくという。NGSIは共通ミドルウェアAPIを審議するワークアイテムで、従来のテレコムAPIにとらわれない、NGNの特性を生かす共通APIを構築していこうというもの。QoS、認証、ID管理に関するAPIのほか、基幹データ連携やポリシー制御など企業ネットワークを活用するAPI、シームレスネットワークやクラウド対応などの領域を包含する。

 NGSIはサービス事業者、消費者、企業内利用者などNGNを利用するあらゆる立場の人々の情報活用の障壁を限りなく低くしていこうという考え方。固定網、移動網といった通信インフラに関する壁も取り除き、ユビキタスネットワークの実現を目指すものだという。

NGNを活用した遠隔地医療サービスのデモ風景

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