デルのDNAが組み込まれた第11世代サーバe-Day

デルが先陣を切ってNehalem EP(Xeon 5500番台)搭載サーバを発売したが、組み込まれたのはインテルの新しいプロセッサだけではない。「11G」サーバには、徹底した「標準化」というDNAがしっかりと組み込まれている。

» 2009年04月01日 18時38分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 多くの企業で入社式が行われ、トップが「わが社を取り巻く環境は厳しく……」と訓示した4月1日、デルは新たな製品やサービスを巧みに売り込んだ。

 「11G」と呼ばれる同社としては第11世代となるNehalem搭載サーバの詳細は別の記事に譲るとして、わたしが強調しておきたいことは、デルの勝利の方程式が顕在なのはもちろんのこと、さらに進化を続けていることだ。

 同社の強みは直販モデルにあるといわれているが、その肝は、徹底した「標準化」と「カイゼン」によるコストダウンにあるとわたしは思う。

 技術は標準化が進展するのに伴い、コストが下がっていくのだが、そのペースは必ずしも一定ではない。なかなか下がらなかった高価な技術も、ある時期を過ぎると急落することがしばしばだ。デルはその変化を見極め、自らの参入によってコストの下げを加速させ、一気に勝負に持ち込む。ボリュームによるスケールメリットと高い生産性によるコスト削減によってプライスリーダーとなり、ライバルたちより低い価格でも利幅をきっちりと確保する。これこそデルの勝利の方程式だ。

 言い換えれば、「やること」と「やらないこと」を同社はしっかりと割り切っている。ブレードサーバへの本格参入がIBMやHPに比べて遅かったことにも、それは見て取れる。

 これは製品に限った話ではなく、サポートやコンサルティングのサービスにも共通している。特に後者は、労働集約的になりがちだが、デルは標準的なツール、標準的なプロセスによって、迅速化と低コスト化を図るのが「デルモデル」だ。

 今回、わたしが第11世代のPowerEdgeサーバで注目したのは、かつては導入時に提供されていたであろうサービスを機能として製品に組み込んでしまったことだ。「ライフサイクルコントローラ」がボード上に組み込まれたことで、管理者はメディアやツールと格闘することなく、これまでの約半分の時間でサーバをセットアップすることができるという。

 第11世代製品の発表に伴い、同社は「Efficient Enterprise」を掲げ、エンタープライズコンピューティングの効率性を加速する製品とサービスの拡充をアピールする。

 ただし、データセンターの効率化は、やはり企業自身が主体性を持って取り組むチャレンジだと思う。経済環境が厳しい中、例外なく、情報システム部門にもコスト削減が求められている今ではなおさらだろう。散在するサーバをどう集約するのか? 異なるアーキテクチャの混在による複雑性をどう解消していくのか? 難事は尽きないが、どんなに優れたビルディングブロックがベンダーから提供されようが、それを生かす知恵は企業自身が持たなければいけない。

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