報告書の自動生成で実現した「顧客満足度の向上」コールセンターの業務改革(2/2 ページ)

» 2009年03月24日 14時28分 公開
[杉浦知子,ITmedia]
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自動で報告書を作成する仕組みを構築

 報告書作成に必要なシステムを変更せずにデータやファイルを連携させるため、同社は2004年夏にインフォテリアが提供するファイル連携ソリューションASTERIAを導入、2004年9月に稼働を開始した。

「どんな要望にも応えるために迅速なファイル連携が必要だった」と語る小笠原徳夫Div長

 小笠原氏は導入に当たり、重視した点を次のように話す。「それぞれのデータの定義が個別のシステムごとに定義されていたので、それを共通のものに変えなくてはならない。この作業がどうしても手間になるし、検証もしっかりやらなければ活用できないと考えていました」と。数字の定義がはっきりしていないことに加え、頻繁に定義が変わることが課題だったという。そこで、数字を自社で簡単に定義・変更ができ、正確な数字を出せるシステムを求めた。

 「ASTERIAの導入に当たり、技術面での苦労はそれほどありませんでした」と伊佐氏。ASTERIAとシステムをつなぐ際、大規模な改修やネットワークの見直しは必要なかったという。ASTERIAは、管理者のPCにインストールするだけで、システムをつなぐコンソールなしにGUIの画面から利用できる。

 「技術面より現場の意識を変えることが大変だった」と小笠原氏は振り返る。数字をしっかり定義し、毎朝報告書が出力される状況に慣れるのに時間がかかったという。現在は新しいセンターを作る時も、標準的にASTERIAを導入している。「日次、週次、月次の報告書も自動化が当たり前という認識になっている」と小笠原氏は言う。

 ASTERIAの導入により、自動的に報告書を生成し顧客に提出する仕組みが整った。報告書作成のための専門の人員が不要になり、ほかの仕事に手が回るといった効果があった。

 「クライアントの満足度の向上に寄与した」と小笠原氏。以前は前日の報告書を提出するのが、その日の12時、13時になってしまっていた。導入後は朝8時くらいに自動的に顧客に報告書が送られるようになり、顧客からの評判も上々だという。

 現在、ASTERIA WARPへの移行が完了した。WARPに移行してから、各システムの接続やユーザーの追加、削除、ログの閲覧をするWebベースの管理ツールのレスポンスが速くなったという。

 「WARPになって大規模なWebシステムの開発ができるようになった」と伊佐氏。以前は、ASTERIA上で作られるGUIプログラムの集合体としてのプロジェクト1つが1つのWebアプリケーションという考え方だったため、Webアプリケーションの規模を大きくするとプロジェクトが肥大化しすぎて管理がしづらくなるなどの問題があった。現在はWebのセッション管理とプロジェクトの概念を分離したため、複数のプロジェクトにまたがった1つのWebアプリケーションを作ることができるようになったという。

システム概要図

多元的にデータ活用しサービス品質をアップ

 WOWOWコミュニケーションズでは、今後、オペレーターの品質管理のためのモニタリングにASTERIAを活用していく予定だという。現在、オペレーターの評価をする際、一日あたりの応対件数や処理時間は交換機(PBX)から情報を抽出し、オペレーターの勤務年数や状況を労務管理システムで確認している。また、通話状況や具体的な会話内容といったことは通話録音システムから報告書を抽出する。

 「オペレーターの評価と一言にいっても、さまざまな要素を組み合わせて評価しなければならない」と小笠原氏は言う。「時間だけでは評価できないし、会話内容だけでの評価もできない。必要な要素を合わせて評価し、データ化しなければならない」と約1500人のオペレーターの評価について話す。

 現在、オペレーターの通話記録や応答件数などを、オペレーターの労務状況に応じてモニタリングする仕組みを構築中だ。「オペレーターの稼働状況や、どれくらいのコールを受けて、通話品質がどれくらいか一元的に管理できるシステムを作りたい」と小笠原氏。習熟度のレベル付けをして、全体のスキルアップを図るのが狙いだ。

 またインフォテリアと共同してコールセンターの業務ならではの機能をパッケージ化し、ASTERIAのテンプレートを外販する構想も具体化に向かっている。「各アプリケーションで得られるデータを統合して使いたいというニーズは今後もますます高まると思います。さらにコールセンターという業態でそれを実現するにはどうするのか。これは競争力を維持するために必須の技術と言えるものなので、現在のような経済状況だからこそ、多くの企業から引き合いがあるはずだと考えています」と小笠原氏は語った。

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